デフレ脱却、そう簡単ではない=CPIで麻生財務相
[東京 28日 ロイター] - 麻生太郎財務相は28日午前の閣議後会見で、5月の全国消費者物価指数(コアCPI)が7カ月ぶりにマイナスを脱したことについて、日本は長期間デフレ不況が続いてきたとして、デフレ脱却は「そう簡単ではない」との考えを示した。
<「半年でインフレに変わるわけない」>
総務省がけさ発表した5月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コア)は前年比0.0%と、昨年10月(前年比0.0%)以来、7カ月ぶりにマイナスを脱した。同時に発表された6月の東京都区部の指数は2カ月連続でプラスとなり、全国も6月以降プラス転換する公算が大きいとの見方が強まっている。
財務相は会見で、90年代以降に株安や土地の値下がりが続いてきた背景を説明したうえで「1月から半年間でデフレがインフレに変わるわけがない」と指摘。「設備投資にしても、マイナスではあるけれど(マイナス)幅が少し上向いて(縮小して)きているかとは思う」としながらも、デフレ脱却は「まだまだそんなに簡単なものではない」と話した。
<中国経済動向、対応必要かまだ見えず>
中国政府の「影の銀行(シャドーバンキング)」対策で金融市場が乱高下し、中国の景気減速懸念が高まっていることには、中国の情報開示が十分ではないとして「どういう影響が出てくるかは今なんとも言えないが、けっこうしんどい状況が、見えないところで起きていることは考えられる」と指摘。地方政府の動向などに「注意しておかないといけない」とした。
日本に対する影響については「向こうが崩壊するとなると、大変な騒ぎになるだろうが、全部が全部というわけではないだろう。場所によって、極端な地方政府に資金を貸しているファンドなんかが引っかかってくる可能性はあると思う」と見通し、「今すぐどうにかしないといけないほど悪いのか、(中国の)地方だけで済むのか、今の段階で良く見えない。この段階で(国内対策を)何かすると言える段階ではない」と説明した。
<財務次官に木下主計局長>
財務相は同時に、真砂靖事務次官が退任し、後任に木下康司主計局長を充てる幹部人事を発表した。主計局長には香川俊介官房長が就任し、田中一穂主税局長、古沢満宏財務官、山崎達雄国際局長、林信光理財局長は留任する。官房長には佐藤慎一総括審議官、総括審議官には浅川雅嗣国際局次長が就く。
(ロイターニュース 基太村真司:編集 佐々木美和)
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