雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

統計の利用に関する技術革新

ずっと積ん読になっていた『その数学が戦略を決める』をシアトル行きの飛行機で読了。回帰分析・無作為抽出・遺伝的アルゴリズムベイズ推定といった統計学のテクニックについて分かりやすく整理され、商取引・政策・Webデザイン等での豊富な活用例が出ていて非常に面白い。今年あたりWebプライバシー問題が火を噴きつつあるし、こういった技術を使うとどう遊べるのか、可能性と暗黒面について想像を膨らませるために必読の一冊といえる。

その数学が戦略を決める

その数学が戦略を決める

統計を使った行政手法の試行調査では、日本より米国やメキシコの方が進んでいると知って驚いた。今後の年金保険改革やセーフティーネット拡充に当たっては、政治的妥結によるバラマキとならないよう、社会調査による実証を伴う政策提案が日本でも重要となるだろう。
社会調査している間に閣僚や政権がころころ変わっては意味ないじゃないかという議論もあるが、逆に政治が不安定だからこそ実証に基づく政策を組み立て、政権を超えて引き継いでいくべきだと、本書のメキシコでの事例を読むと勇気づけられる。
本書であまり触れられていないが、個人情報について米国や新興国よりもセンシティブな欧州で、こういった動きがどう評価・実践されているかが気になる。いずれにしても情報そのものの管理もさることながら、如何に加工され、活用され得るかを想定することで、これまで以上に地に足のついた議論ができそうだ。