昨年末の毛沢東の誕生日である12月26日、突如としてSNS上で拡散した中国の第6世代戦闘機とされる飛行映像は世界中を驚かせた。しかも、1機ではなく、2機が確認されており、同時に2機の第6世代を開発しているのであれば驚嘆だ。この2機はそれぞれ非公式に「成都J-36」「瀋陽J-XX/J-50」と呼ばれている。
成都J-36
J-36は昨年12月26日に飛行が確認された機体の非公式名称で中国の国営航空機メーカー「成都飛機工業集団(CAC)」が開発中の第6世代戦闘機とされている。映像などから確認するに機体は尾翼のないダブルデルタ翼を採用、3基のターボファンエンジンを採用している。
⚠️ 𝐁𝐫𝐞𝐚𝐤𝐢𝐧𝐠 𝐍𝐞𝐰𝐬 ⚠️
— Iran Spectator (@IranSpec) December 26, 2024
🇨🇳 | New Footage of China’s 6th-Gen Fighter Jet, Nicknamed (White Emperor)…
China has officially surpassed the United States… pic.twitter.com/6C3sPYph4A
機体デザインは成都集団が2022年11月に開催された航空ショー「 珠海航展( 中国国際航空宇宙博覧会)」で公開した第6世代戦闘機のコンセプトと酷似している。これは米国が開発中の第6世代戦闘機NGAD(Next Generation Air Dominance)に対抗したものとされ、機体デザインはNGADと酷似していた。J-36に随伴して飛行しているのは成都集団が開発生産している第5世代ステルス戦闘機のJ-20Sになる。J-20SはJ-20の複座型で世界初の複座型第5世代戦闘機になり、後方に座るパイロットは無人機のコントロールを念頭に置いたものとされ、当初、この未確認機は無人機とも推測されていた。
随伴するJ-20は全長21mの大型の機体になるが、それと比較するとJ-36も大型である事が分かり、推定サイズは全長23m、翼幅19m。その大きさと3つのエンジンから推定離陸重量は50~60トンと推察されている。機体中央には兵器を内蔵するウェポンベイが確認できる。そのサイズから拡張性が高く、様々なセンサー・兵装を搭載でき、電子戦兵器、指向性エネルギー兵器、ウェポンベイには射程400km以上とされる超長距離のPL-17空対空ミサイルなど対空・対地・対艦兵器が搭載できるとされる。機体デザインはレーダー断面積 (RCS) を削減した無尾翼・デルタ翼のステルス機。そして、2人乗りで一人は随伴する無人機の運用を行う。J-20がそうであるように大型化されているため、空母運用は考えていないとされる。
瀋陽J-XX/J-50
J-50もJ-36と同じタイミングで確認された機体の非公式名称で中国の国営航空機メーカー「瀋陽飛機工業集団(SAC)」が開発しているとされる。成都飛機工業集団と瀋陽飛機工業集団はどちらも中国人民軍に軍用機を提供する国営軍事会社「中国航空工業集団(AVIC)」の傘下である。
Shenyang 6th Gen Fighter J-XX/50 🥳
— Húrin (@Hurin92) January 4, 2025
Looks like it also has 2D tvc like J-36 https://t.co/HfRxbiREBA pic.twitter.com/utE2r4uTw5
機体デザインは翼が鋭角に後退したラムダ翼設計により、レーダー断面積(RCS)を最小限に抑えながら、超音速での高い操縦性が可能になっていると推察され、J-36と比較すると空中戦のシナリオに重きを置いた設計と推察されている。ツインエンジンは内部に収納され、赤外線シグネチャを減らす対策が講じられており、エンジンノズルは、熱放出を上向きまたは特定の角度に向けるように設計されており、赤外線センサーに検出される可能性が低くなっていると推察される。ステルス機と低視認性を実現するため、J-36同様、尾翼はないとされ、ウェポンベイを採用している。J-36と違い比較対象がないため、機体サイズなどは分からない。第6世代の定義とされているのがウィングマンと呼ばれる無人機の制御と電子戦、レーザー兵器の搭載だが、これらの機能は搭載されると推察される。
2機ともメーカー及び中国の公式アナウンスはないため、そもそも、第6世代戦闘機であるかも不明であり、あくまで推察になる。ただ、この2機が確認された後、第5世代ステルス戦闘機F-35を開発生産し、第6世代戦闘機NGADを開発するロッキードマーティン社の株価は大きく下落した。中国の戦闘機開発能力のさらなる進歩が明らかになり、F-35に対する国防総省及び、同盟国の長期的な需要が損なわれる可能性があると投資家が判断したからだ。中国は2035年までに第6世代戦闘機の就役を目指しているとされているが、これが早まるようであれば、日本や韓国を始めとした米国の同盟国はF-35よりも第6世代戦闘機の開発に注力するだろう。