文春・新潮だけではない! ライバル誌の乱れた情報合戦「あらぬ疑いをかけられて仕事を干されました」フリーライターが告白
中吊り広告を事前に入手するなどして情報をパクっていたのではないか……。『週刊文春』と『週刊新潮』、いわゆる“ライバル誌”の全面対決が勃発した。雑誌やネットメディアを含め、様々な情報が錯綜する昨今。ネタの取り合いは加熱する一方だ。しかし、「情報やネタを巡った争いやトラブルは古くからメディア界隈ではよくあることだ」とフリーライターのAさん(40代前半)は話す。
「たとえば、かつてはライバル誌を股にかけて、両方で仕事をすることは業界的に“御法度”と言われていました。情報が漏れることを避けるためであり、外注スタッフとして媒体に関わる以上、“人としての筋”として業界の先達からも教えられてきました。それが崩れたのは出版不況が深刻化した数年前からです」
Aさんは数年前、中小出版社が発行するニッチなジャンルのカルチャー雑誌に携わっていた。そこでライバル誌同士の「情報合戦に巻き込まれ、仕事を干された経験がある」というのだ。
出版不況が叫ばれて久しい昨今。Aさんが御法度を破ったのは、媒体社側からギャラを削減されたことがきっかけだったという。フリーランスという立場では、お金を稼いで生活していくためには業界ルールにこだわってもいられなくなり、ライバル誌との両方で仕事をするようになったのだ。ライバル誌というだけに、仕事をするジャンルは同じ。特に新しいことを覚える必要もなく、すぐに対応できたという。
「当初は媒体社側から怪訝な顔をされたことを覚えています。『ほかで仕事をするのはヤメてほしい』と。それならばギャラを上げてくれないか、と交渉したのですが『それは雑誌の現状として不可能だ』と突きつけられてしまい……」
次第に媒体側も黙認するようになり、その他のライターやカメラマン、スタイリスト、デザイナーなどもライバル誌で仕事をしても特に問題視されなくなったという。
「そういった業界の慣習があったことさえ、今の20代のスタッフたちは知らないんじゃないかな……」
実際のところ、媒体社側の編集者を差し置いて、フリーランスのライターなどで情報交換会のような飲み会も頻繁に行われている。とはいえ、「ライバル誌の企画や具体的な情報は流さない」などのモラルやマナーは存在していた。
しかし、ネットの普及により情報が氾濫。部数減に悩むニッチなジャンルのカルチャー雑誌などでは、どちらが面白い企画をやるのか、ネタを食い合っている状態だ。なかには、他誌の情報をウリにして仕事を得ようとする不届き者のフリーランスや広告代理店なども出現していたという。
「私は、ライバル誌両方で仕事をしていましたが、基本的に情報を漏らすことなどしていませんでした。ただ、編集者と打ち合わせの段階で他誌とネタ被りがあるときは『それは他で進行している企画なので、別の切り口にしましょう』などと提言することはありましたけど」
カルチャー雑誌では、狭いジャンルの話なので、ときにはライバル誌でネタが被ってしまうこともある。ライバル誌のほうが掘り下げた企画を行っていたときには大変だ。媒体側はもちろん、食えていない外注スタッフたちも疑心暗鬼になっており、犯人探しが始まる。
特に、前号でライバル誌のほうに比重を置いて仕事をしていた人間には「アイツが情報を流していたのではないか……」とあらぬ疑いがかけられることも。
幅広い人脈があり、おしゃべり好きな性格だったAさんは、身に覚えのないウワサを流され、最終的には仕事を干されてしまったのだ。とはいえ、雑誌の媒体数自体が減っていた頃であり、それでも人気ライターとして手に余るほどの仕事をもっていたAさんは、「他の食えないライターたちからやっかみなどもあったのかもしれない」と振り返った。

疑心暗鬼の業界で「事実無根でも仕事を干されてしまった」
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