ほとんどの人は、国民年金の保険料を給与からの天引きや口座引落という形でコツコツ納付しています。
しかし、その一方、年金保険料を納めていない人はいまだに少なくありません。
そして、年金事務所はそういった人たちからも徴収の姿勢を強めつつあります。
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年金保険料滞納で「ある日、銀行口座が使えなくなった」
これはAさんのケースです。
Aさんは、フリーランスとして国内だけでなく海外も飛び回って生活しています。
収入は1,000万円以上あり、各種税金などはマジメに納めていましたが、唯一国民年金だけは納めていませんでした。
「日本は財政赤字がハンパないし、いつ破綻するかも分からない。そんな国に払うだけ損だ。どうせ保険料だし」
この姿勢で、年金事務所からさまざまな封筒が届いてもすべて無視していました。
そんな中、ある日、いつものように事業資金を口座から引き出そうとしたら口座が使えなくなっていました。凍結されたのです。
突然凍結の背景には年金事務所の「徴収強化」
この突然の口座凍結の背景には、年金事務所の徴収強化があります。
かつての社会保険庁から日本年金機構に組織を変更してから、年々年金徴収は厳しくなっています。
現在では、年間所得が300万円~350万円についても年金徴収強化の対象とされています。
差押を含む強制徴収の基準についても「13か月以上の未納」から「7か月以上の未納」に期間短縮されました。
厚生労働省によれば、2016年4月分から2017年1月分までの納付率は63.2%とのことです。
ただし、低所得者や学生免除などといった事情のある人を加味すれば、実質的な納付率は4割前後に過ぎないのだとか。
少子高齢化で今後の社会負担率が高まる懸念に、低迷する国民年金の納付率が拍車をかけている状態だといえます。
なお、差押は、一見「ある日突然」に見えますが、実はきちんと手続きを踏んでいます。
国民年金保険法及び国税徴収法にのっとり、最初督促状が未納者の手元に黄色い封筒で届きます。
場合によっては電話や直接自宅に行くこともありますが、基本は郵便です。
しかし本人がこれを無視し続ければ、最終的には最終督促状が(自治体によっては差押の予告状も)郵送されます。
ここで督促や差押予告の文書に従わずに年金を滞納し続けると、銀行口座や給与などが差し押さえられることになるのです。
なお、差押が実行されると数日内に差押調書謄本が郵送されます。
差押をすみやかに解除するには年金事務所に行くしかない
この差押をすみやかに解除するためには、受け取った文書と年金手帳、預金口座の通帳、印鑑などを持って年金事務所に行くしかありません。
できれば現金で未納分と延滞金を払うのがベストですが、差し押さえられた口座の凍結を解除しないと納付できないなら年金事務所の担当者に相談するしかありません。
納付をきちんと行い、年金事務所に伝えれば、早くて翌日、遅くて数日内には差押は解除されます。
ただし、今後、一切未納は看過してもらえません。
再び滞納すればまた差押の憂き目に遭うのです。
さいごに
「国民年金は保険であって税金ではない。だから納めなくても大丈夫」というのはもはや昔の話です。
「年金保険料」という名称であっても実質は税と同等です。
「どうせバレない」時代は終わったものと心得、未納分についてはなるべく早めに払うようにしましょう。(執筆者:鈴木 まゆ子)