【速報】認知症の夫に一日に何度も性的行為せまられ、うつ病を発症 殺人罪に問われた75歳の女性に執行猶予付き判決 「誰にも相談できなかった心情は理解できる」
2023年11月、和歌山県白浜町の自宅で、当時82才の夫の首を絞めて殺害したとして殺人罪に問われた75歳の女性の裁判員裁判で、和歌山地裁は21日、懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡しました。 【ノーカット版】斎藤兵庫県知事が取材に応じる 竹内英明元県議の死亡受け
判決によりますと、女性は、布団で寝ていた夫に馬乗りになり、首をタオルでしめつけるなどして窒息死させました。犯行の背景には、認知症の夫から頻繁に性的行為を求められ、嫌悪感を募らせていたことがあったと指摘しました。
判決では、夫が事件の8年前に認知症と診断され、突然怒り出すなどの症状が現れてからも、女性が介助にあたっていたと言及。事件前には、夫から1日に何度も性的行為を求められるようになり、「拒むと夫が不機嫌になることから、嫌悪感や負担感が強くなる一方、夫の望みを叶えたい気持ちもあって強く葛藤していた」と指摘しました。女性はうつ病にかかり、希死念慮があったということです。女性は犯行後に自殺を断念し、自首しました。
これまでの裁判で、女性は「間違いありません」と起訴内容を認めていました。検察は「行政サービスや親戚に話を聞いてもらうなど、殺害以外に採り得る手段があった」などとして、懲役5年を求刑。弁護側は「うつ病と診断され、自分が死ぬことを考えたが、夫を置いていくことができなかった」として、執行猶予つきの判決を求めていました。
21日の判決で和歌山地裁は、女性が夫婦間の性的な問題で悩んでいたことを踏まえて「夫の恥になると思い、誰にも相談できなかったという心情は理解できる」、夫妻が高齢で社会とのつながりが薄れていたことなどから「被告人が採り得る措置を尽くしていなかったとして非難するのは酷」と量刑の理由を示しました。
福島恵子裁判長は、退廷前に「今後さみしい思いをすることもあるが、一人で抱え込むことをせず、周りに相談をするように」と付け加えました。