高橋みなみ、10代で自分を“凡人”と認めた強さ――「だからAKB48に10年いられたんです」
AKB48の小さな巨人がついに卒業する。“たかみな”こと高橋みなみ。当初は違和感すらあった「総監督」という役割を世に知らしめ、リーダーとしてその重要さを浸透させた。だが、彼女自身は最新著作『リーダー論』にて、自分のことを「凡人」と言い切っている。国民的アイドルグループのフロントマンとして第一線を駆け抜けてきた彼女が、決して自虐的にではなく、なにゆえそう口にしたのか? 卒業を控えた今だからこそ聞けた言葉には、10年間のわだちが詰まっていた。
――『リーダー論』は泣ける新書でした。高橋さんが「凡人だ」と言い切り、「だから頑張るしかない」とのドキュメント性が感動的で。
高橋:ありがとうございます。
――凡人ですか?
高橋:凡人ですね、本当に(笑)。今までAKB48を卒業していったメンバーをたくさん見てきましたけど、彼女たちには“才”があるなぁと痛感してきましたから。前田敦子然り、大島優子然り。前田が卒業した時に、自分は彼女と同期で同い年だったので「あ、私も卒業を考えなきゃ」と思ったんですね。でも、その時期にすぐ決断できなかったのは、自分が凡人だったからです。前田は女優の道に進みたいと言う。じゃあ私には何があるんだろ、なんにもないじゃんって。そもそも、10代のわりと早い時期に「私は前田敦子にはなれない」と自覚していました。
――10代でのその自覚、切なくなかったですか?
高橋:いやぁ、相当切なかったですよ! 私、インディーズ1枚目のシングル「桜の花びらたち」でセンターだったんですね。秋葉原の劇場の7人のお客さんから始まって、少しずつファンの方が増えていったんですけど、ゆっくりと人気の差も出てくる。ポジション的には私と前田が恵まれていたんですが、彼女のほうが人気も出てきて、それを反映するように次第にセンターは前田敦子というイメージが固まっていって。当時15歳か16歳だったと思うんですけど、そんな幼い年齢でも「あ、私はもう二度とセンターには立てない」とわかるんです。その現実を受け止めるのは……ちょっと厳しかった。
――アイドルという華やかな世界で、10代の自分を凡人と認識するのは、かなり難しいことではと想像します。
高橋:たしかに、凡人さを認められない人もいっぱいいますよね。みんなどこかで「自分は凡人だ」と感じてはいても、認めたくはないじゃないですか。でも、現実を受け止めて「凡人なので頑張ってるんです。だから10年いられたんです」と言い切れるコのほうが強いんじゃないかなぁって、私は思います。だから、後輩の指原(莉乃)は強い。かわいらしさでいけるタイプじゃないと自覚して「ギリギリの言葉だって言いますよ? それが指原です」って自分の武器を見つけて。あの人はAKB48の革命児です。
――リーダーという役割に、快感はあるものですか?
高橋:やっぱり女のコのグループはいろいろあるんです。気分の波が激しいし、集合時間などもぐずぐずになったりするから、かつては語気を荒らげて「やる気がないなら帰れよ!」とか言ってしまうこともありました。そうしないと本当にまとまらなかった。私も未熟でしたが、そうやって必死で引っ張っている姿からもおわかりかと思いますが快感という言葉とは全然違いますね。そんなに楽なものではないです、AKB48というグループをまとめるのは。だって私、キャプテンになった時点で「アイドルは捨てなきゃ」と、まず決めましたから。
――どういうことでしょう?
高橋:アイドルにはかわいらしさや応援したくなるような弱さが必要ですよね。でも、リーダーってかわいげがないし、強い人間だと思われてしまう。それなら自分はアイドルは捨ててキャプテンとして頑張ろうと思ったんです。ただ、AKB48全体としてはアイドルだから、割り切ったつもりでも、どうしたって矛盾があって。だから、19歳の時に倒れてしまったんだと思います。劇場公演の出番が終わって「ありがとうございました!」と、はけた瞬間に倒れて気を失って、2日間入院したのかなぁ。過労と診断されましたけど、アイドルとリーダーの矛盾からのストレスもあった気がする。
――病室で何を思いましたか?
高橋:あぁ、自分の代わりっているんだなぁって。
――19歳でその自覚をしてしまうって、切ないです。
高橋:見ちゃったんです、自分が出ているはずのテレビ番組を、病室で。後輩が生放送の番組を頑張ってくれていて……。でも、今では笑い話ですよ。
――快感はなくストレスはある。それでもなぜリーダーを続けてこられたのでしょう?
