「俺、ここで死ぬかも」――46歳のバツイチおじさんは窓のない部屋で生死の境をさまよった〈第19話〉
突然、嫁さんにフラれて独身になったTVディレクター。御年、46歳。英語もロクにしゃべれない彼が選んだ道は、新たな花嫁を探す世界一周旅行だった――。当サイトにて、2015年から約4年にわたり人気連載として大いに注目を集めた「英語力ゼロのバツいちおじさんが挑む世界一周花嫁探しの旅」がこの度、単行本化される。本連載では描き切れなかった結末まで、余すことなく一冊にまとめたという。その偉業を祝し、連載第1回目からの全文再配信を決定。第1回からプレイバックする!
* * *
46歳のバツイチおじさんによるノンフィクション巨編「世界一周花嫁探しの旅」、今回の滞在地は4か国目ベトナムのホーチミンです。前回、26歳のゆみさん(本人の希望により仮名)を追いかけてホーチミンへ向かうことを決意したバツイチおじさん。しかし、もはや恒例になりつつあるトラブルの連続で、ついには連載史上最大のピンチが彼を襲います。果たして、バツイチおじさんは無事ゆみさんと再会することができるのか? そして、2人の物語の結末は? 恋するバツイチおじさんのズンドコ珍道中、スタートです!
【第19話 愛と追憶のホーチミン】
タイの北部チェンマイで胸の奥に生まれたこの感情は、ゆみさんへの恋心なのか?
それを確かめるためにベトナム・ホーチミンに向かった。
だが、タイ・チェンマイ空港で事件は起きた。
空港職員「申し訳ないですが、ベトナムは行きだけでなく、帰りのチケットがないと入国できませんし、チェックインできません」
俺 「え? でも、このホーチミンからバスで23日にカンボジアの国境を超える予定ですけど…」
空港職員「だめです。飛行機のチケットでないとチェックインできないルールに変わったんですよ」
俺 「聞いてないです。でも、先日友人はこのコースで入国しましたよ(ハッタリ)」
空港職員「だめなものはダメです」
何度も食い下がったがチェックインをさせてくれない。
飛行機の出発は13時。このとき、すでに時刻は12時15分。
このままではベトナムに入国できない。
仕方がないので、その場でスカイスキャナーで検索し、ホーチミン→カンボジア・プノンペン行きのチケットを予約した。
だが、いくら待っても予約確定のメール返信がない。
時刻は12時30分。
空港職員が心配して近くまで来てくれた。
「急がないと乗れないかもしれないですよ」
事情を説明していると、やっと確定メールが届いた。
空港職員は一緒に喜んでくれたが、とにかく時間がない。
大急ぎでチェックイン手続きを始める。
時間がないので、22キロのバックパックを機内持ち込みの手荷物扱いにしてくれた。
そして、機内へ向かって猛ダッシュで走った。
だが、荷物検査の時、ハサミやサバイバルグッズのアーミーナイフなどさまざまなものを没取された。
交渉しようとしたが時間がない。いろんなものをあきらめるしかなかった。
そして、機内へすべりこみ、なんとか飛び立つ事ができたのだった。
機内に入ると、俺の大きなバックパックを見たCAさんがこんなことを言ってくれた。
「こちらのお荷物、よろしければこちらでお預かりしますよ」
「えっ、いいんですか?」
「ご安心ください。荷物ゲートから出てくるように手配しておきますので」
乗り換えのバンコク・ドンムアン空港に到着。
しかし、また事件は起きた。
CAさんが預かってくれた俺のバックパックが、荷物ゲートから出てない。
なんでだろう。
なんで移動するたびになんか事件が起こるんだろう。
やばい。あれがなかったら本当に困る。
荷物の重量を減らそう減らそうとは思ってたが、なくなるのは減りすぎだ。
結局、俺のバックパックは最後まで出てこなかった。
空港職員に交渉すると、空港の別の部屋に通され、荷物が出てくるのを待つこととなった。
「ゆみさんとの再会までに、いろいろと困難が待ち受けてるなあ」
だが、困難があればあるほど心の炎は燃え上がる。
空港職員は手元にある荷物のバーコードを読み取り、地図で今荷物がどこにあるかをチェックしていた。
