「(弾劾)反対集会が共に行われた日、若い女性をターゲットにしていちゃもんを付ける連中に出会いました。彼らは私に中国人だと言いながら嘲弄を続け、常識では理解できないほどの無礼を働き、撮るなと言ったにもかかわらず動画を撮影しました。先ほど(弾劾)賛成集会で市民の発言を聞いて希望を感じたのに、彼らに会っただけで、懐疑感と悲しみ、絶望という言葉では言い表せないほどの感情に包まれました」
12・3内乱事態以後、広場に出て尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の退陣を求めているある若者が「民主主義の危機を実感した経験」の一つだ。尹錫悦大統領支持者たちによるソウル西部地裁乱入・暴力事態が韓国社会に大きな衝撃を与えた中、10~30代の若者たちは「内乱の試みとこれを擁護する姿」だけでなく、「極右の勢力化、政治の二極化」でも民主主義の危機を感じていることが明らかになった。
「尹錫悦退陣のために行動する青年たち」(尹退青)は23日、このような内容が含まれたオンラインアンケート調査「なぜ広場に出てきたのですか?: 時代が問い、広場が答える」の結果を発表した。1~13日、X(旧ツイッター)やインスタグラム、フェイスブックといったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などを通じて募集した集会参加経験のある10~30代約1千人を対象に韓国の民主主義の危機の深刻さとこれを実感した場面などを尋ねた。回答者954人のうち、女性は732人(76.7%)で、男性113人(11.8%)より6倍以上多く、性別を明らかにしていない人は52人(5.5%)だった。年齢別にみると、30代の回答者が488人と半分以上(51.1%)で、20代(47.3%)、10代(1.6%)の順だ。
10~30代の若者たちは「権力の集中と乱用」(5点尺度のうち4.8点、点数が高いほど深刻)を民主主義を脅かす最も深刻な問題とみている。「経済的不平等の深化」(4.7点)、「政治の二極化による社会的対立の深化」、「公正性の喪失」、「多様性に対する包容不足」(以下4.6点)も相対的に深刻だと考えていた。民主主義の危機を感じた具体的な事例(記述式選択質問項目)については計351件の回答があったが、そのうち113件(37.9%)が「非常戒厳の宣布と(与党)『国民の力』の戒厳擁護」に関連した内容だった。ある回答者は「国家捜査機関が国民ではなく大統領室の顔色をうかがっているという事実、遅延する弾劾により『戦略的戒厳』、『これが弾劾されるべきなのか』など、戒厳が大韓民国の民主主義を完全に損ねたことを忘れたかのような世論がつくられる雰囲気に大きな衝撃を受けた」と答えた。
12・3内乱事態に続き2番目に言及が多かったのは「ヘイト(嫌悪)の拡散と極右の勢力化、政治の二極化」の問題だ。ソウル西部地裁に乱入した違法な暴力事態が起きる前の調結果であることを考えると、若者たちの間では極右の勢力化に対する危機感がかなりあったものとみられる。回答を具体的に見てみると、「(弾劾要求)集会に出る人は中国人、共産党、外国人だという話をする人が少なくないことから、弾劾は予定通りに行われるだろうが、その後、まともな政治や市民間の疎通が行われるまでには長い時間が必要かもしれないと思った」、「極右勢力を扇動するフェイクニュースが深刻だ。ヘイトと不安、民主社会に対する亀裂を引き起こしている」などだ。危機に瀕した民主主義を強化するためには「経済的不平等の解消と機会の平等の保障」(59.3%)、「市民参加と意見聴収の拡大」(58.1%)、「政治の二極化の緩和と協治文化構築」(55.8%)などが必要だと考えていた。
10~30代の若者が弾劾を促す集会に参加した理由(複数回答)としては、「非常戒厳に衝撃を受けたため」(73.2%)、「市民として責任を実践するため」(72.7%)、「戒厳宣言以前から尹錫悦政権の政策と行動に失望していたため」(71.6%)という回答が多かった。 「自分が重要だと考える社会問題改善のため」(36.2%)と答えた人々は比較的少なかった。尹退青側は「非常戒厳自体が韓国社会に与えた衝撃が非常に大きく、これは若者たちが広場に参加する主要な動力になったものとみられる」と語った。尹錫悦退陣集会に参加する前には集会に参加した経験のない回答者は36.9%(352人)に達した。
広場の要求のうち、最も急がれるのは「社会大改革のための社会問題解決」(63.1%)が挙げられたが、これは「内乱捜査および責任者の処罰」(194人、20.3%)や「尹錫悦の罷免」(91人、9.5%)より多かった。このような結果について、尹退青側は「大統領弾劾訴追案に対する国会可決以降にアンケート調査が行われ、多数の市民は弾劾は完遂される可能性が高い課題と考えただろう」とし、「一方、社会大改革などは今後市民が広場でより一層重要な問題として要求していかなければならない課題だと認識しているものとみられる」と説明した。
尹退青は昨年、尹錫悦退陣を要求する「青年時局宣言」を提案して始まった集いで、会社員や大学生、大学院生など20~30代の青年たちのボランティアで運営されている。