ブラック労働に苦しむ“雇われ僧侶”からの告発文…修行か労働かの線引きが曖昧な実態
飲食店員は涙を流し、運送業界は悲鳴をあげる……昨今、人手不足や薄給による労働問題は枚挙にいとまがない。しかし、待遇は安定、人員も潤沢な業界からも「ウチもブラックだ」と怨嗟の声が聞こえているのだ……
坊主丸儲けというのは、今は昔。SPA!編集部宛に日本最大の仏教宗派である浄土真宗の真宗大谷派(本山・東本願寺、京都)の僧侶から匿名で一通の書簡が届いた。真宗大谷派といえば、つい先日、非正規雇用の僧侶への残業代未払いが話題となったばかりだが、今回の内容は正規雇用の“雇われ僧侶”からの“告発文”だった。
その内容はこうだ。宗務所に10年以上勤めるその人物は、事務仕事や経理処理などを行い、月20時間以上を上限に残業代を支払われる労使協定を結んでいる身分だが、残業代はほとんど支払われたことがない。繁忙期であるお盆や彼岸には、上司や職員がいっせいに帰坊するため、ほぼ一人で宗務所の激務をこなし、自坊(実家の寺)に帰ってからも、昼夜問わずお参りが続き、過労死を覚悟したこともある。上司に時間外労働について改善を求めたところ、「本山で勉強させてもらえるだけでもありがたいと思え」と一蹴されたとの呪詛が綴られていた。
東本願寺のホームページ「2018年募集要項」によれば、初任給は17万5500円~。特に残業手当についての記載はない。
なぜ、僧侶の労働環境は、これほどまでに劣悪なのか。宮城県の曹洞宗寺院で副住職を務める天神九十五氏が解説する。
「修行と労働の線引きが曖昧なのが一番の問題。例えば、お寺に来訪される方々の対応をするだけでも立派な労働です。お寺に雇われている僧侶は、れっきとした労働者ですし、当然、労基法に従って残業代も支払われるべき。それに、今は貨幣経済の時代ですから、毎月一定の収入がないというのはさすがに無理がある。業界全体として、そういった配慮が欠けていたのだと思います」
貨幣経済以前の労働環境が幅を利かせる特殊な世界
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