ANA、B737―800型機4機リースへ 5度目のMRJ納期遅れで

ANA、B737―800型機4機リースへ 5度目のMRJ納期遅れで
 4月7日、ANAホールディングスは、三菱重工業の小型ジェット旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」の5度目となる納期遅れによる機材繰りへの悪影響を避けるため、米ボーイングから4機のリースを受けることを決めた。羽田空港で2014年撮影(2017年 ロイター/Yuya Shino)
[東京 7日 ロイター] - ANAホールディングス<9202.T>は、三菱重工業<7011.T>子会社が開発する小型ジェット旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」の5度目となる納期遅れによる機材繰りへの悪影響を避けるため、米ボーイングの「B737―800」型機4機のリースを受けることを決めた。
2018年8月以降に順次導入する計画だ。
ANA傘下の航空事業会社、全日本空輸の平子裕志社長が6日のロイターとのインタビューで明らかにした。平子社長はMRJの納期遅延に伴い「機材の不足が生じる」と述べ、B737―800型機の導入などにより「手当てをしていく」と語った。
4機のリースはシンガポールのBOCアビエーション<2588.HK>、アイルランドのSMBCアビエーション・キャピタルの航空機リース2社から受ける予定。
三菱重は今年1月にMRJの納入開始を従来の18年半ばから20年半ばに延期すると発表した。最新の安全基準に適合させるため、一部装備品の配置や電気配線の設計を変更するのが理由。MRJの事業化を決めた08年当時は13年の納入開始を予定していたが、その後もたびたび設計の見直しなどが生じ、納期の遅れは5度目となる。
ANAはMRJ初号機を受け取る「ローンチカスタマー」。国内地方路線で活用するため計25機を発注し、この計画を納期遅延後も変更していない。同社はこれまでにも納期遅れによる対応として、すでに活用しているボーイングの小型ジェット機「B737―500」の退役時期延長や加ボンバルディア製プロペラ機「DHC―8―Q400」の3機追加購入といった対策を講じている。
ANAはボーイングの中型機「B787」でもローンチカスタマーで、B787も納入が3―4年ほど遅れたほか、納入後もバッテリーから煙が発生して欠航が相次いだり、エンジンの不具合に見舞われた。
ただ、平子社長は従来とは異なる路線展開が可能になるゲームチェンジャーとも言われ、先進性あるB787を「十分エンジョイできている」と指摘、「導入していなかったら、今のような状態は実現できなかった」と説明。その上で、MRJは居住性、燃費性などに優れた「従来のリージョナルジェットの概念を超えた飛行機」で、「MRJに対しても(B787と)同じような期待を持っている」と語った。

白木真紀

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