言葉の魔術師・藤田ミノルが思い描くデスマッチとは?――デスマッチに命をかける漢たち vol.2
「なに見て死ぬの?」
昨年12月25日に開催された、葛西純プロデュース興行。その晩、藤田ミノルはTwitterでそうツイートした。「なんでトレンド入りしないの? なに見て死ぬの?」――葛西純vs竹田誠志の歴史的名勝負を、これほどまで的確に表現できる人がほかにいるだろうか。藤田ミノルの言葉はつねに端的で普遍性があり、魂が宿る。
ガンバレ☆プロレス初参戦時のマイクパフォーマンスが、「2015年・DDTベストマイク賞」に輝いた。「家族、守ったことあんの? ないよね。俺はあるよ」――ある日、突然離婚を言い渡され、そのショックから専門学校を留年し、プロレスも思うようにできない。そんな鬱屈とした思いを、マイクで吐き出した。12分20秒にも及ぶ独演会のようなそのマイクパフォーマンスは、マイクパフォーマンスの概念を覆した。
●「DDTベストマイク賞」を受賞した藤田ミノルのマイク(https://www.youtube.com/watch?v=T0wIySLs6b8)
「内に秘めている、自分にしか分からない自分、言いたくない自分を出していったほうがいいのかなと思ったんです」
試合後の盛り上がりをさらに上に持っていくか、はたまた会場のテンションを白けさせるかは、レスラーのマイクにかかっている。「これからも頑張ります」「応援してください」。それもまた一つのマイクの在り方ではある。しかし藤田は抽象的な言葉は口にしない。生活や内面のすべてを、“伝わる言葉”でマイクに込める。

尾崎ムギ子/ライター、編集者。リクルート、編集プロダクションを経て、フリー。2015年1月、“飯伏幸太vsヨシヒコ戦”の動画をきっかけにプロレスにのめり込む。初代タイガーマスクこと佐山サトルを応援する「佐山女子会(@sayama_joshi)」発起人。Twitter:@ozaki_mugiko
記事一覧へ
【関連キーワードから記事を探す】
FREEDOMS・杉浦透の挑戦。「Fortune Dream 5」メインイベンターに大抜擢――小橋建太の青春おすそわけ#24<杉浦透 vol.1>
言葉の魔術師・藤田ミノルが思い描くデスマッチとは?――デスマッチに命をかける漢たち vol.2
デスマッチに命をかける漢たち~不動のカリスマ・葛西純
端整なルックスに飛び散る鮮血、若きデスマッチファイター正岡大介の素顔
凶器「画びょう」との出会い――若きデスマッチファイター正岡大介の素顔
デスマッチファイター・葛西純。どんな凶器よりも「ゴキブリ、歯医者のほうが怖い」
デスマッチ界のカリスマからの挑戦を受ける竹田誠志「この試合が正念場。俺は2番煎じじゃない」
「もう包丁を出すしかない」死を覚悟したデスマッチファイター・竹田誠志のルーツを辿る
大仁田厚に憧れて――WWEも評価する“弾丸戦士”田中将斗がZERO1に止まる理由【最強レスラー数珠つなぎvol.8】
ジャイアント馬場のギミックから始まった――“巨神”石川修司が辿った茨道【最強レスラー数珠つなぎvol.6】
鈴木みのる、“新日”若手時代から変わらないストロングスタイル「僕が話を聞いたのは、藤原さんと猪木さんだけ」
プロレスラー鈴木みのるが“一人メシ”を語る「人生で一番うまかったメシはサラダかな」
「アントニオ猪木の後継者」を巡る因縁…当事者が対峙した1986年の凄惨マッチ
アントニオ猪木黒幕説も…「1999年の不穏マッチ」凶行を巡る“当事者の証言”
フワちゃんも参戦!“女子プロレス”をコロナ禍でも売上5倍にした経営の秘密
この記者は、他にもこんな記事を書いています