ハイエースもやればここまでになる。走るラウンジルームの「LEGANCE コンプリートカー ファインテックツアラー」【東京オートサロン2025】

オートサロン2025会場を歩いているうち、ちょっと違う雰囲気を持つハイエースに興味を惹かれた。
寄ってみると、ハイエースのトヨタ車体特別架装車を走るホテルのラウンジルーム風に仕立てたLEGANCEのファインテックツアラーだった。
TEXT/PHOTO:山口尚志(YAMAGUCHI Hisashi)

自分のクルマもいっちょこんな風にしたろっかなと思わせられる魅惑の一台

LEGANCEは、200系ハイエース用を中心に、エアロパーツやインテリア製品を展開するブランドだ。

そのLEGANCEが展示していたハイエース特別架装車「ファインテックツアラー」で目に留まったのは、ちょっとしたところ。
ハイエースなのはすぐわかったが、クオーターガラスから見えるインテリア照明色・・・電球色の光に惹かれたのだ。

LEGANCE コンプリートカー ファインテックツアラー
この窓から見るやさしい電球カラーに惹かれたのだった。

筆者はLEDカスタマイズが流行る前から、ホテルや美術館の間接照明に興味があり、初期に買った自前のクルマの頃に間接照明を仕組んでやろうと考えたことがあったが、何ぶん不器用でDIY細工が苦手なのと(いまでも大して変わっていないが)、そもそもいまほどLEDが出回っていなかった。
じゃあLED全盛大流行りのいま、自分のクルマで何かしているかというとそうでもない。もの入れの照明にLEDをつけはしたが、カスタマイズというほどの手入れを積極的にやる気にならないのだ。

いまカー用品店で売られている装飾用LEDは白か青の2択といってよい。だが、筆者がほしいのは、自分のクルマの中をホテルor美術館の間接照明のようにやさしい空間に色付けしてくれる電球色のLEDなのだ。以前、とあるLEDメーカーに聞いたところ、「多く売れるのは白か青で、暖色は出しても売れなかった」と。至極残念である。

そんな筆者がこのハイエースのクォーターガラスから見える電球色に惹かれたのも当然だろう。
デモ展示のために開けっ放しになったスライドドア部から後部キャビンを見ると、まさに中は走るラウンジルームと化していた。

おおっ!

この雰囲気は何も光の色のためだけのものではない。
中を覗いて視覚の8割を占めるといわれるシート。専用にあつらえた白いレザーのワッフルシートカバーで覆い、ホテルのソファの雰囲気を出している。そもそもこのシートはアルファードのものを移植しているという。

ワッフルシートカバー。実はシートはアルファードから持ってきている。


意識しなくてもやはり目に入っているのだなと思うのがフロアのカーペット。同じくワッフル状で、厚みのあるフカフカ仕立て。カーペットをこのようにしただけでこれだけキャビンの雰囲気が変わるものか。

同じくワッフル模様のフカフカカーペット。これだけでずいぶん変わるね。


プライバシーを守るカーテンはブラック。通常は上辺にレールを設けるだけだが、このカーテンは造りがていねいで、下辺にもレールをつけたばかりか、セカンドガラス用は前辺から下辺にかけてのカーブ形状に沿ってまでレールをつけているので、カーテンがヒラついてすき間を生じることがないようにできている。

カーテンはプライバシーと遮光を狙ってブラック。
カーテンは窓の形に合わせてあるが・・・
それどころか、下辺から前に向かってせり上げるカーブ形状に合わせてレールも・・・カーテンがヒラつくことはない。

肝心な照明は、標準のルームランプ光源を電球色のLEDに変えたほか、白のライン状間接照明をキャビン後部に設置。他に片側5か所、天井に埋め込まれたスポット照明もある。

車両標準のルームランプ光源はLEDに付け替え。
間接照明で灯すため、光源を内蔵したパネルを天井に設置。うん、いい雰囲気だ。ただし、色は白だけで、調色はできない。
天井トリムにスポットランプも埋め込んだ。

LEDなら調色、調光ができなきゃ魅力半減。白の間接照明とスポット照明は対応していないが、電球色に変えた部分は色を段階的に照度調整できるし、色は電球色から白にまでシームレスに調整可能。
結局は好みなのだが、白い光はクールに過ぎる。最大に電球色にした車内の色が筆者は好みだった。

筆者はこの色がいちばん好きだが、好みで白に調色すると・・・
キャビンの雰囲気はがらりと変わる。
電球色で照度を最低にした状態。
白で照度を最低にした状態。

クルマは移動のための道具だが、目的地に着いてからも、自宅ガレージに着いてからも、クルマから降りたくないと思わせるこのキャビンは魅力だ。

クオーターガラスから覗いたときの電球色はなかなかのものだ。
白に変えると思いっきりクールに。

キーワードで検索する

著者プロフィール

山口 尚志 近影

山口 尚志