いいヘッドホンって?
いいヘッドホンって? / Credit:Depositphotos
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いいヘッドホンとは、どんなヘッドホンなのか?

2021.12.01 17:00:04 Wednesday

多くの人は、音楽、映画、ゲーム、オンラインコンテンツなどを楽しむため、週に何時間もヘッドホンを使用しています。

しかしお店には、種類や価格帯がさまざまなヘッドホンが並んでおり、何を選べばよいか悩んでしまいます。

アメリカの「インディアナ大学-パデュー大学インディアナポリス校(IUPUI)」音楽芸術技術科のティモシー・スー助教授は、「いいヘッドホン」の定義を解説しています。

プロのミュージシャンであり音楽技術の専門家であるスー氏によると、いいヘッドホンの選択には、科学的・芸術的・人間の主観的な要素を考慮する必要がある、というのです。

Great headphones blend physics, anatomy and psychology – but what you like to listen to is also important for choosing the right pair https://theconversation.com/great-headphones-blend-physics-anatomy-and-psychology-but-what-you-like-to-listen-to-is-also-important-for-choosing-the-right-pair-171171

人間の耳の限界

「いいヘッドホン」の定義を考えるためには、まず音と耳の仕組みを知っておくべきです。

物理学で考えると、音とは空気の振動が作り出す波です。

空気分子が圧縮した状態と拡散した状態が繰り返されている
空気分子が圧縮した状態と拡散した状態が繰り返されている / Credit:Pluke(Wikipediacommons)_CPT-sound-physical-manifestation.svg

音源から発せられた音は圧力として、空気分子を圧縮したり拡散したりします。

この繰り返が波となって空間を伝わり、私たちの耳に特定の音を伝えてくるのです。

そして1秒当たりのサイクル数(周波数)が多いと高音になり、少ないと低音になります。

この音程の単位はHz(ヘルツ)であり、人間が認識できる周波数は20~2万Hzだと言われています。

また、波の幅(波高)で音の大きさが変わったり、波の形の違いで音色が変わったりします。

たとえば四角い波形(矩形波)だと、8ビットサウンドと呼ばれるファミコン音源のような音になります。

そして人間の耳は、これら空気の振動の細かな部分(波の数、波の大きさ、波の形)を捉えて、信号に変換し、最終的には脳に伝えます。

耳の仕組み
耳の仕組み / Credit:Depositphotos

この経路は複雑で、次のような信号伝達が次々に行われています。

  1. 空気の振動
  2. 鼓膜
  3. 中耳の骨の振動
  4. 内耳で電気信号に変換
  5. 脳が音として解釈

「音の情報」が形式を変え、伝言ゲームのように伝わっていますね。

伝わっていく過程での誤差を考えると、人によって聴こえ方がいくらか異なるのも理解できます。

また、そもそも人間の聴覚自体が、すべての周波数を同等に感じることはできません。

低音と高音が数値的に同じ大きさだったとしても、人間は低音の方が小さく聴こえてしまうのです。

さらに一般的には、人間の耳は高音や低音よりも中音に敏感だと言われています。

つまり、発信源が物理学的にフラットな音を流したとしても、人間がフラットに聴こえることはないのです。

これは「いい音のヘッドホン」をつくるエンジニアや、製品を選ぶ私たちにとって重要なポイントだと言えるでしょう。

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