販売台数は目標の1.5倍強…三菱自動車が12年ぶり投入、「トライトン」はなぜ好調なのか
上級車種が9割、デザイン人気
三菱自動車が2024年2月に国内で発売した新型1トンピックアップトラック「トライトン」の売れ行きが好調だ。25年1月までの12カ月間累計の販売台数は3978台。月平均約332台で、目標とする月200台の1・5倍強の水準で推移する。トライトンとしては6世代目で、日本市場では12年ぶりの投入。外観デザインや“ピックアップトラックと思えない”乗り心地が好評を得ている。(大原佑美子)
「総需要の中で見ると台数が多いわけではないが、ニッチだからこそ待っていた顧客に売れているのではないか」。こう分析するのは、三菱自商品戦略本部の板垣邦俊チーフ・プロダクト・スペシャリストだ。
二つあるグレードのうち、ユーザーの約9割が上級の「GSR」を選んでいるのも特徴だ。上級車種が人気の背景について「『せっかくなら良いモノを』という理由に加え、デザインを受け入れていただいたのが一番大きい」と板垣氏は語る。ホイールアーチモールやホイールといった外観のパーツを黒色にし「タフでかっこいい」イメージを強調。荷台にも装飾があり「こうした車が好きな人は自身でカスタマイズし架装する。(GSRのデザインが)しっかりとそのベースになれている」(板垣氏)との見立てだ。

トライトンは1978年に発売した「フォルテ」がルーツ。東南アジア諸国連合(ASEAN)をはじめ世界約150カ国で年間約20万台を販売する三菱自の中核モデルだ。スポーツ多目的車(SUV)「パジェロ」で培った独自の4輪駆動(4WD)システム「スーパーセレクト4WD―II」により、街中、雪道、岩場といったあらゆる路面環境で安定した走行が可能。地域別では「北海道からの注文も多い」(三菱自)という。
ドライブモードはノーマル、スノー、ロック(岩場)など七つを設定。雪道に適した「スノーモード」では、急な下り坂の降下時に自動で安全速度を保つ運転補助機能「ヒルディセントコントロール」を用いることで、雪道の運転に不慣れな人もステアリング操作に集中できる。頂上付近が見えないほどの急な上り坂でも時速10キロメートル以下の走行で車載カメラで前方の道を確認できるなど、高低差の激しい道の走行に向く。
サスペンションの刷新により、でこぼこのある道を走行する際も「どーんと突き上げられる感覚がない」(同社)。旋回性能とトラクション性能を向上させた「アクティブヨーコントロール(AYC)」などにより、車体の大きさを感じさせない取り回しの良さも強み。こうした扱いやすさも人気につながっているようだ。
板垣氏は「台数を追い、幅広い人に届けるという点を考えると日本でその役割を担うのは軽自動車などだろう」とした上で、「東南アジアなど世界ではトライトンのような車もとても大事。一定程度の台数をしっかり販売しながら利益貢献していく」と強調。今後もグローバル戦略車として提供価値を高める方針だ。
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