「彦山権現誓助剣」はお正月にふさわしい演目、尾上菊五郎は孫たちの立廻りに「上手くなってきたね!」

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令和7年初春歌舞伎公演」が、1月5日に東京・新国立劇場 中劇場で開幕。本日7日に、同劇場で囲み取材が行われた。

「令和7年初春歌舞伎公演」の出演者。後列左から市村光、市村竹松、中村時蔵、尾上菊之助、尾上菊五郎、坂東楽善、坂東彦三郎、中村萬太郎、上村吉太朗、前列左から中村梅枝、尾上丑之助、尾上眞秀、中村種太郎、中村秀乃介。

「令和7年初春歌舞伎公演」の出演者。後列左から市村光、市村竹松、中村時蔵、尾上菊之助、尾上菊五郎、坂東楽善、坂東彦三郎、中村萬太郎、上村吉太朗、前列左から中村梅枝、尾上丑之助、尾上眞秀、中村種太郎、中村秀乃介。

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尾上菊五郎(中央)の「えい、えい、おー!」の掛け声で、一斉に拳を突き上げる出演者たち。

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「初春歌舞伎公演」は、尾上菊五郎を中心に、東京・国立劇場で行われていた新春恒例公演。2023年に国立劇場が建て替えのために閉場したあとは、新国立劇場 中劇場に場所を移し、実施されている。2度目の新国立劇場での「初春歌舞伎公演」となる今回は、通し狂言「彦山権現誓助剣」が上演される。物語の主人公・毛谷村六助役を尾上菊之助、悪役・京極内匠役を坂東彦三郎、そしてヒロイン・一味斎姉娘お園役を中村時蔵がいずれも初役で勤めるほか、本作には吉岡一味斎 / 明智光秀の亡霊役で中村又五郎、立浪主膳正役で坂東楽善、真柴大領久吉役で菊五郎らが出演する。

「この可愛らしい孫たち」と、前列の丑之助、眞秀、梅枝、種太郎、秀乃介を紹介する尾上菊五郎(中央)。

「この可愛らしい孫たち」と、前列の丑之助、眞秀、梅枝、種太郎、秀乃介を紹介する尾上菊五郎(中央)。[拡大]

終演直後に行われた囲み取材には、菊五郎、楽善、菊之助、彦三郎、時蔵に加え、若党友平 / 立浪家家臣 十時伝五役の中村萬太郎、立浪家家臣 向山三平役の市村竹松、立浪家家臣 捨川団八役の市村光、一味斎妹娘お菊 / 立浪家家臣 井村六郎役の上村吉太朗、真柴方の若武者役の尾上丑之助尾上眞秀中村梅枝中村種太郎、一味斎孫弥三松役の中村秀乃介が出席した。まず、菊五郎は「皆様、あけましておめでとうございます!」とよく響く声で、報道陣に丁寧にあいさつ。「お正月は、初台の国立劇場から! 六助とお園が艱難辛苦をして、京極内匠という大悪人を仇討ちし、大詰めではこの“可愛らしい孫たち”が一生懸命に立廻りをします。みんなの立廻り、だんだん上手くなってきたね!」と満面の笑みで、前列に座る丑之助、眞秀、梅枝、種太郎、秀乃介を見つめた。

尾上菊之助(後列右)

尾上菊之助(後列右)[拡大]

菊之助は「『彦山権現誓助剣』は仇討ちのお話なのですが、“人を思う”ことにより自分の業が晴れていく、善因善果、つまりいいことをすればいいことが返ってくるという物語でもあり、お正月にふさわしい演目かと。きっと観てくださったお客様も、お正月の気分を味わいながら、気持ちを新たに楽しい気持ちでお帰りいただけるのでは」と演目の魅力を語り、初役となる六助について「まだまだ至らぬところはございますが、彦三郎さんと時蔵さん、そしてここにいらっしゃる皆さんと一緒に、チームワーク良く勤めさせていただいております」と共演者への信頼を言葉ににじませた。

坂東彦三郎(後列左から3番目)

坂東彦三郎(後列左から3番目)[拡大]

中村時蔵(後列左)

中村時蔵(後列左)[拡大]

彦三郎は「先ほど仇討ちされてしまったので、今どんなテンションでいたらいいのかわからないんですけど……(笑)」と冗談を飛ばし、周囲の笑いを誘ったあと、「普通は悪役にも味方がいるものですが、この作品では、僕が唯一の敵役。1人で悪を背負い、嫌われるために一生懸命がんばって勤めております!」と笑顔を見せた。時蔵は「お園は、もうとても楽しい役です。『瓢箪棚』の場で、お園の鎖鎌を使った立廻りがあるのですが、そこが私の一番の眼目でございます(笑)。この場面で、いかに(彦三郎演じる京極内匠の)刀に鎖を巻き付けられるかが重要で……」と熱く話すと、彦三郎は「舞台稽古で、初めてしっかり(鎖が刀に)巻き付いた瞬間は、2人で思わず『やったー!』と言ってしまいましたね(笑)」と笑顔を見せ、時蔵も「『初めてうまくいった!』と(笑)」と相好を崩した。

