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ホテルマーケティングとは?集客のための戦略や実施手順を解説

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佐藤菜摘

ホテルの利用客を増やすためには、ホテルの魅力を広く発信し、顧客へのアプローチを行うことが欠かせません。ホテルに集客する手段といえば、まずオンラインの旅行会社の利用などが浮かびますが、それだけでなく、自社での集客を考えるマーケティング担当者も少なくないことでしょう。
本記事では、ホテルマーケティングの具体的な戦略や、手法を決めるための要素、実施手順について具体的に解説します。

目次

ホテルマーケティングとは、ホテルの魅力を伝え宿泊への関心を高める取り組み

ホテルマーケティングとは、顕在顧客や潜在顧客に対して、ホテルの魅力を効果的に伝えることでホテルのブランドイメージを高め、宿泊への関心を高めることです。

今、ホテルマーケティングが必要とされる背景としては、顧客ニーズの多様化に伴い、自社の魅力を効果的に伝える重要性が高まっていることが挙げられます。また、ゲストハウスやカプセルホテルなどの簡易宿所が増えており、それらがホテルや旅館のライバルとなっていることなども背景のひとつです。

厚生労働省の「令和5年度衛生行政報告例の概況」によると、2019~2023年の5年間で、全国の旅館・ホテルの施設数は約51,000件とあまり変化がありません。一方、ゲストハウスやカプセルホテルなどの簡易宿所の施設数は、4,000件あまり増加しています。簡易宿所は、何より宿泊料金の安さが魅力であり、ユーザーが宿泊先を選ぶ上で宿泊料金が大きな要素となっているのは確かでしょう。
ライバルが増える中でホテルを選んでもらうには、自社ならではの魅力を打ち出し、宿泊料金以外の要素も重視する顧客層に対して効果的に情報を届ける必要があります。

※厚生労働省「令和5年度衛生行政報告例の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/23/dl/gaikyo.pdf

ホテルマーケティングの戦略

ホテルマーケティングの戦略として考えられる施策は、以下のように複数あります。マーケティング目標に応じて、複数の施策を組み合わせて実施するのが一般的です。

公式サイトの改善

ホテルマーケティングの具体的な戦略のひとつが、公式 Web サイトの改善です。予約を増やすことを目標に、ユーザーの思考・行動を踏まえて、Web サイト上の動線を見直します。
また、高品質な写真やターゲットに合わせたデザインを取り入れ、ホテルの魅力を効果的に伝える工夫も欠かせません。さらに、モバイル対応を強化し、シンプルで使いやすい画面構成にすることで、ユーザーの利便性を高めます。これらの施策をデータ分析と併せて実施し、継続的に改善していくことが重要です。

OTA マーケティング

OTA マーケティングも、ホテルマーケティングの一種です。OTA とは、オンライン旅行会社を指します。公式 Web サイトや SNS だけでは情報が届きにくいユーザーに情報を届けるためにも、今や OTA の活用は必須となっています。
OTA マーケティングでは、まず施設のターゲット層に合った OTA を選ぶことが重要です。その上で、OTA における掲載順位などが上がれば、認知度が上がって予約増加が期待できます。

コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングとは、顧客にとって価値のある情報や体験を発信し、宿泊への興味につなげる取り組みです。ホテルの魅力を紹介するコラム記事やメールマガジン、動画コンテンツの配信といった手段が考えられます。

SNS マーケティング

ホテルマーケティングにおいては、SNS マーケティングも重要です。SNS マーケティングとは、Instagram や TikTok、X などの SNS を活用して顧客とつながり、ブランドの認知向上や集客を図る取り組みです。
SNS マーケティングでは、インフルエンサーの活用も選択肢のひとつです。依頼するインフルエンサーは、一般人と有名人の中間に位置する「知る人ぞ知る」存在を選ぶと、比較的低コストで、高いエンゲージメントを得られる可能性が高まります。

