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ウクライナ侵攻

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から2年。長期化する戦闘、大きく変化した国際社会の行方は……。

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ウクライナの子供を“ロシア化” 「1000人、行方分からず」

ロシア軍が占拠した日も、ウクライナ軍が奪還した日も、コズルさんの自宅前は大勢の兵士で埋められた=ウクライナ東部ハリコフで2023年1月22日午後2時52分、念佛明奈撮影
ロシア軍が占拠した日も、ウクライナ軍が奪還した日も、コズルさんの自宅前は大勢の兵士で埋められた=ウクライナ東部ハリコフで2023年1月22日午後2時52分、念佛明奈撮影

 ロシアが侵攻するウクライナで、ロシア軍の占領地域からウクライナ人の子供がロシア領などへ連れて行かれたり、留め置かれたりしている事案が多発し、国際的に非難の声が上がっている。露軍占領地の子供たちに何が起きているのか。

   ◇

 「子供たちを『ロシア化』しようとする取り組みだ」

 人権侵害状況などの調査を行う英国の非営利組織「情報レジリエンスセンター」(CIR)は昨年7月に公表した報告書で、ロシアが占領地域のウクライナ人の子供たちを「サマーキャンプ」に誘う理由についてこう指摘した。

 CIRは、ロシア軍がウクライナ侵攻を始めた昨年2月下旬から7月上旬までの間のSNS(ネット交流サービス)上を含む複数の公開情報を照らし合わせて分析した。露軍に占領された東部ルガンスク州の10代の子供がロシアで実施されているキャンプで歓迎され、スポーツや娯楽を体験し、ロシアの歴史も学んでいると報じた露メディアの記事なども参考にし、子供たちをロシア人化しようとしていると推察した。

 ロシア側のキャンプに行き、3カ月以上の滞在を余儀なくされた後、母親とウクライナ東部ハリコフ州に帰国することができたベロニカさん(13)は取材に、キャンプで女子は戸外をぶらぶらし、男子はサッカーやテニスに興じていたと証言。同じく帰国できたダーシャさん(15)は海で遊んでいたと述べた。

 少なくとも2人の話からは、露骨な「親ロシア教育」がされた形跡はうかがえない。また、彼女たちが住むエリアがウクライナ軍に奪還される前には、キャンプに参加した子供たちの中に無事帰国した子がいることからも、…

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