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国際コーチング連盟認定のプロフェッショナルコーチ”あべき光司”先生新刊『リーダーのためのコーチングがイチからわかる本』発売記念【オンラインイベント】(全4記事)

言われたことしかやらないタイプの6つの言動 メンバーが自主的に動き出すリーダーのマインドセット

『部下を持ったら身につけたい! リーダーのためのコーチングがイチからわかる本』出版を記念して開催された本イベント。著者であり、国際コーチング連盟認定のプロフェッショナルコーチ、税理士業界トップクラス(上位0.5%)の総合事務所代表でもあるあべき光司氏が登壇しました。本記事では、やらされ感が強く被害者意識の悪循環に陥っているタイプの特徴をお伝えします。

選択肢を増やし続ける「アカウンタビリティ」を持つ

あべき光司氏:じゃあ、次は第6章の「アカウンタビリティ」についてです。説明責任という使い方ではありませんよという話を今からします。「主体的に自ら進んで、仕事や事業の責任を引き受けていく意識」をアカウンタビリティと言います。

後でもう少し具体的な例をいくつかお話しをしますが、もう少し別の言い方をすると、「自らの選択肢を増やし続けること」と言っています。

『夜と霧』という本を読まれたことがある方、いらっしゃいます? ユダヤ人の精神科医の方の体験をもとに書かれた本ですね。フランクルさんという方が第二次世界大戦中にナチスに囚われて、アウシュヴィッツ収容所に入れられることになりました。

多くの方は、ユダヤ人の方がどんどん亡くなっていくのを見て、「次は自分やろ。捕まったら殺される」「明日にはガス室に送られるんか」と不安に駆られて暮らしていた。

そんな、本当に明日殺されるかもしれないっていうこの状況を、彼は「壮大な実験場だ」と考えたらしいです。つまり、こういう究極の状況で、人はどういうふうに反応するのかを考えたらしいんです。普通は「もう死んでまう、もう無理や」とか悲観に駆られて、何も考えられない。ないしは自分だけ助かるみたいに思ったりするかもしれませんが、彼はそう思わなかったらしいです。

その結果、彼は戦争が終わってそのまま収容所から解放された。そのあとで、収容所での体験を本にした『夜と霧』という作品が出来上がったんですね。つまり、究極の状況にあったとしても「ここで何ができるのか」と考え「人間観察しよう」と選択したからこそ本が書けたんですね。

これがなかったら、単に「なんでナチスはこんなことするんやろ」「なんで自分はユダヤ人に生まれたんやろ」「なんであの時捕まったんやろ」と後悔をしたり、「俺は悪くないのに。あいつが悪い」と人のせいにしたり。

自分の選択肢を増やしていくことをせずにいたら、こんな本は出なかったですよね。ちなみにアカウンタビリティの反対語が何かと言いますと、「ヴィクティム」(被害)ですよね。「なんで部下が、なんで社長が、なんでマネージャーがこんなことすんねん。俺は悪くないのに」という感じです。

ただ、これを言うと一部の方には反感を買うと思います。あとで説明をしていきますので、最後まで聞いていただけるといいかなと思います。

言われたことしかやらないタイプの6つの言動

じゃあヴィクティムって何かと言いますと、今書いてあるとおり、自分で考えず指示や命令だけに従って、仕事や事業を引き受けていく。「言われたからやりまっせ」とか「ほんまはやりたくないけど。なんでこんなんやらなあかんのやろ」という感じです。

まさに被害者意識の悪循環に陥ると見られる6つの言動があります。「無視する/否定する」「責任を押し付け合う」。「自分の仕事ちゃうのに」。どうしていいかわからなくて「混乱をする」。「自分、そもそもこんなことやりたくなかってん、あいつがやればよかってん」という「言い訳をする」。

ないしは、向こうで困っているのを見て「大変やな」と「様子を見る」。これがまさにヴィクティムです。

じゃあ悪循環から「抜け出しましょう」ということなんですが、それができひんから困っとんねん、ということですので(笑)。まずは「どうやって抜け出したらいいか知らんけど、確かに今、私は悪循環に陥っているな」と気づくことから始まるんじゃないかなと思います。

でも、常にヴィクティムっていうわけではありませんよね。例えば趣味の時にはアカウンタブルで、ガンガンいくけど、仕事の時にはヴィクティムっていう人もいらっしゃいますね。ないしは、仕事の時であったとしても、「あの上司としゃべる時はめっちゃヴィクティムです」という方、いらっしゃいませんか? 

