テロで妻を失った男の決意「笑って生きなければテロリストの思うつぼ」
’15年3月18日、観光国チュニジアの首都・チュニスの博物館で、何の罪もない日本人観光客がISの無慈悲な凶弾に倒れた。目の前で妻を殺され、ひとり生還した夫は、帰国後、絶望と怒りに見舞われた。というのも、政府は支援を“口約束”したものの、実際には何の手も差し伸べられなかったからだ。
今年で72歳になる被害者、成澤洋二氏は語る。
「事件後、『国からいっぱいお金もらえたんでしょ』と周囲からよく言われました。みんな、テロ被害者には国がしっかり支援していると思い込んでるんですが、そんなものは私たちにはビタ一文ありませんでした。私が帰国した日、成田空港で中山泰秀外務副大臣(当時)が、『補償や今後のことを含め、成澤さんのご意向に100%近い方向で対応する』と言った言葉はなんだったのか」
現実は中山外務副大臣の言葉とは180度逆。外務省の方針は「海外でテロにあった場合の補償などは法律がないので何もできない」の一点張りで、まるで他人事だった。100万円単位の費用がかかる遺体の搬送についても、「政府専用機は飛ばせないし、国費も出せない。遺族側ですべて処理せよ」と通告してきたという。
「あまりにも無責任。テロと戦うなら、テロ被害者と遺族に寄り添う救済措置が不可欠なのに、これでは日本は法治国家どころか放置国家ですよ。私はこの事件をきっかけに、日本という国のイメージがいっぺんに崩れていきました」
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