山口県阿武町が誤給付した4630万円は、振り込まれた田口翔容疑者がオンラインカジノに全て使ったなどと説明していたこともあり、回収は困難との見方もあった。町はどのように9割超の現金を取り戻すことに成功したのか。そこにはさまざまな法律を駆使し、あの手この手を打ち続けた町の姿が浮かび上がる。
町がまず目を付けたのは、税金の滞納者に対する回収方法を規定する国税徴収法だ。今回のケースでも適用できると判断した町は、滞納者の財産を調査する名目で帳簿類を検査できるとする条文に基づき、誤給付された口座が開設されていた銀行から2回に分けて情報を入手。この銀行から誤給付分が別の2銀行に入金され、更にオンライン決済代行業者3社に振り込まれていたことを突き止めた。
ここから町は、国税徴収法と地方税法を駆使しながら具体的な回収作業に着手する。容疑者と決済代行業者3社が委任関係にあると判断し、業者の口座を容疑者自身のものとみなして預金の差し押さえ手続きを進めた。容疑者本人に対しても、全額を返還するよう求める訴訟を起こした。
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