高橋:“誰かが絶対に見てくれている”というありがたさ。これに尽きます。もしかしたら、きれいごとに感じる方がいるかもしれないですけど、本当にそれしかなかった。たとえば、前田や大島がソロのインタビューで「いや、たかみながいなかったら今のAKB48はないです」と本気で言ってくれていたり。たとえば、19歳で倒れた時も(篠田)麻里子さまから「今はしっかり休んで。でも抱え込みすぎだからね」とメールが届いたり。たとえば、ファンの方やスタッフさんやメンバーからの「ありがとう」という言葉。そういういっぱいの“たとえば”のおかげで、ライフポイントが回復するというか、やっててよかったなぁと思えるんです。あぁ、ちゃんと見てくれてる人がいるんだなぁって。
※このインタビューは週刊SPA!12/15号のインタビュー連載「エッジな人々」から一部抜粋したものです
<撮影/江森康之 取材・文/唐澤和也 ヘアメイク/大場聡美 スタイリスト/岡村 彩 衣装/merryjenny>

アイドルを捨ててキャプテンを頑張ろうと
![]() |
『週刊SPA!12/15号(12/8発売)』 表紙の人/ 広末涼子 電子雑誌版も発売中! 詳細・購入はこちらから ※バックナンバーもいつでも買って、すぐ読める! |
|
『リーダー論』 AKB48を卒業する高橋みなみが、最後に語る“リーダー論”。 ![]() |
【関連キーワードから記事を探す】
AKB48 八木愛月&伊藤百花の仰天エピソード”告白”に花田藍衣もびっくり
AKB48・村山彩希「このイベントがこれからもずっと続いてほしい」 AKB48Gのトップシンガーが集結したライブが開催
後藤真希とAKB48が『LOVEマシーン』でコラボ!村山彩希「ニヤニヤが止まらない」
AKB48「二十歳のつどい」に白ヘビ現る!?八木愛月「『第二期黄金期』を私たちが作る!」
AKB48・水島美結と秋山由奈が成長の一年を振り返る
「風呂に入らない」と公言するアイドルを直撃。風呂キャンセル界隈から支持されるも「シャンプーのCMオファーは永遠に来ない」
女性用風俗を副業にしたら……20代消防士が「3万円の実技研修」で学んだエロ演出と裏オプの実態
元セクシー女優が暴露「“オタク女子”がデビューする意外な理由」。男性タレントと“繋がり目的”の女優も
元アイドルがソープ嬢に。「ソープは楽しい」と思えた意外な理由。客の心を掴んだ握手会プレイとは
熱さを忘れさせる!? サウナ室でライブ15分する“ネパドル”とは?
元SKE48・高柳明音「集大成ではなく“はじまりの一冊”」3rd写真集『あかねのそら』から始まる20周年に向けた夢
SKE48・熊崎晴香「全員が主役」12人選抜で見えたメンバーそれぞれの可能性
「急な出張」を理由に休んだPTA役員の“ズル休み”を目撃。スマホで隠し撮りをして本人に問い詰めた結果…
ママ友に“利用され続けた”30代女性。会計時に店員が言った「スッキリする一言」で縁を切ることができたワケ
上場企業を売却して得た20億円を“わずか2年で失った”ギャンブル中毒。「一度きりの人生、リスクを取って行動を起こしてみろ」
実際の西郷隆盛は美男子だった!? 妻が上野の西郷像に対して言った文句の真相
離婚歴2回、結婚3回…幕末の英雄・西郷隆盛はどんな人物だったのか?
35歳、滝沢秀明のジャニーズ式リーダー論「絶対に後輩にやらないようにしていること」
DeNA前球団社長・池田純×全日本柔道監督・井上康生、2人のリーダーに共通する考え方「個人の得より社会の徳」
高橋みなみ、10代で自分を“凡人”と認めた強さ――「だからAKB48に10年いられたんです」
前田敦子、性被害を描いた主演作に「かわいそうな人だと見てほしくない」
前田敦子が「恋愛経験が少ない人のほうがもったいない」と語るワケ
前田敦子は女優として生き残れるか? 日本ではなく海外で花開く可能性も
前田敦子の別居報道。離婚歴のある熟女キャバ嬢の見解
今や“母”になったAKB&坂道グループのOGたち。畠中清羅も妊娠発表
SKE48卒業を控えた大場美奈「おばあちゃんになっても会いに来てほしい」
元欅坂46・佐藤詩織「今は自由で、毎日があっという間」と語る今。 欅坂46で得たモノとは
春の卒業旅行が中止になった切ないワケ。賠償金を50万円請求されて…
松井珠理奈がSKE48からの卒業を発表
AKB48の1期生・峯岸みなみ、卒業前の「最後のリクアワ」