ですのでぜひ、「確かにあの部長としゃべっている時、あのお客さんに電話する時ってめっちゃヴィクティムやな」と気づいてもらったら、次はどうしたらいいかがわかると思います。

気になることがあっても「誰かがやってくれるだろう」 と放置…

次にいきますね。みなさん、もしくは自分の部下がアカウンタブルかどうかを確認する「アカウンタビリティ・チェックリスト」というものがございます。みなさん、気になっていることがあっても「どうせ誰かがやってくれるやろ」というふうにほったらかしたり、「こんなこと言うても、どうせ部長、なんも動いてくれへんしな」と思ったりしていませんか。

まさに26歳の僕がそうで、「こんな大きな会社で俺の実力を発揮できるわけがない」と思っていました。3つ目、「そもそもこんなプロジェクト無理やねん」という方、いらっしゃいませんか? しかも「評論家、傍観者の立場に立っている」という方、もったいないですね。

そして問題が起きても「自分が正しい」と言って「言い訳をする」。自分の間違いを認めずに言い訳している方、いらっしゃいませんか。

もしくは「やる理由」よりも「できない理由」「やらない理由」を探している方はいませんか。「じゃあどないしたらええねん」という感じなんですけど。相手の行動で「あんなことやってるわ、こうしたほうがいいのにな」と気になったとしても言わない。それで失敗して「ほら見てみ」という人いません? 「最初から言えや」みたいな感じですね。

または、「わかりました。で、私はどうしたらいいんですか?」と相手に決めさせる方。それから、ちょっときつい言い方かもしれませんけれども「あの人から見て、みなさん、そういうふうに見えていませんか?」と考えてみてください。

このチェックリスト、実はもう1個あるんですけど、僕も含めて、めちゃくちゃ耳が痛いです。これをリアルのセミナーでやったら雰囲気がめっちゃ悪くなるんですよ。なんかどんよりするんですけど、それくらいみなさんも思うところがあるんやろうなと。自分も含めて、そう思います。

自分の領域に関するもの以外は関わらない

2つ目のチェックリストです。何かを注意されたら「いやいや、違うんです」と言い訳から始める。ないしは、「いや、そんなこと聞いていません」「それ、私の仕事ちゃいますから」と、自分から関わりを断ってしまう。「ここまでは自分の仕事、ここからは自分の仕事ではない」と、勝手に二分化して、積極的に向こうに関わろうとしない。

ないしは、「私、こんなにがんばっているのに、周りが理解してくれないんです」みたいな。最後です。「いやいや、前にやったんですけど、うまくいかなかったんですよ」と言い訳をして行動しようとしない人ですね。

さっきの話を覚えていますか? 相手がどう思うかが大事なんですね。みなさんの部下から
、こんなふうに思われていませんか? 

そして、自責思考みたいな言葉がありますよね。要は、悪い言い方をすると「全部自分のせいです」という人。いませんか? これってイコールじゃないんです。自責と他責ではなくて、アカウンタブルとヴィクティムというふうに比べましょう。

アカウンタビリティであることは「リーダーの仕事」

じゃあアカウンタブルと自責の違いって何なのかと言うと、この言葉を聞いたことはありますか? 経営コンサルタントの一倉定という方が「電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも、全部社長の責任です」と言っていました。ここだけ聞くと、自責と似ていませんか?

「わかったわかった。郵便ポストが赤いのも俺のせいって言っとったらええんやろ」「はいはい」という感じに思われるかもしれませんが、それは誰が悪いかどうかではなくて「で、どうするか」という選択肢を増やしましょうってことなんです。

さっきの例で言うと、郵便ポストが赤いのはあなたのせいではありません。でも郵便ポストが赤いせいで何か困っていることがあるとしたら、どうするかを考えましょうって話です。

黒く塗ることや、例えばプラカードを持って「赤いポスト反対!」ということをやるのも、1つの方法ですけれども、難しいですよね。現実的な方法として「そもそも郵便ポストが赤いせいで、あの人が困っているのは何なのか」を考えて、「じゃあこうしましょうか」と提案する。

