無料で手に入れたマーチが2年1万kmちょっと乗った後8万円で売れた話
―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―
腕時計投資家の斉藤由貴生です。ネットの書き込みや知り合いなどから、たまに「クルマ無料(タダ)であげます」ということがあります。クルマって本来は高価なもののはずですが、需要がなくなったクルマの価値は最終的には無料になるようです。
さて、そんな「誰かがいらない」といっているタダのクルマ。持っている本人がもういらないといってるのですから、「もらっても結局、高くつくのではないか?」と勘ぐる方もいるでしょう。しかし、そんな「無料クルマ」のなかにも、実はお宝が存在します。目利きができれば、何年か乗った後にいくらかで売る、なんてことも可能なのです。
その1つがマーチ。このマーチといえば、日産自動車が80年代から生産する大衆車。5ナンバークラスのなかでは、最も安い価格帯に位置し、新車販売台数でもランキング上位に食い込む車種であるため、とても生産台数が多い傾向にあります。私は以前、このマーチを無料で手に入れ、2年1万kmちょっと乗って、最終的に約8万円で売ることができました。
私が無料で手に入れたのは、マーチといっても超レアな1台。その名も「マーチカブリオレ」というオープンカー仕様のマーチです。
このクルマ、1997年にデビューした後、1999年ごろまで生産されていて、総生産台数は約4000台ともいわれています。4000台というのは、クルマの生産台数としてはかなり少ないほうで、その数値だけでもレアカーといえるでしょう。
マーチなのにオープンという時点で、かなり珍しいですし、しかもホロは高級車のように電動で開きます。
そして、私がもらったマーチにはさらにレアなポイントが存在。それは、5MT仕様だったのです。当時のマーチにはATやCVT、4MTなど、さまざまな変速機が用意されていましたが、マーチとしては高級な位置づけのマーチカブリオレの変速機はCVTと5MTも設定。とはいえ実際のところ、マーチカブリオレを新車で買った人のほとんどはCVTを選択していたようで、5MT仕様のマーチカブリオレはほぼ現物が存在しないという超レアカーでした。
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1355027
私は、この5MTのマーチカブリオレを手に入れるまでに、2年ほど中古車情報をチェックしていましたが、その2年の間に見かけたのは2台程度。しかも、そのどちらもCVTのマーチカブリオレと比べてかなり高い額で売られていました。
ちなみに、ATよりMTのほうが中古車では高くなる傾向で、NSXのようなスポーツカーやマークⅡはもちろん、ベンツの190Eのようにスポーツカーでなくても、5MT仕様のアンファングが人気だったりします。
ですから、私が5MTのマーチカブリオレが無料という情報を見つけたときは、迷うことなくメールを送信。オーナーからの返事には「ホロはボロボロで、クラッチも交換したほうがいい」と書かれており、走行距離10万km以上のクルマのイメージ以上に傷んでいそうでしたが、それでも私は大丈夫だと判断し、陸送業者を手配したのです。
こうして、私の元にやってきたマーチカブリオレ。正直、初対面するまでは「どうなることか」と思ったりもしたのですが、実際に見てみると、ホロの側面がボロボロという程度で、そこまで程度は悪くなさそうでした。
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1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある
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