格安航空とはいえ進化している。
1時間後、荷物が見つかった。
俺は愛しの22キロのバックパックと再会した。
「よかった。これで、きっとゆみさんとも再会できる」
ゆみさんにLINEした。
俺 【うまく入国できたかな?】
ゆみさん 【入国審査無事クリアして今、宿にチェックインしたとこです。今どこにいるんですか?】
俺 【バンコクで今から飛行機です。入国審査成功したらビール一杯付き合ってね】
ゆみさん 【宿、どこ取ったんですか?】
俺 【同じ宿だよ】
そこで、LINEは一旦途絶えた。
「……ん? 何かおかしい!」
直感的に、嫌な予感がした。
普通なら【待ってまーす】とか帰ってくるはずなのに。
しかし、ベトナムのネット環境は不安定だと聞く。
Wi-Fiが常にある環境にいるかもわからない。
きっとそういう理由だろう。そう思った。
その後、飛行機に乗り、21時過ぎにホーチミンのタンソンニャット国際空港に着いた。
すかさず、ゆみさんにLINEした。
【ホーチミンに着いたよ】
しかし、返信がない。既読もない。
おかしい。
とりあえず宿に向かうことにした。
22時30分くらいに日本人宿に到着すると、ドアの鍵がかけられ電気は消えていた。ベルを鳴らすと日本語が話せるスタッフが出てきた。
俺 「今朝、急遽予約した後藤隆一郎です」
スタッフ「お待ちしておりました」
宿の説明を一通り受けた後、ドミトリーの2段ベッドの上に寝転がり、すぐ真上にある天井を見つめた。
「なんか勢いできちゃったけど、迷惑だったかもなぁ……」
少し、後悔した。
そもそもこの宿、ゆみさんの泊まってる宿であってるのかな?
LINEをしてみた。
【A(仮名)という宿に着いたよ】
しかし、いくら待っても既読にならない。
その日はバタバタで、朝から何も食べてなかった。
お腹が空いたので、一人夜の街に繰り出した。
ホーチミンの夜は一人歩きしてもさほど危険がないように感じた。
娼婦やストリートチルドレンはいるが、フィリピンほどしつこくはない。
10分ほど歩くと繁華街があり、BBQと書かれた屋台に入った。
日本の焼き鳥屋に似ていて、自分で串さしの肉や海老などを選び、あとは屋台の人が焼いてくれるというスタイルだ。
ベトナム・ホーチミンの一食め。出来上がったBBQとサイゴンビールで、一人空に向かって乾杯をした。
「すべてがうまくいきますように!」
すると、ゆみさんからLINEが入った。
【今、同じ宿の人とスムージー飲みに行ってきて帰ってきました! 玄関のとこにいます】
よかった!
嫌われたわけじゃなかった!
俺は何度もLINEを読み返した。
新しい異国に来て、誰も知らない町での初めての夜。
友達はおろか、どこを見渡ししても日本人はいない。
密かにさみしいものだ。
いや、ほんとはめちゃくちゃさみしい。
そんな時、ゆみさんからのLINE。
心で松岡修造ばりのガッツポーズをした。
慌ててビールとBBQをお腹にかっこみ、急いで宿へ向かった。
宿に戻ると、小さい庭で4~5人の日本人男子グループがワイワイやっていた。
ゆみさんの姿はない。
俺は「こんにちは~」と挨拶をした。
しかし、あまり反応が良くない。
宿で買った缶ビールを片手にそのグループにそっと参加した。
話を聞いていると「今日来た女の子はどっちが可愛い」だの「あの娘は彼氏がいるから固そうだ」とか、そんな話をしている。
なんか話がださい。
やがて「俺はいつか世界一周するんだ」とか「下町に料理の店を出すための修行するんだ」とか、青臭い話をしていた。
しかも皆、そんなに若くない。
そして何よりも、今まで出会った他の旅人たちのように、人との距離感が程良くない。
「俺、この人たちと合わねぇなあー」
会って1分で直感した。
やがて、ゆみさんが2階から降りてきた。
目と目があった。
が、こちらは男性グループに混じってるので、手だけ振って挨拶した。
ゆみさんはニコリと笑い、また2階のドミトリーに戻っていった。
その後、皆で部屋に戻り、6人部屋の男子ドミトリーで寝ていると、クーラーの温度が寒すぎることに気づいた。
泊まっている男たちとは、部屋の温度のセンスも違うようだ。
