高橋一生が「長い下積み」から脱出って…TVでメジャーになることだけが“ブレイク”なのか?
― 週刊SPA!連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史> ―
「舞台でどんなに活躍していようと、テレビ的に売れて初めて、『ブレイク』『長い下積みから脱出』とマスコミに書かれるのはどうにも納得できないと憤慨したのは20年以上前の筧や勝村の時。んでまた、一生で同じ感覚。この国の文化状況は何も変わってない、とまた憤慨。ぷんすか」

というツイートをしたら、たくさんリツイートされて、ネットニュースにもなりました。 その昔、『第三舞台』という劇団の主宰をして、何万人というたくさんのお客さんに来ていただき、舞台で生活できるようになったなあと喜んでいた時期がありました。 ブレイクという言葉を使っていいなら、充分、ブレイクしていたと思っていました。 その時から10年近く過ぎて、当時、劇団員だった勝村政信と筧利夫がそれぞれにテレビ番組でメインの活躍をしました。 その時、マスコミは、「やっと長い下積みから脱出」とか「ブレイク」と表現しました。腰が抜けるかと思いました。 「テレビで全国区になった」とか「全国の人に知られるようになった」と言うのならわかります。が、「長い下積みから脱出」とはなんだと驚いたのです。 テレビに出てなければ、テレビに映らなければ、それは下積みなのかと、突っ込みたくなりました。 俳優やアーティストにとって重要なことは売れることだけで、それは、「テレビに出ること」だけで、ブレイクという言葉に対応するのはテレビでメジャーになることだけという、実にわかりやすく情けないマスコミの表現に対する憤慨でした。 あれから、20年以上たって、『カルテット』に出演していた高橋一生さんに対して、やはりマスコミは、同じような表現をしています。 僕が初めて一生と仕事をしたのは、彼が23歳の時でした。その時から、知る人ぞ知る存在でしたが、それ以降、舞台での活躍は続きました。 そして、映像にもたくさん出るようになりました。今回、今までの映像出演の中で一番、話題になったのでしょう。で、マスコミは36歳の一生に対して「ブレイク」「長い下積み」と書くのです。舞台でどんなに活躍していようと、テレビ的に売れて初めて、「ブレイク」「長い下積みから脱出」とマスコミに書かれるのはどうにも納得できないと憤慨したのは20年以上前の筧や勝村の時。んでまた、一生で同じ感覚。この国の文化状況は何も変わってない、とまた憤慨。ぷんすか。
— 鴻上尚史 (@KOKAMIShoji) 2017年3月12日
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