13日付の日経新聞の国際欄で、王逸舟氏と閻学通氏というトウ小平の「韜光養晦」外交への姿勢をめぐって対照的な主張を展開する外交専門家のオピニオンが紹介されていた。中国の政府内の政策過程が徹底して不透明であるだけに、こうした政策決定に影響を与えると考えられる有力な大学教授の見解をジャーナリズムで紹介する試みは貴重だと思う。政治家の先生方はこの二人の名前くらいは覚えておいてください。また、王氏についてはすでに以下の著作が翻訳されている。
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- 作者: 王逸舟,天児慧,青山瑠妙
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2007/03
- メディア: 単行本
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さて、同士では王氏をリベラリスト、閻氏をリアリスト、として紹介していた。しかし、閻学通氏についてはリアリストというよりもむしろ国益重視派、ゴリゴリのタカ派として専門家の間では知られている人物である。たとえば、彼の台湾政策に関する発言について、矢吹晋先生が二年ほど前に「ナショナリズム熱中症の中国における「バブル大学教授」」「マンガ的な空想」「幼稚な核脅迫論」と例の矢吹節全開でこき下ろしていて面白いので、とりあえず紹介しておく。また、ここでもキーワードとして「トウ小平路線の方向転換」が問題になっていることには注意を要する。
より冷静な(?)両者の主張の違いやその政治的背景などについては、以下の本にわかりやすくまとめられているので、興味のある方はご覧ください。
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グローバル中国への道程―外交150年 (叢書 中国的問題群 12)
- 作者: 川島真,毛里和子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/11/27
- メディア: 単行本
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