翌昼、ゆっくり起きると、ゆみさんと関西弁のキレイな女性が一緒にいた。
ゆみさん「ごっつさん、おはようございます」
俺 「あ、おはよー! どこか出かけるの?」
ゆみさん「二人でその辺をウロウロしようかなと思ってます」
俺 「あ、こんにちわー」
関西女性「こんにちわー。初めまして。ちょっと可愛い小物とか探してきます」
俺 「あ、そうなんだ。行ってらっしゃい!」
二人揃うと、「絶対目立つだろな」というぐらいキレイな二人組だった。
それから、この連載の原稿を書き始めた。なるべくなら週に一度のペースで書きたい。
ドミトリー近くのカフェを探し、コンセントを借り、原稿を書いていた。
カチャカチャカチャ。
しかし、あまりはかどらない。
「あの時、『俺も一緒に行く!』と言って合流しとけば良かったかな」
また少し後悔をした。
なぜだかわからないが、唐突に嫌な予感がした。
彼女たちが帰ってきた後、ゆみさんと関西弁のキレイな女の人、宿のオーナーさんの友達グループと「一緒に晩ごはんを食べに行こう」という話になった。お店は偶然にも昨日と同じBBQの大きな屋台だった。
席に座ると、関西弁のキレイな女の人が気を使って俺に話かけてくれた。しかし、俺は「ゆみさんが右斜め前にいるのに、知らない女性と仲良く話すのはどうなんだろう?」と思ったり、他の人たちがしゃべっている、いわゆるおっさんトークみたいなものに相槌を打ちながら「このトーク、くそだせーなー。早く帰りたい」と思い始めていた。
テンションはMAXに落ち、話すのが面倒くさくなってきた。
厳密に言えば、ゆみさんと二人きりで話したかっただけかもしれない。
しばらく静観していると、急に雨が降り出した。屋外だったため、食事会は急きょ中止になったが、内心ホッとしている自分がいた。
宿に戻ると、センスの合わない男軍団が待っていた。
料理人と世界一周男が、「今から手作りのベトナム料理を作るから買い出しに行こう!」と女子に話しかけた。
それからしばらく、昔フジテレビでやっていた「あいのり」みたいな恋愛バトルが続いた。
料理ができる男は料理自慢、世界を旅すると豪語する奴は夢を語る。ギターが弾ける奴はさりげなくアーティスト気取り。
「なんだよこのノリ、なんか苦手だわー」
俺の心はみるみる引いていった。
そして、そこに居合わせたゆみさんを見た。
「え?」
笑っている。
あの象に乗っていた時の、あの最高の笑顔だ。
考えてみれば彼女は26歳のキレイな女子。
しかも旅をポジティブに楽しもうとしている。
そうだよな。
このノリが普通で素直なノリなんだろうな。きっと。
俺はドミトリーのベッドに戻り、また、この連載を書き始めた。
そして、パソコン画面を見ながら手を止め、ふと思った。
「俺、邪魔かも」
俺がいなくても、彼女は笑顔になっていた。
俺がいなくても、彼女は旅を楽しんでいた。
そう痛感すると、物凄い孤独感が押し寄せてきた。
次の日、ゆみさんたちはホーチミンのはずれの街へバスを乗り継ぎぶらり旅をしていた。
俺は翌日もカフェでこの連載を書かねばならなかった。
ゆみさんに会いたくてやってきたホーチミン。
もう一度話したくてやってきたホーチミン。
財布をなくしたことで曇らせてしまった彼女の笑顔。
それを取り戻すためにやってきたホーチミン。
それなのに……。
キーボードを叩きながら、ふと気づいた。
「……俺、もしかして、ホーチミンで放置されてる?」
俺がホーチミンに来てからゆみさんはずっと他の女性と一緒にいるので、ほとんど話をしていない。
夜、ツアーから帰ってきたゆみさんグループとすれ違った時、彼女と一瞬目があった。
彼女はなんだか申し訳なさそうな表情を浮かべていた。
考えてみれば彼女にとっては小旅行。
バンコクはバンコク。チェンマイはチェンマイ。ホーチミンはホーチミンで楽しみたい。
そう考えるのが普通だろう。
「やばい、人との距離感がわかってないのは俺のほうだ」
そして下のフロアでゆみさんが何をやってるのか?
気になって気になってしょうがなくなった。
他の男と盛り上がってるんじゃないか?
まさかとは思うが、この中で好きな人ができたんじゃないか?
