あの事件がなければ、“ノンスタの漫才”は終わっていた――ユウキロック×ノンスタ石田
若者から人気ナンバー1との呼び声が高いNON STYLE。お笑い芸人のリアルを描いた『芸人迷子』(扶桑社)の著者・ユウキロックが、ボケ担当の石田明と対談。
昨年、ツッコミ担当の井上裕介が例の事件を起こしてしまったのは周知の通り。しかし、じつは大きなチャンスが舞い込んだ矢先のことだったという。事の当日から現在、そして今後の活動まで……石田はどう捉えているのか。ユウキロックが聞く!
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ユウキロック(以下、ユウキ):今日はもう一点、聞きたいことがあるねん。
石田:なんですか?
ユウキ:NON STYLEって、若者から人気ナンバー1じゃないですか。
石田:よく言われますねえ(笑)。
ユウキ:でね、昨今は“若者のテレビ離れ”って話が出るやん。でもNON STYLEは、冠番組もってないでしょ。俺、ココがキーなんじゃないかなって思うのよ。だって、俺の時代は、ダウンタウンさん、とんねるずさん、ナイナイさんもいたし、若者に絶大な人気があった人って、みんな冠をもってたのよ。でも、NON STYLEは、若者に絶大な人気があるのに、冠をもっていない。
石田:冠番組……もってないですね。
ユウキ:それならば、冠をもたせたら、若者のテレビ離れが解消されるんじゃないかって少し考えるねん。それで、子供のなりたい職業といえば、いまはユーチューバーですよ。思えば、テレビがない時代は劇場だった。そっからテレビになったわけでしょ。映画や役者の世界もそうやんか。時代とともにテレビになって。それが、もしかすると今後は動画になる可能性が出てきて。まあ、わからへんよ。とはいえ、石田よりもっと後に出てくる世代が、テレビじゃなくて、もう動画のユーチューバーみたいな人のほうが活躍するかもしれないやんか。
石田:多分、その可能性がめちゃくちゃ高くて。むしろ、NON STYLEがいま若手ナンバー1って言われているのは……。結局、YouTubeを見ている人たちばっかりなんですよね。だから、もう昔の漫才の話とかしてくるんですよ。
ユウキ:あー、なるほど。動画を見てるから。
石田:たまに「石田さん、太りましたね」とか言われるんですけど、それめっちゃ昔のやつだから(笑)。
ユウキ:痩せてるときのね。
石田:だから、僕たちってレギュラー番組も少なく、関西で1個ちゃんとあるぐらいなんですけど、なんで人気があるのか全然わかってなくて。でも、ネットを見てみると、NON STYLEって漫才の動画が比較的たくさん載っているんですよ。
ユウキ:石田的には、動画があったから得したってこと?
石田:そうですね。僕はテレビ向きよりも「劇場でいちばん面白い人でいたい」という思いがあるんですけど、そういった面では、動画やYouTubeというのは、すごく利用できるなと。
ユウキ:なるほどね。
石田:でもじつは、それを言ってくださる方も多いんですよね。実際に動こう、動こうみたいな感じもありながら……井上のあんな件もあったんで、もう厳しいでしょうねぇ。
ユウキ:え、どういうこと?
石田:あの日の夜……まあ、とある大物の方と飲んでいたんですよ。企画をバーッと出して、番組を立ち上げようという話をしていた矢先。ネットニュース、ドーン!
ユウキ:すごいタイミングやね(笑)。
石田:そこで、「もしかしたら、俺たちはこういう運命なんやな」って思いました。
ユウキ:ぶっちゃけ、あれはいつ知ったの?
石田:詳細はネットニュースで知りました。井上が事故を起こした次の日の朝10時ぐらいに「迷惑を掛けるかもしれない」とLINEがありまして。
ユウキ:普段は井上からメールが来たりはする?
石田:いや、全然来ないです。突然LINEが来たので驚きましたけど。「詳細はマネージャーに聞いときます」って返したんですが。まあ、別にあえて聞かないじゃないですか。そしたら、夕方にネットニュースで知りまして。
ユウキ:結構、大きなことになってたと。それで、どう思った? もう漫才でけへんかもとか思った?
石田:僕は正直、テレビは厳しいかもなと。どちらにせよ、NON STYLEって、テレビに向いてるのって井上じゃないですか。
ユウキ:まあ、井上のほうがテレビに出ているとなると、一応そうなるのかな。
石田:たぶん向き不向きでいくと、井上がテレビに向いてて、宣伝隊長みたいなことやと思うので。そこで、テレビでの宣伝がなくなるとなれば、違う方法を考えないとアカン。だから、僕たちはちょこちょこライブをやりながら、YouTubeチャンネルを立ち上げて、DVDにする用と、YouTubeにアップする用で録り分けたりして。動画をうまく宣伝材料にしながらやっていこうかな、って感じになってます。
ユウキ:戦略家やね。でも、まあ、なんというか……大事に至らなくて。
石田:そうですね。向こうも優しい方だったので。でも本当に良かったと思うのは、それまで、井上が漫才をやる気がなくなっていたんですよ。
ユウキ:俺も聞いたことがあるわ。あんまりルミネの舞台にも立ちたくないとか言ってたらしいじゃん。
石田:ルミネもなるべく減らして、地方も何か月に1回にしてほしいとか。
ユウキ:テレビ思考やな。まあ、跳ねてたしね。
石田:でも結構、悪態もついてたんでヤバいなと。どこがスーパーポジティブシンキングやねんって(笑)。
ユウキ:2人としては、ちょっとギクシャクもしてた?
石田:そうですね。文句を言いながらでも、ちゃんとやってたら良かったんですけど。舞台上で、あからさまに機嫌が悪かったりとか。
ユウキ:これは同業者だからわかるんだけど、熱量の違いを感じてた。近頃の井上は熱くないなって。

テレビから動画の時代へ、若者から人気ナンバー1のノンスタは…

大きなチャンスの矢先、“あの事件”が起きた…

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明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスで様々な雑誌や書籍・ムック本・Webメディアの現場を踏み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者として活動中。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。趣味はカメラ。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi
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『芸人迷子』 島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。 ![]() |
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