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「初春歌舞伎公演」は、
終演直後に行われた囲み取材には、菊五郎、楽善、菊之助、彦三郎、時蔵に加え、若党友平 / 立浪家家臣 十時伝五役の
菊之助は「『彦山権現誓助剣』は仇討ちのお話なのですが、“人を思う”ことにより自分の業が晴れていく、善因善果、つまりいいことをすればいいことが返ってくるという物語でもあり、お正月にふさわしい演目かと。きっと観てくださったお客様も、お正月の気分を味わいながら、気持ちを新たに楽しい気持ちでお帰りいただけるのでは」と演目の魅力を語り、初役となる六助について「まだまだ至らぬところはございますが、彦三郎さんと時蔵さん、そしてここにいらっしゃる皆さんと一緒に、チームワーク良く勤めさせていただいております」と共演者への信頼を言葉ににじませた。
彦三郎は「先ほど仇討ちされてしまったので、今どんなテンションでいたらいいのかわからないんですけど……(笑)」と冗談を飛ばし、周囲の笑いを誘ったあと、「普通は悪役にも味方がいるものですが、この作品では、僕が唯一の敵役。1人で悪を背負い、嫌われるために一生懸命がんばって勤めております!」と笑顔を見せた。時蔵は「お園は、もうとても楽しい役です。『瓢箪棚』の場で、お園の鎖鎌を使った立廻りがあるのですが、そこが私の一番の眼目でございます(笑)。この場面で、いかに(彦三郎演じる京極内匠の)刀に鎖を巻き付けられるかが重要で……」と熱く話すと、彦三郎は「舞台稽古で、初めてしっかり(鎖が刀に)巻き付いた瞬間は、2人で思わず『やったー!』と言ってしまいましたね(笑)」と笑顔を見せ、時蔵も「『初めてうまくいった!』と(笑)」と相好を崩した。
今年5月には、菊之助は八代目菊五郎、丑之助は六代目菊之助を襲名する。記者から襲名への実感を問われると、菊之助は「今回が菊之助として迎える、最後の『初春歌舞伎公演』となります。(襲名に向け)1日1日を大切に過ごしておりますし、5月に向けて2人で一生懸命稽古に励んでいるところでございます」と話す。記者から「丑之助さんは?」と問われると、丑之助は「……同じです(笑)。じわじわと緊張しています」と少し恥ずかしそうに回答し、報道陣を和ませた。
会見では、丑之助、眞秀、梅枝、種太郎、秀乃介にも発言させたい菊五郎が「若い人たち、しゃべらないの?」とそわそわする一幕が。最終的に菊之助が音頭を取り、5人が立廻りの感想をそれぞれ言うことになった。まず眞秀が「みんなでの立廻りがけっこう楽しくて。ずっと稽古をしていましたが、それも楽しかったです。あと、(坂東)亀三郎くんが明日帰ってくるので……」と、初日から体調不良で休演していた
梅枝は「刀を使っての立廻りが初めてだったので、うれしかった」と可愛らしくはにかむ。種太郎は「僕も梅枝さんと同じで、(刀を使った)立廻りをするのが初めてで、とっても緊張したけど、やってみたらすごく楽しかった!」と瞳を輝かせる。最年少の秀乃介は「ちょっと難しいけれど、がんばりたい気分です!」と元気いっぱいに話し、その愛らしさで周囲の大人たちの表情をとろけさせた。菊五郎は、5人それぞれの発言を、うれしそうな顔で頷きながら聞いていた。公演は1月27日まで。
令和7年初春歌舞伎公演
2025年1月5日(日)〜27日(月)
東京都 新国立劇場 中劇場
スタッフ
通し狂言「彦山権現誓助剣」
作:梅野下風 / 近松保蔵
補綴:国立劇場文芸研究会
出演
通し狂言「彦山権現誓助剣」
毛谷村六助:
京極内匠:
一味斎姉娘お園:
若党友平 / 立浪家家臣 十時伝五:
立浪家家臣 向山三平:市村竹松
立浪家家臣 捨川団八:市村光
真柴方の若武者:
一味斎孫弥三松:
一味斎妹娘お菊 / 立浪家家臣 井村六郎:
若党佐五平:
一味斎妻お幸:
早川一学 / 杣斧右衛門:
衣川弥三左衛門:
老女福栄:
吉岡一味斎 / 明智光秀の亡霊:
立浪主膳正:坂東楽善
真柴大領久吉:
※坂東亀三郎は、体調不良のため1月5日から7日まで休演。
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ryugo hayano @hayano
「彦山権現誓助剣」はお正月にふさわしい演目、尾上菊五郎は孫たちの立廻りに「上手くなってきたね!」 https://t.co/nC9iFbLS8E