ヤクルト・真中満監督の「キャッチボール改革」とは? 最下位からリーグ優勝できるチームに変えた方法
一昨年の借金は「26」。昨年も借金「21」。開幕前の順位予想では最下位予想が多数を占めた東京ヤクルトスワローズ。就任1年目、44歳の青年監督・真中満はそんな弱小チームをリーグ優勝に導いた。
「周りが思っている最下位より、そんなに下じゃない」
2年連続最下位のスワローズ監督に就任した真中満は、開幕前にこんな印象を抱いていた。
「10勝すれば5割。そうすれば最悪3位でAクラスに入れる。143試合で10勝の上乗せなら、守りで踏ん張れば拾える。僅差のゲームをしつこく粘って終盤、勝ちを拾う試合を去年(’14年)より10試合くらい多くつくろう」
今年のチームスローガン「ツバメ改革」に倣うかのように、新人監督は春季キャンプからチーム改革に乗り出したが、それは驚くほどシンプルな改革だった。
「三木(肇・守備コーチ)が『キャッチボールを大事にしよう』と何度も説いたんです。普通、プロのレベルだとキャッチボールなんて気にもしない。だけど三木はそこを大切にした。キャッチボール前に今日の課題を言ったり、小話を入れたり。キャッチボールが、ただの肩慣らしじゃなくなった」
相手の胸を目がけてボールを投げる。当たり前のことをチーム全員で徹底して意識した。そこには、「プロでもキャッチボールが苦手な人が多い。特に外野手なんて意外と胸に投げられない」という真中の実体験も生きていた。
“キャッチボール改革”では、もうひと工夫も加えた。
「相手を毎日代えるようにした。キャッチボールはいつも同じ相手とやりがちだから敢えてね。するとコミュニケーションが増え、仲間の特徴が掴めるようになった」
地味ながらもチーム全体に新たな連帯感が芽生えた。仕事における基本中の基本をメンバー全員のコミュニケーションツールにする。一般の仕事でも参考になりそうな“改革”の方法ではないだろうか。
取材・文/小島克典 撮影/ヤナガワゴーッ! 再構成/SPA!編集部
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