父・尾上菊之助のあとに襲名への意気込みを問われ、「……同じです(笑)」と答えた尾上丑之助(前列中央)。

父・尾上菊之助のあとに襲名への意気込みを問われ、「……同じです(笑)」と答えた尾上丑之助(前列中央)。[拡大]

今年5月には、菊之助は八代目菊五郎、丑之助は六代目菊之助を襲名する。記者から襲名への実感を問われると、菊之助は「今回が菊之助として迎える、最後の『初春歌舞伎公演』となります。(襲名に向け)1日1日を大切に過ごしておりますし、5月に向けて2人で一生懸命稽古に励んでいるところでございます」と話す。記者から「丑之助さんは?」と問われると、丑之助は「……同じです(笑)。じわじわと緊張しています」と少し恥ずかしそうに回答し、報道陣を和ませた。

立廻りへの思いを語る尾上眞秀(前列左)。

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立廻りへの思いを語る尾上丑之助(前列右)。

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会見では、丑之助、眞秀、梅枝、種太郎、秀乃介にも発言させたい菊五郎が「若い人たち、しゃべらないの?」とそわそわする一幕が。最終的に菊之助が音頭を取り、5人が立廻りの感想をそれぞれ言うことになった。まず眞秀が「みんなでの立廻りがけっこう楽しくて。ずっと稽古をしていましたが、それも楽しかったです。あと、(坂東)亀三郎くんが明日帰ってくるので……」と、初日から体調不良で休演していた坂東亀三郎に触れると、背後に座っていた亀三郎の父・彦三郎が「すみません!(笑)」と謝る。彦三郎の勢いのある謝罪に、眞秀は思わず笑いつつ「亀三郎くんとも、明日からがんばって一緒にやっていけたら」と述べた。丑之助は「僕は、刀を用いた立廻りをあまりやったことがなかったので、できてうれしかったのと、立廻りの型をいろいろと学べて、とても良い経験でした」と語る。

立廻りへの思いを語る中村梅枝(前列左)。

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立廻りへの思いを語る中村種太郎(前列中央)。

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立廻りへの思いを語る最年少・中村秀乃介(前列中央)と、その愛らしさに思わず笑ってしまう共演者。

立廻りへの思いを語る最年少・中村秀乃介(前列中央)と、その愛らしさに思わず笑ってしまう共演者。[拡大]

梅枝は「刀を使っての立廻りが初めてだったので、うれしかった」と可愛らしくはにかむ。種太郎は「僕も梅枝さんと同じで、(刀を使った)立廻りをするのが初めてで、とっても緊張したけど、やってみたらすごく楽しかった!」と瞳を輝かせる。最年少の秀乃介は「ちょっと難しいけれど、がんばりたい気分です!」と元気いっぱいに話し、その愛らしさで周囲の大人たちの表情をとろけさせた。菊五郎は、5人それぞれの発言を、うれしそうな顔で頷きながら聞いていた。公演は1月27日まで。

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令和7年初春歌舞伎公演

2025年1月5日(日)〜27日(月)
東京都 新国立劇場 中劇場

スタッフ

通し狂言「彦山権現誓助剣」

作:梅野下風 / 近松保蔵
補綴:国立劇場文芸研究会

出演

通し狂言「彦山権現誓助剣」

毛谷村六助:尾上菊之助
京極内匠:坂東彦三郎
一味斎姉娘お園:中村時蔵
若党友平 / 立浪家家臣 十時伝五:中村萬太郎
立浪家家臣 向山三平:市村竹松
立浪家家臣 捨川団八:市村光
真柴方の若武者:坂東亀三郎 / 尾上丑之助 / 尾上眞秀 / 中村梅枝 / 中村種太郎
一味斎孫弥三松:中村秀乃介
一味斎妹娘お菊 / 立浪家家臣 井村六郎:上村吉太朗
若党佐五平:市村橘太郎
一味斎妻お幸:上村吉弥
早川一学 / 杣斧右衛門:片岡亀蔵
衣川弥三左衛門:河原崎権十郎
老女福栄:市村萬次郎
吉岡一味斎 / 明智光秀の亡霊:中村又五郎
立浪主膳正:坂東楽善
真柴大領久吉:尾上菊五郎

※坂東亀三郎は、体調不良のため1月5日から7日まで休演。

公演・舞台情報
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ryugo hayano @hayano

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