ゆみさんは、この小旅行で新しいイケメンの素敵な男性との出会いを期待しているかもしれない。
若い独身の女の子なら、そう考えても全然おかしくない。
そんな時、こんなおっさんが近くにいたらかなり迷惑だ。
俺は覚悟を決めた。
「この宿を出よう」
覚悟を決めた後、トイレに行くため部屋を出ると、階段で偶然にもゆみさんとばったり会った。
ホーチミンに来て、初めての2ショットだ。
俺 「俺、ホーチミン合わないかも。もう次の国に行こうと思ってるんだよね」
嘘をついた。
ゆみさん「そうなんですか。私もまだ、ホーチミンの良さがわからないんです」
それだけ会話を交わすと、彼女は彼女のグループへ戻り、俺は一人ドミにあるパソコンに向かい、新しい宿を検索した。
翌朝、慌ててパッキングをし、お世話になった宿のオーナーに挨拶をした。
オーナー「どうしたんですか? 急に」
俺 「近くにブイビエン通りというバックパッカー街があるじゃないですか? そこの外国人が集まる安宿にも泊まってみたくて」
オーナー「たしかに、それはそれで楽しいと思いますよ」
俺 「短い間でしたが、ありがとうございました」
結局、ゆみさんには何も言わず、日本人宿を出た。そして、中国人が経営する一泊700円の安宿に移った。
安宿に荷物を置き、ふと思った。
「たぶん、もうゆみさんと会うことはないだろうな」
そう思うと、なんだか胸が苦しくなった。
するとFacebookに亮平からメッセージが入った。亮平とはセブ島のスパルタ英語学校で意気投合した20歳ぐらい年下の友達。元アップルストアのスタッフで、イケメンでバックパッカーという、なかなかいい雰囲気を持ったやつだ。
亮平 【ごっつさんに以前お話しした、僕が兄貴として慕っている先輩がホーチミンに住んでるんですよ。最近、読売テレビを辞めたばかりなので気が合うと思います。繋ぎましょうか?】
俺 【よろしく頼むわ!】
そうして異国の街で元テレビマンの馬見新さんと会うことになった。
さすが同じ業界人、すぐさま気が合った。
男臭い懐かしいノリで酒を飲み交わした。
盛り上がった勢いで、ナイトマーケットでB級グルメツアーも敢行した。
カエルの唐揚げ、アヒルの舌の甘辛炒め、バインミーというフランスパンにパテやチキン、チリと野菜を挟んだもの、生牡蠣、豚の腸、牛肉のフォー。やけ食いのように食べ、締めはシーシャと呼ばれる水タバコを吸った。
落ち込んだ心を元気づけてくれ馬見新ちゃんに感謝し、「また会おう!」と固い握手を交わした。
そして、一人中国人経営の安宿に戻った。
部屋に戻り一人になると、また胸が苦しくなる。
脳内にC-C-Bのあの曲が流れ始めた。
♪誰か Romantic 止めて Romantic
胸が~ 胸が~ 苦しくなる~
いや、違う。
この胸さわぎ……。
この胸の苦しみは、ゆみさんが原因ではない。
ロマンチックが原因でもない。
たぶん、食あたりだ。
突然、苦しくて動けなくなった。
お腹が痛くて体全体も痛い。
まったく寝れない。
B級グルメツアーの何かにあたったのだと容易に想像がついた。
外国人ドミトリーだと、何度も夜中にトイレに行って他の宿泊者に迷惑をかけるので、急きょ隣の個室に変更することに。
中国人オーナーに「窓はないけど13ドルでいいよ」と言われた。交渉する気力もないのでそこに決めた。
熱を測ると38度7分。
5分に一度はトイレ。
起き上がる気力もない。
途中、脱水症状になったが、水を買いに行く気力もない。
ベッドから立ち上がる力がない。
ただただ、ぼーーーーーーーとしていた。
病は気からというが、なんだか虚しくなった。
「見知らぬ国に女性を追いかけてきて、俺、一人で何してるんだろう?」
そこから、気力もどんどん低下していった。
一階に行けば水が売っているが、4階から一階に階段で降りる力がない。
窓のない部屋で、いろんなことを考えた。
「なんでこの部屋には窓がないんだろう?」
「世界で窓のない部屋に住んでる人は何人ぐらいいるんだろう?」
「・・・・・・」
「ゆみさん、今頃、楽しんでるかなあ?」
「・・・・・・」
「ゆみさん、イケメンとの素敵な出会いあったのかなあ?」
「・・・・・・」
「俺、モテねーな」
「・・・・・・」
「ゆみさんも結局イケメンが好きなんだろうなあ」
「イケメンっていいよな」
「イケメンに生まれてきたら人生変わったかな?」
「でも、イケメンに生まれてきたらこんなに努力はしなかったかな」