インフルエンサーマーケティングが盛んな中国では、特定の分野や業界で影響力を持つ人物や専門家を「KOL(Key Opinion Leader)」、自発的に製品やサービスについて発信し、口コミや投稿を通じて影響を与える一般の消費者を「KOC(Key Opinion Consumer)」と呼んで区別します。
KOL の役割は、単に商品やサービスを広めるだけでなく、消費者の心に響くメッセージを伝えることです。それに対して KOC の役割は、より多くの消費者が商品の購入に至る手助けをして、CVR を最大化することです。SNS マーケティングでは、この両者をうまく組み合わせることで、より高い効果が期待できるでしょう。

口コミマーケティング

大多数の人は、ホテルを予約する際に予約サイトなどの口コミをチェックするため、口コミマーケティングも非常に大切です。具体的には、ポジティブな口コミを増やすと同時に、ネガティブな口コミに対して正しく対応することが重要です。ポジティブな口コミだけのサービスは、信頼性を疑う顧客も少なくないでしょう。誹謗中傷を除く、ネガティブな口コミに対しても真摯に対応することで、ユーザーの安心感につながり、CVR の改善が見込めます。

Web 広告

ホテルマーケティングには、Web 広告も欠かせません。Web 広告は、クリック数や表示回数にもとづき広告費が発生する課金型なので、運用次第ではコストパフォーマンスが高くなります。最近は AI の進化で広告運用を半自動で行うこともできるようになっており、社内の最小限のリソースで運用することも可能です。

イベント

ホテルマーケティングとしては、話題となるイベントの開催も有効です。季節イベントなどの実施は、ブランドイメージの向上や競合との差別化に役立ちます。開催にあたっては、プレスリリースなどで情報を発信し、メディアに取り上げてもらうことも大切です。

SEO・MEO

ホテルマーケティングにおいては、SEO や MEO も重要です。検索エンジンで Web ページを検索結果の上位に表示させる施策である SEO は、自然流入による公式サイト訪問者を増やすために欠かせません。併せて、Google マップをはじめとする地図検索などで上位表示させる対策である MEO も行うことで、中長期的な集客向上が期待できます。

リピーター施策

ホテルマーケティングにおけるリピーター施策とは、一度来訪した顧客にリピーター特典をつけたり、御礼のメールを送ったりするなど、再度の利用を促す施策のことです。リピーター率が向上すると、集客コストを削減できる他、口コミによる宣伝効果も期待できます。

ホテルマーケティングの手法を決める要素

0204_slide2_1200_630ホテルマーケティングにおいて、数ある施策の中からどの手法を実施すべきかは、状況や目標によって変わります。ホテルマーケティングの手法を決める際に影響する、主な要素を理解しておくことが重要です。

予算

ホテルマーケティングの手法を決める要素のひとつが、予算です。施策によっては高額になる場合もあるため、コストの低い口コミをうまく活用するなど、自社の予算に応じたマーケティング施策を考えます。費用に見合ったリターンが得られるかどうかも、併せて検討しましょう。

ターゲット

ターゲットによっても、選ぶべきマーケティング施策は変わってきます。例えば、新規顧客を増やしたい場合は、これまでリーチしてこなかった層に情報を届ける施策が必要でしょう。また、リピーターを増やしたい場合は、リピーター特典を設けて一度利用した顧客にアプローチするなどの施策が必要です。

さらに、ターゲットに合ったサービスやインフルエンサーを選ぶことも重要です。例えば、主なターゲットがビジネスパーソンの場合と家族連れの場合では、同じ SNS マーケティングを展開するにしても、選ぶべきプラットフォームや依頼すべき人物は変わってきます。

ホテルマーケティングを実施する手順

効果的なホテルマーケティングを行うには、実施手順に沿った展開が重要です。ホテルマーケティングを実施する際の流れを、6つのステップで紹介します。

1. ペルソナを設定する

最初に、ターゲットとする顧客のペルソナを設定します。年齢や性別といった大まかなものだけでなく、職業や生活スタイル、家族構成、月収、旅行の目的、主な情報収集の手段などまで、具体的に設定することが大切です。このペルソナ設定にあたっては、過去の宿泊顧客のデータ分析やニーズ調査も必要になるでしょう。ホテルは多彩な人々が利用する施設なので、ペルソナも1人ではなく、5人以上設定しておくのがおすすめです