「俺が悪い。もうそれでええんやろ」ではなくて、「ポストが赤いという前提で、自分が何をしたらいいのかを考えましょう」というのが、アカウンタビリティなんです。まさにこういうアカウンタブルで「じゃあどうする?」と選択肢を増やせるような人は、周りにも良い影響を及ぼしていくんですね。

なので、誰が悪いとかはどうでもいいんです。「で、どうするの?」というところが大事ですよ。

もう少し話をすると、この本でも書かれている、まさに組織がアカウンタビリティな状態になるために求められるリーダーシップで言うと、「リーダー自身がアカウンタビリティである」必要があります。ここで勘違いしないでほしいのは、リーダーがアカウンタビリティであるのは「仕事」なんです。

人間は一日6万回考えるが、そのほとんどがネガティブ

「リーダー自身がアカウンタビリティである」というのは、仕事です。ですので、さっきも言ったみたいに「今お腹が痛いから」ないしは「プライベートで家族と喧嘩した」「子どもが病気した」という感じで、へこんでいないか。「被害者意識の悪循環に陥っている? ああ、確かに」というふうに気づいてください。

ここもけっこう大事ですね。何でもかんでも「郵便ポストが赤い? じゃあどうしよう」と追求しすぎないのも大事です。自分が追求しすぎると、相手にも求めます。あとでもう少し説明しますね。

そして、何より郵便ポストとかもうどうでもいいです(笑)。「なんともできへん」ということがわかるのも大事です。その上で、何をするかが大事なんですよ。

そして自らが手本となりましょう。そして、みなさんリーダーですから、部下に「アカウンタビリティを持つことが自信になるよ」と自覚させるように導きましょう。

そのためには、みなさんが手本となる必要がありますね。ぶすっとしていたり、「郵便ポストが赤いのは俺のせいちゃう」と言っているのではなくて。「で、どうするんですか?」という話です。「途中経過を定期的にフォローアップしましょうね」と言っています。

ただここまで言ってへこんでいる方、安心してください。一説によると、「人間は1日6万回くらい物事を考えている」と言われていますが、そのほとんどがネガティブなことなんです。つまり、ネガティブなのって普通なんですよ。

アカウンタビリティを発揮するために

みなさん、気づいていらっしゃいましたかね。僕はみなさんの顔がまったく見えないんですけど、この1時間10分の間、基本ずっと笑っていますね。みなさんがどういう顔をしているのか、まったく見えない状態でカメラを見ながらずっと笑顔でいることができます。リーダーが笑顔でいるのって、仕事なんですよ。

笑顔って、表情筋がけっこうしんどくなる。つまり笑顔でいることって、トレーニングがいるんです。普通にしたら「疲れたな……」とぶすっとなります。

まさにアカウンタブルも同じです。ぼーっとしてトレーニングも何もしないと、アカウンタブルの状態ってしんどいんです。

なので、例えば親御さんからそういう教育を受けていなかったり、友だちから良い影響を受けていなかったせいで、そういうことをやっていない方がいらっしゃったとしても、普通です。これはちょっと抽象度が高いですけれども、コーチングのお話もします。コーチングは、相手にアカウンタビリティを持たせ続けることが目的です。

「状況はわかりました。で、どうしますの?」という時に、押し付けはダメで、「わかってくれない」となってしまいますよね。

例えばみなさんが、上司が部下に対して「アカウンタビリティは大事だから、どうしようか考えろ」と言われたら嫌じゃないですか(笑)。なのでまずは共感ですね。例えば、今日参加していて「なんかつまんないなぁ」「あべきの言っていることようわからんな」と思った方。「自分で決めて参加したんでしょ」という感じです。これ、言い訳しときますね(笑)。

ないしは、ギャップ(の明確化)。アカウンタビリティを発揮することで、どんな良い影響がありますか? みなさんの部下やお客さんに対して、どんな良い影響がありますか? アカウンタブルな時とヴィクティムな時って何が違いますか?

繰り返しですけど、これはトレーニングですからね。それで具体的には何ができますか? やってみたらうまくいかへんことがあります。その時にどんな工夫ができるのかを考えるのがいいかなって思っています。

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