岸田文雄政権において、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題は一大懸案であり続けた。
2022年7月の安倍晋三元首相銃撃事件を機に次々と明らかになったのは、教団による被害実態だけでなく、自民党を中心とした政治家や政党との関係だった。
自民党には被害救済への取り組みと同時に、自浄が求められた。そして政府は教団への解散命令を請求し、国会では二つの法律が成立した。
ただ、この問題に長年取り組んできた紀藤正樹弁護士(63)は「今も自民党はこの問題に後ろ向きだ」と指摘する。
積み残した課題は多く、「一部は国の安全保障にも関わること」だという。
それは新総裁の石破茂氏に引き継がれることになる。【春増翔太】
ロビー活動「登録制に」
自民党は22年9月、党所属の全国会議員と教団の関係について点検結果を公表し、「関係断絶」を宣言した。その後も教団との関係が続々と判明する一方、追加・追跡調査は否定し続けてきた。
<自民党の対応は結局、物足りない。確かに岸田政権下では関係断絶や新法の制定、解散命令請求があり、問題解決に向けた道筋をつけたように見える。
しかし、今後また同じような問題が起きたときへの予防策がほとんどない。
旧統一教会問題で特徴的なのは、韓国にルーツがある団体が日本で信者を増やし、政治に食い込み、日本で集めた献金を韓国に送り続けてきた点だ。国外の団体にこれだけ政権に食い込まれ、資金が流出していたのに、最も憂うべき自民の保守派でさえいまだに動こうとしない。
国民をどう守るかという話で、安全保障・国防の現場がまさに国内にあるのに、何にも取り組まないのであれば、もはや(教団との関係に今も)メリットがあるのだと思わざるを得ない。
自民党内には知り合いの国会議員も多いが、実は若手ほど「教団との断絶宣言は助かった」と言う。本心では関わりたくなかったが、表立って言えなかったということだ。にもかかわらず総裁選の9候補者全員が再調査に否定的だったのは、教団の党内への浸透具合が思いのほか大きかったということだろう。
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