メディカル事業で減損…キヤノンの前12月期は増益予想から一転、営業益25%減
キヤノンが発表した2024年12月期連結決算(米国会計基準)は、営業利益が前期比25・5%減の2797億円だった。ウクライナ戦争によるロシアビジネスの縮小、中国や日本での市場環境の悪化などが影響し、コンピューター断層撮影装置(CT)などを手がけるメディカル事業で1651億円ののれんの減損損失を計上。24年10月時点の増益予想から一転、大幅減益となった。ただ、長期的に成長を期待する事業との位置付けは変わらず、構造改革を進め収益性の改善を急ぐ。

16年に東芝から医療機器子会社を買収して以降売上高は伸ばしてきたが、中国の景気悪化や日本の医療機関の経営悪化などにより「業界自体が苦戦した。23年はこの状況をリカバリーできると判断したが、24年は極端に損益面が悪化した」(田中稔三副社長最高財務責任者〈CFO〉)。24年2月に専門組織を立ち上げ、収益改善活動を本格化させた。
一方、ミラーレスカメラや監視カメラ、半導体露光装置などの販売は好調で、連結売上高は前期比7・9%増の4兆5098億円で着地。25年が最終の中長期経営計画で掲げた4兆5000億円以上を1年前倒しで達成した。
25年12月期連結業績予想は売上高が同5・0%増の4兆7360億円と、2期連続で過去最高の更新を目指す。営業利益は同85・5%増の5190億円の見通しで、監視カメラと半導体露光装置の市場成長、24年に販売会社で実施した構造改革効果などが寄与する。
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日刊工業新聞 2025年01月31日