2. ホテルの強みを明確にする

次に、ホテルの強みを明確にします。SWOT 分析などを使って、自社の独自性や優位性を洗い出しましょう。SWOT 分析とは、自社の内部環境と外部環境を、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)に分類し、プラス要因とマイナス要因を整理して分析する手法のことです。内部環境は、設備やサービス、人材、財務状況などです。外部環境は、市場動向や競合状況、技術革新、法規制などが該当します。
SWOT 分析を行い、自社の強みを言語化することが、より効果的なマーケティング施策につながります。

3. 競合のホテルを分析する

自社の強みを明確にした後、競合となるホテルの分析をします。所在する地域やターゲット、強みなどが自社と共通するホテルを探し、競合分析を行います。自社の立ち位置を理解し、差別化するポイントを見つけましょう。
ロケーションやプラン、価格、サービス、食事、アメニティの充実度などを一覧にして細かく調査し、自社の強みと照らし合わせて、差別化を図るための戦略を立てることが大切です。

4. コンセプトを決める

ペルソナ設定から競合分析の結果を踏まえて、ホテルのコンセプトを決定します。コンセプトは、設定したペルソナの特徴やニーズを反映し、自社の強みや競合と差別化できる要素を活かしていることが大切です。特に歴史の長いホテルの場合、従来のコンセプトが現代の顧客ニーズに合わなくなっている場合もあるので、必要に応じて再設計しましょう。ここで決めたコンセプトが、以後の経営戦略やマーケティング戦略の指針となります。

5. マーケティング戦略を立てる

コンセプトが決まれば、それに沿ってマーケティング戦略を立案します。予算配分を決め、注力すべき分野と施策を決めたら、計画にもとづいてマーケティング戦略を展開しましょう。市場の変化に柔軟に対応しながら、一貫性のある施策を継続して実施することが重要です。

6. 効果を分析・改善する

マーケティング施策においては、KPI を設定し、効果分析を行うことも欠かせません。マーケティング目標によって適した KPI は変わりますが、例えば、客室稼働率や、公式 Web サイトからの予約数、リピート率などが挙げられます。データの収集には、予約システムや POS システム、顧客アンケートなどを活用することが可能です。
継続的にデータを収集・分析して施策の効果を確認し、想定した効果が得られない場合は、施策の改善が必要です。これを繰り返すことで、マーケティングの費用対効果を高められます。

ホテルマーケティングをより効果的に行うには多言語対応が必須

0204_slide3_1200_630インバウンド需要が高まる中、ホテルマーケティングにおいては、海外顧客に自社の魅力を効果的に伝えることが重要となります。効率的に海外顧客にアプローチするためには、公式 Web サイトをはじめ、さまざまなチャネルでの多言語化が必須です。

まず、公式 Web サイトの多言語化によって、海外市場へのアピール効果が高められます。これに加えて、予約サイトの多言語対応を進めることで、海外顧客がスムーズに予約手続きを行えるようになり、コンバージョン率の向上が期待できます。
また、より多くの海外顧客にリーチするためには、公式 SNS での多言語発信も有効です。ターゲットとなる国や地域の言語でホテルの魅力やキャンペーン情報を発信すれば、認知度向上や予約促進につながります。
さらに、プロモーション動画や施設紹介動画などの動画コンテンツへの字幕追加も効果的です。字幕の導入によって、言語の壁を超えてホテルの魅力をより多くの人に伝えられるでしょう。

このように、公式 Web サイトや予約サイト、SNS、動画など複数のチャネルで多言語対応を進めることで、海外顧客との接点が増え、より効果的なホテルマーケティングを実現できます。

ホテルマーケティングとともに多言語化を実施してさらなる集客を図ろう

インバウンドが増えている現代では、国内のみならず、海外顧客向けの情報発信も欠かせません。ホテルマーケティングを行うなら、公式 Web サイトの多言語化を同時に行っておくと、海外顧客向けのマーケティングにもつながるため、コストパフォーマンスは向上します。

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