米ネバダ州ヘンダーソンにあるセントラル・キリスト教会では、日曜日朝の礼拝に4850人が集う。スポットライトで照らされた会堂内の黒い壁は、ロックバンドの音楽に合わせて鼓動し、人々は歌い、踊り、手拍子をする。ブロードウェイで最も大きな劇場でさえ、この半分の人数しか収容できない。(参考記事:「ルネサンス期の教会にステレオ効果?」)
ステージ横の巨大画面には、大きすぎるバスタブのような洗礼槽に順番に身を浸して、牧師から洗礼を授けられる人々の列が映し出されている。
セントラル教会は、ヘンダーソン以外にも全米各地と国外に集会所を持ち、すべて合わせると毎週の礼拝出席者数は2万1000人を超える。だが、それすらも48万人という世界最大のメガチャーチ(大教会)の礼拝出席者数に比べれば見劣りする。
「メガチャーチ」とは、米ハートフォード宗教研究所によれば、定期的に礼拝に出席する人の数が2000人を超えるキリスト教プロテスタントの教会のことを指す。また、セントラル教会のように礼拝出席者数が1万人を超えると、「ギガチャーチ」と呼ばれる。(参考記事:「謎に包まれたイエス・キリストの最期の日々」)
メガチャーチは、今に始まった現象ではない。メガチャーチとして世界で初めて認められたのは、ロンドンにあるバプテスト・メトロポリタン・タバナクル教会だった。1861年に、初期福音主義の説教者で著作家のチャールズ・スポルジョンによって創立された。米国では、1920年代の論争的な説教者だったエイミー・センプル・マクファーソンによって建立されたロサンゼルスのアンジェラス・テンプルに、定期的に5000人以上の信者が集まっていた。
しかし、比較的新しい現象と言えるのは、これまでのようなメガチャーチが田舎の小さな教会に見えてしまうほど、最近の教会の成長ぶりが驚異的であることだ。ハートフォード宗教研究所によれば、今では米国のメガチャーチの約70%が、複数カ所にサテライト集会所を置いているという。そして、そのうちの半分近くが、4カ所以上に集会所を持つ。2000年には、サテライト集会所があるメガチャーチは23%に過ぎなかった。
その成長は、偶然に起こったことではない。ほとんどのメガチャーチが、地理学と人口統計学を使ってどこに新しい集会所を開くべきかを決定しているのだ。(参考記事:「すべては地理学だった」)
運転時間を考慮する
メガチャーチやギガチャーチは、往々にして必然的に不動産業に手を出すことになる。航空機格納庫のような巨大な集会所を次にどこに建てようか決めるとき、教会はただ適当に地図めがけてダーツを投げるようなことはしない。
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