歓迎?危惧? 「5類」視野に試行錯誤 全国で「全数把握」簡略化へ
新型コロナウイルス感染者の全数把握の簡略化が26日に全国で始まる。医療機関の負担は軽くなるが、詳細な報告の対象外となる軽症者の見守りなど課題は多い。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は14日に「パンデミック(世界的大流行)の終わりが視野に入ってきた」と発言したが、国内では、季節性インフルエンザと同様の医療体制への移行を模索している段階だ。
「兵糧攻めにあったら…」選択の余地なし
「全数把握を続けられれば続けたいと思ったが、全国一律の制度として政府が(見直しの)判断をしたなら仕方がない」。島根県の丸山達也知事は21日、報道陣の取材に悔しさをにじませつつ、国の方針に従う意向を示した。
見直しについて自治体の判断に任せられていた8月24日の時点で、丸山知事は「見直しの効果は限定的。一部負担軽減にはなるが、感染拡大を招く恐れがある」と指摘し、全数把握を継続する考えを示していた。しかし、政府が一転して全国一律で見直す方針を示すと、「前提条件が変わった。政府がやらなくていいと言うことをやれば多分、補助金は出してもらえないだろう。兵糧攻めにあってしまえば、財源を県で手当てするのは厳しい」と述べ、継続は困難との見解を示していた。
26日の一律見直しに先駆け、これまで9県が全数把握を簡略化しているが、どのような変化があるのか。
佐賀県は2日から感染者の発生届を65歳以上の高齢者や入院が必要な人、重症化リスクがある人、妊婦に限定した。対象者は全感染者の2割程度にとどまり、国の情報把握システム「HER―SYS(ハーシス)」への入力負担が減った医療機関からは「患者と向き合う時間が増えた」と歓迎する声が上がっているという。
発生届の対象外となった軽症者のフォローについても、県健康福祉政策課の福井香月課長は「スムーズにいっている」と自信を見せる。活用しているのが、1月に県独自で導入した「アマビエ」と呼んでいる感染者情報システムだ。従来は保健所が入力していたが、全数把握見直しに合わせて感染者本人が入力できるようにシステムを改修。医療機関から感染者に入力を勧め、新規感染者の約9割が登録している。
感染判明後の症状も入力する仕組み。症状…
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