「・・・・・・」
「46歳の男って年とりすぎだよな」
「・・・・・・」
「若いっていいな」
「・・・・・・」
「女も若い男が好きなんだな、きっと・・・・・・」
その後、まるまる3日間、水も含め、飲まず食わず、ただただベッドに横たわっていた。
「つーか、このままの状態が続くと、俺、ここで死ぬかも」
「ここで死んだら、マヌケだな」
「・・・・・・」
「ゆみさんに助けを求めたら迷惑だよな。うん」
「・・・・・・・・・・・・」
自然とスマホを手に取った。
「ゆみさん、今晩がホーチミンラストナイトだな。一応LINEしておこう」
人間とは不思議なモノだ。
こんな状態でも、気になる女性に連絡を取ろうとする。
ゆみさんの性格を考えると、そろそろあの気持ち悪い「あいのりノリ」に飽きてるかもしれない。
淡い期待を込めてLINEしてみた。
【宿移りました。体調崩してずっと寝てます】
7時間30分後、返信があった。
【そうだったんですか。大丈夫ですか? バンコクのホテルにいるんですか?】
すかさず返信した。
【まだ、ホーチミンだよ】
その後、既読にはならなかった。
また放置された。
またホーチミンで放置民だ。
窓のない部屋で食中毒に見舞われた
46歳バツイチの哀しき放置民だ。
結局、4日間飲まず食わずで、4日後になんとか起き上がり、
窓のない部屋から出て、やっと水を飲むことができた。
「それでも旅はまだ続く」
俺は水をグビリと飲み干し、そう思うことにした。
タイの北部チェンマイで胸の奥に生まれたゆみさんへの気持ちが恋なのか?
国境を超え、ホーチミンまで確かめに来た結果……
「ホーチミンで放置された」
これが、今回の恋の結末だった。
もちろん、ゆみさんが悪いわけではない。
宿の人とのノリがあわなかったり、ゆみさんとのタイミングがあわなかったり、さまざまなことが裏目で出たうえに、とどめの食中毒で俺が勝手に自滅しただけだ。やはり、窓のない部屋で寝込んでいると、人はネガティブに物事を考えてしまうようだ。
一応、ゆみさんのフォローのために書いておくが、Wi-Fiスポットの少ないホーチミンではLINEを見れる環境は少ない。
彼女は旅の途中の香港の空港でこのLINEを見ることができたらしい。そして、病気の励ましと丁寧な旅のお礼の返信を頂いた。やっぱり良い娘だ。
「俺がもう少しイケメンで、あと20歳若かったらな~」
脳内にまた、80年代ドラマ「毎度お騒がせします」のテーマ曲が流れてきた。
♪誰か Romantic 止めて Romantic
胸が~ 胸が~ 苦しくなる~
惑う瞳に 甘く 溺れて
Hold me tight せ~つなさ~は
止まらない
まさか30年前の曲がこんなに心に響くとは思わなかった。
それにしても、この曲を歌っていた、ピンクの頭をしていたC-C-Bのりゅうこうじ、彼、モテたのかなぁ?
本当に「毎度お騒がせします」だなぁ、俺の恋は……。
次号予告「ホーチミンに別れを告げた哀しき放置民おじさんは何処へ!?」を乞うご期待!
1969年大分県生まれ。明治大学卒業後、IVSテレビ制作(株)のADとして日本テレビ「天才たけしの元気が出るテレビ!」の制作に参加。続いて「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ)の立ち上げメンバーとなり、その後フリーのディレクターとして「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ)「トリビアの泉」(フジテレビ)をチーフディレクターとして制作。2008年に映像制作会社「株式会社イマジネーション」を創設し、「マツケンサンバⅡ」のブレーン、「学べる!ニュースショー!」(テレビ朝日)「政治家と話そう」(Google)など数々の作品を手掛ける。離婚をきっかけにディレクターを休業し、世界一周に挑戦。その様子を「日刊SPA!」にて連載し人気を博した。現在は、映像制作だけでなく、YouTuber、ラジオ出演など、出演者としても多岐に渡り活動中。Youtubuチャンネル「Enjoy on the Earth 〜地球の遊び方〜」運営中






https://www.youtube.com/@gottsu/about
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