逆にこちらはマンネリズムを確立しようとする作品である。
テルマエ(風呂)技師であるローマ人・ルシウス(阿部寛)が、現代日本にタイムスリップして、日本の風呂に衝撃を受ける、というテンプレートが重要なことは作り手も重々承知しており、ぬかりなく面白い。
んだが、ネタには安心感があるものの、第2作目にして早くも繰り返しネタとして題材の新鮮さがなくなっているのはびっくりだった。その風化ぶりは、一発芸人のソレに近い。そもそも原作漫画もまた一発ネタを如何にして続け、そして終わらせるかという命題に取り組んだ作品であることを思えば、それも仕方ないのかも知れぬ。
現代日本の風呂&温泉事情を前向きに肯定する映画なだけに、積極的に協力してくれた企業や温泉への配慮なども感じさせたりして、ネタの完成度は高いにもかかわらず、どこかすっきりと笑えないところもあったりもして、マンネリズムをどう構築するか、という難しさも垣間見える。
映画もシリアスになればなるほど、物語が上滑りするのはこれは単純に作り手の力量に負うところに大きいのだとは思う。
面白くはあるのだが、前作のインパクトが思った以上に薄れているというのはネックであるな、と思った次第。(★★★)