ニュースイッチ

レゾナック・三井化学…半導体後工程狙う化学大手、素材技術生かす

レゾナック・三井化学…半導体後工程狙う化学大手、素材技術生かす

レゾナックはJOINT2で「チップ埋め込みインターポーザー」の試作品を開発

化学大手が半導体後工程に関わる製品開発を活発化している。レゾナックは研究開発コンソーシアムで、有機インターポーザーの開発などの成果を着々と創出。三井化学は半導体製造工程で使う「イクロステープ」の知見を活用した展開や、新たな接合材の開発などを進める。各社は技術革新が速い半導体の需要に対応し、強みの素材技術などを生かした取り組みを急ぐ。(山岸渉)

レゾナック、チップ埋め込み中間基板

レゾナックが事務局を務める日本の研究開発コンソーシアム「JOINT2(ジョイントツー)」。その成果の一つとして開発されたのが、「チップ埋め込みインターポーザー」の試作品だ。

縦510ミリ×横515ミリメートルのパネル(ガラス基板)を使って製造し、有機インターポーザー1枚に20個のブリッジダイを搭載する。従来のシリコンウエハーを活用するインターポーザーに比べ、よりコストを抑えた効率的な対応が可能とみる。

チップと基板をつなぐ中間部材であるインターポーザーは、生成人工知能(AI)など次世代半導体の性能向上に合わせて大型化が求められている。生産性を上げるためにパネルの活用が検討されていることなどに対応し、次世代に向けた大型化ニーズを取り込む。

レゾナックの畠山恵一パッケージングソリューションセンター長は「技術の組み合わせだけでなく、工程の順番をどう通していくかなども重要だ」と語る。JOINT2に参画する各社の技術力に加え、装置の条件設定や材料の工夫など超微細な回路線幅に対応する“擦り合わせ力”が生かされた好事例だ。

三井化学、接合材150℃で永久に

一方、三井化学はウエハーの保護などに使うイクロステープや、その派生品の展開に力を入れる。封止材を成形する際に使われる、PFASフリーで高耐熱の離型フィルムの提案を進める考えだ。耐熱性を付与したダイシング工程向けのテープも手がけており、工程の効率化に貢献する。同社が持つ設計技術の知見などが生かされている。

三井化学はイクロステープなどの半導体向け製品の展開に力を入れる

また、3次元(3D)積層向けの新たな接合材の開発にも力を入れる。3D積層では、半導体チップ同士を貼り合わせる「ハイブリッドボンディング(接合)」が主流となる見込みだ。だが、異物が混入しないように高いクリーン度の装置が必要になるなど、コストや工程が増える課題があった。

これに対し、三井化学が開発した接合材は室温で仮接合できるとともに、150度Cの低温で永久接合も可能という特徴を持つ。ポリマー系接合材で生じる、硬化する際に変形してしまうことによる位置ずれなどの課題にも対応している。「一般的に使われているハンダの実装技術の代わりになるように提案する」(稲田智志新事業開発グループサブグループリーダー)意向だ。


【関連記事】 大手化学メーカー、構造改革の行方
日刊工業新聞 2025年1月13日

編集部のおすすめ