年収が下がる人は“日頃の行動”に原因あり!?
会社員の平均年収は、’97年(平成9年)を境に下降の一途をたどっている。だが、’09年以降は横ばいに転じ、ここ何年かはアベノミクスの影響もあって若干盛り返し傾向。「給料が上がらない」のは、もはや既定路線とはいえ、こう考えている人も多いのではなかろうか。「下がりさえしなければいい」と。
だが「一見、横ばいに見えても、その裏では“上がる人”と“下がる人”の格差が広がっています」と警告するのは、労働ジャーナリストの溝上憲文氏。
国内の製造業を例に取ると、40歳前後の年収分布では、同期トップの部長職が1200万円~1500万円、万年ヒラ社員ではせいぜい600万円と、実に倍以上の開きが出ているという。もはや“平均年収”のデータに何の意味もない……というのは知る人ぞ知る事実。そして、コストカットに余念のない企業は、有能な社員をどんどん昇給させる一方で、無能な社員は容赦なく減給している。
「日本企業の給与システムは、’00年前後の成果主義の導入で大きく変わりました。これによって、従来は“黙っていても給料が上がる仕組み”だったはずの定期昇給は、実質的な降給制度に変貌したのです。さらに、ここに来て“月給をポストで決める”という新たな動きが登場し、去年あたりから年間評価で管理職を“降格”できる仕組みを取り入れる企業(ソニー、パナソニック、日立など)が増えてきた。この流れは今後も広がっていくでしょう」(溝上氏。以下同)
能力給の見直しによる降給は、せいぜい月数千円といったところだが(それでも、ボーナスまで含めると年間10万円単位の減額に)、ポスト降格すると、月5~10万円の減額も珍しいことではなくなる。
ただ、これほど大幅な減給となると社員も黙っていないのでは?
「カゴメの例では、役員クラスから率先して制度を取り入れていったので、下も文句が言えなかったようですね。ちなみに、通常こういうケースでは労働組合が盾になってくれますが、労組は基本的に非管理職の味方なので、40代でターゲットにされやすい“部下なし管理職”などについては大して力になってくれないのが現状です」
こうした厳しい現状に、対抗する策はあるのだろうか?
「成果主義といっても、実は必ずしも数字だけが見られているわけではありません。もちろん、営業職などでは業績が給与を左右しますが、事務系ではむしろポテンシャル、行動評価重視です。業績至上主義者に見えたGEのジャック・ウェルチですら、行動評価の重要性をアツく説いていますからね。部下をうまく育てているか、チームをまとめる力はあるか……なかには“人望”を評価する企業まで。ボーナスには業績が反映されますが、昇進の決定に占めるウェイトも行動評価のほうが上。つまり、日頃の“ふるまい”が年収を決定するというわけです」
2/2発売の週刊SPA!では「年収が下がる人はどっちだ?」という特集を組んでいる。「昨年度の年収が前年度より“上がった”」150人と、「昨年度の年収が前年度より“下がった”」150人を対象に、職場やプライベートでの習慣に関するアンケートを行い、両者の回答を比較した。その中から、年収UP組と年収DOWN組の間で回答数に差が見られた25項目について検証を行った結果、「年収が下がってしまう人に共通する生活習慣」が見えてきたのだ。年収DOWNを回避できるヒントが知りたい方はご一読いただきたい。 <取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/石原まこちん>


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