こんばんは!!
貴重な3連休のうち二日間を大阪出張2daysで潰され、1人寂しく新大阪のビジネスホテルでブログ書いてるtomoです(泣)
皆さんいかがお過ごしでしょうか。
ちょっぴり話題になっている例のアレ、記事を目にした皆さんも多いと思います。
http://s.response.jp/article/2016/09/14/281774.html
要は走ってるクルマは静電気を帯びていて、その静電気によってクルマの周りの整流が乱され、空力的に不利になるから、それ除電したらよくなるんじゃね?って事で、天下のTOYOTAが純正部品としてクルマにアルミテープ貼り付けてるよ〜、って記事です。
一応静電気でおまんまの1/3を構成している僕?にとっては気になる記事なので、ちょっとしっかり読んでみました。
エアロダイナミズムの事は僕は専門ではないから、あくまで静電気についての解釈が合っているかどうかという観点で書きますね。
文字多くなるので、疲れたら一服してくださいな(笑)
さて、いくか。
(記事本文より引用、原文まま)
空気は+(プラス)に帯電しており、クルマは走行することで+帯電をしやすく、これにより車体まわりの空気を引きはがす力が働き、空気の流れが乱れるため十分なエアロダイナミクス(空力)を発揮することができない。
(引用ここまで)
うーん、いきなり間違ってますこの記事。
一瞬記事の文章が間違ってて、TOYOTAはこう言ってるんじゃないと思っていたのですが…。
ガッツリTOYOTAの資料に書いてありました(笑)
何が間違っているかというと、「クルマのボディが空気によってプラスに帯電している」という点。
これ、ちょっとしっかり静電気の事を勉強していた人ならすぐに「ありえない!」ってわかる点なんです。
上の図は「帯電列」と言われるもので、物体がどちらの極性に帯電しやすいかという事をまとめた図です。
一般的に静電気は物と物が擦り合わさった時、すなわち摩擦した時に発生すると言うのは知られていますね。
子供の頃よくやったこれなんかまさにそれです。
これは帯電列でいうとプラスに帯電しやすい人毛と、マイナスに帯電しやすいアクリルが擦り合わさった事により静電気が発生するわけです。
先の帯電列のこの考え方は非常に重要で、擦りあった2つの物質の位置関係で擦りあった時にどちらの極性に帯電するかが決まるってことなんです。
こすりあう2つの物質のうち、帯電列で右側にいる物体がマイナスに帯電し、左側にいる物質はプラスに帯電します。
じゃあ、今回は
「空気」と「クルマのボディ」が激しく擦りあっている訳ですよね。走行中に。
空気が帯電列のどこにいるかというと…。
1番左にいますよね。
コレってどういうことかわかりますか??
つまり、
空気と擦りあって、プラスに帯電する物質は世の中にはないんです。
いや、正確に言うとあるんですが、通常クルマのボディに塗装やコーティング、もちろん素地だったとしても空気と擦りあってプラスに帯電する材質ということはありえません。
ただ、TOYOTAがこう言った実験計測データを嘘つくことは考えられません。
クルマのボディは間違いなくプラスに帯電していたのでしょう。
でも、先の考察の通り、「走行による空気との摩擦でクルマのボディがプラスに帯電する」ことは100%ありえません。
で、あれば何故プラスに帯電したのか。
僕の考えはそもそも別の要因でボディはプラスに帯電していたと考えます。
ここで
「静電誘導」という言葉の説明が必要になります。
金属の中ではプラスの電子もマイナスの電子も自由に動き回ることができます。
その近くにどちらかの極性に偏った物が来ると、金属の中ではその帯電した物体に近い側に逆極性の電子を集めます。
この電子の動きの特性を「静電誘導」と言います。
ここからは僕の仮説ですが、おそらく内装材など空気に触れてよりマイナスに帯電しやすい物体がクルマのボディの近くに設置されていて、それが走行中の空気と摩擦されることでマイナスに帯電(上の絵の左下の◯だと思えばいいです)し、その近傍にあるクルマのボディ(上の絵の右下の棒)がプラスの電子を内装材側に集める。
クルマのボディは基本的に接地していてアースがある程度取れている(タイヤを介しているので抵抗値は高いですが)ため、静電誘導で集まった逆極性のイオン以外はアースに流れる。
上の図では極性が反対ですが、内装材との静電誘導によって集められたプラスの電子だけがボディに残り、それを測定したことによりボディはプラスに帯電していた、ということになります。
アルミシールを貼る事で帯電量が減ることも、実は同じ静電誘導で説明がつきます。
アルミシールを貼ることにより、今度はプラスに帯電したボディにアルミシール内の逆極性の電子、つまりマイナスの電子がボディ側に残ってアースによって逆極性の電子が流れた事が予想されます。
ん?
つーことは、
また走り出したらアルミシールが空気との摩擦でマイナスに帯電するんじゃね?
って気付いた方は鋭い!!
まさにその通りです。
つまり静電気が取れたように見えるのはアルミシールを貼った時だけで、走り出せばまた帯電してしまいます。
ちなみに測定前にアルミシールを人間が触れば、タイヤ経由で落ちるアースよりも抵抗値が低いので一気に静電誘導でくっついている極性の電子と反対の電子が人間側に流れるため、それも除電されたように見えます。
あ、ちなみに冬場帯電してる人間は車に乗り込む時に来るバチっっていうのもこのせいですよ。
これは電位差でだいたい3000Vくらいあります。
と、いうことで、このブログでの結論は
「空力的に静電気の影響はあるかもしれないけど、アルミテープで除電はされませんよ」となります。
正確には「0V近くまで除電はされませんよ」ですね。数百ボルトくらいならタイヤ経由のアースでしばらくしたら電子流れますし、何より
夏場のように空気中に水分が多い場合はそもそもそこまで帯電もしませんし。
この電圧で働くクーロン力(逆極性の電子が反発しあったりひきつけあったりする力のこと)は、有効範囲が2〜3mm程度で、それ以上距離が離れると重力や風の影響の方を大きく受けてしまいます。
おそらく風洞実験で変化が出たのは空気よりも粒子が大きく軽い可視化のための煙だった事が大きいでしょう。
よって、静電気の空力に与える影響は相当微小、一般道ではほぼ無いと思われます。
TOYOTAさん、僕を呼んでくれたら技術的に改善のためになる静電気セミナー、格安で開催しますのでオファーお待ちしてます(爆)
もはやここまで書いて最後まで読むみんともさんはまずいないと思いますが、もし読んでくれたのなら…。
僕はそんなあなたが大好きだ!!(爆)
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Posted at
2016/09/17 22:14:31