WordPerfect
開発元 | ワードパーフェクト社、ノベル、アルド |
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最新版 |
2021
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プラットフォーム | Microsoft Windows(IA-32開発) |
種別 | ワードプロセッサ |
ライセンス | プロプライエタリ |
公式サイト | WordPerfect Website |
WordPerfect(ワードパーフェクト)は、かつてクロスプラットフォームで提供されていた、カナダのアルドのワードプロセッサソフトウェア。1980年代末から1990年代初めにかけて、一時デファクトスタンダードとなったが、その後Microsoft Wordの台頭によって圧倒的に占有率を失った。MS-DOS版と Microsoft Windows版だけではなく様々のプラットフォームやオペレーティングシステム上に移植されており、当時はMac OS、Linux、各種UNIX、VMS、System/370、AmigaOS、Atari ST、OS/2、NeXTSTEPなどで動作した。
1994年にWordPerfectはノベルに売却され、1996年にはコーレルに売却(コーレルはその後アルドに改称)し、現在はQuattro ProやプレゼンテーションソフトとバンドルしたWordPerfect Officeの一部として、Windows版のみ販売されている。
WordPerfect for DOS
[編集]WordPerfectを最初に開発したのは、ブリガムヤング大学の学生ブルース・バスティアン(Bruce Bastian)とアラン・アシュトン(Alan Ashton)教授であった。サテライト・ソフトウェア・インターナショナル社(Satellite Software International, Inc.)をユタ州で創設し、後に社名をワードパーフェクト社(WordPerfect Corporation)に改称した。最初のバージョンはデータゼネラルのミニコンピュータ向けで、それを1982年にIBM PCに移植したWordPerfect 2.20が登場した。バージョン番号はデータゼネラル版と連続している。
人気を得るようになったのは、1986年のWordPerfect 4.2からであった。このバージョンでは、段落のナンバリング機能や脚注の自動挿入(多い場合に次のページに一部を割り付けるなど)といった機能を持っていた。WordPerfect 4.2は当時最も人気のあったWordStarからトップの座を奪い取った。
1989年、WordPerfect 5.1 for DOSがリリースされた。このバージョンではMacintosh風のプルダウンメニューを採用し、表計算ソフトのような作表機能も備えていた。WordPerfect 6.0 for DOSでは、従来型のテキストモードとグラフィックスを使ったWYSIWYGモードを備え、太字、下線、斜体といったテキスト効果が表示可能であった。
主な特徴
[編集]- ストリーミング・コード・アーキテクチャ - HTMLとCSSのようなフォーマットを採用。HTMLのように入れ子になったタグで文書の設定を保持する。
- スタイルとスタイルライブラリ - ストリーミング・コード・アーキテクチャに対応したスタイルシートに相当する部分。WP 5.0 から。
- Reveal Code - タグなどを表示する補助エディタ画面。この画面で表示される各種トークンをクリックすることで、スタイルエディタなどが起動でき、非常に細かい編集が可能。
- 高機能なマクロ言語。後にPerfectScriptとなる。
- 各種プリンタドライバを同梱し、プリンタドライバエディタPTRでユーザーが独自のプリンタドライバを開発可能。なお、WordPerfectは独自の文字コードを内部で使用していた。
WordPerfect Library/Office
[編集]ワードパーフェクト社は、付随するスピンオフ製品として1986年にWordPerfect Libraryをリリースし、後にWordPerfect Officeと改称した。これは、WordPerfectと共に使えるネットワーク機能や独自ユーティリティの集合体であり、NetWareを使っているオフィスでの利用を想定していた。以下のような機能が含まれる。
- Shell - タスクスイッチャー。Windows 3.xにほぼ匹敵し、しかもWindowsよりも安定していた。
- Calculator - 電卓機能
- Notebook - フラットファイル型データベース
- DataPerfect - 関係データベース
なお、後にコーレルがWordPerfectを買収し、WordPerfect Officeという名称をコーレル社のオフィススイート・ソフトウェアの名称として活用している。
WordPerfect for Windows
[編集]WordPerfectのWindows版の登場は遅かった。1991年にはWordPerfect 5.1 for Windowsがリリースされたが、DOSからインストールする必要がある上、安定性に重大な問題があった。1992年には、安定動作するバージョン5.2がリリースされたが、すでにMicrosoft Word for Windows version 2がリリースされてから1年が経過していた。WordPerfectのファンクションキーを中心としたインタフェースはWindowsに馴染まず、各種キーの組み合わせもWindows自身のキーボードショートカットと非互換を生じていた(例えば、Alt-F4 は「プログラム終了」だが、WordPerfectでは 「ブロックテキスト」)。注力していたプリンタドライバもWindowsでは不要となってしまった。
Windows版でもWordPerfectは独自の文字コードを内部で使用していた。このため、中国語などWindowsが対応した言語に対応できない事態が発生した。
ワードパーフェクト社は1993年、ボーランドとの相互ライセンス契約を締結し、WordPerfectはオフィススイートBorland Officeの一部となった。これには、他にQuattro Pro、Borland Paradox、WordPerfect Officeが含まれていた。その後、このWordperfect商品群は1994年6月にノベルに売却され、1996年1月にコーレルに売却された。ただし、ノベルはWordPerfect Office全体を売却せず、その技術をGroupWiseに流用した。
その後もWordPerfectはトラブルに見舞われた。Windows 95のリリースから9カ月後の1996年5月、32ビット版の WordPerfect 7がリリースされた。これは安定動作せず、マイクロソフトから "Designed for Windows 95" のロゴも取得できなかった。さらに、最初の WordPerfect 7は Windows NTで動作しなかった。NT対応のWordPerfect 7は遅れ、1997年にリリースされたときには NT 4.0がリリースされて6カ月が経過していた。
マイクロソフトは、Microsoft WordをプリインストールするPCメーカーにはWindowsを値引きするという作戦でシェアを伸ばしていった。WordPerfectは主に司法関係と学術関係で生き延びている。例えば、2005年にもアメリカ合衆国司法省がWordPerfectを大量に購入した[1]。2004年11月、ノベルはマイクロソフトを反トラスト法違反で訴えた[2]。
WordPerfect for Macintosh
[編集]Macintosh向けのWordPerfectは他のオペレーティングシステム向けとはバージョン番号等も異なっていた。最初の1.0版はDOS版などのユーザー向けであり、それほど成功しなかった。2.0版は完全な書き換えがなされ、Mac OSのUIガイドラインに準拠するよう改良された。3.0版はその方向性をさらに推進した。1995年にリリースされた3.5版と若干の改良を施した3.5e版(1997年)を最後として、Macintosh版は開発されていない。2004年、コーレルは改めてWordPerfect for Macintoshを開発する予定がないことを明らかにした。
数年間、コーレルは3.5e版をウェブサイト上で公開し、無料でダウンロード可能にしていた。ただし、PowerPC版Mac上のクラシック環境で動作するソフトウェアであるため、インテル版MacではSheepShaverなどのエミュレータを必要とする。
WordPerfect for Linux
[編集]1996年、カルデラがインターネットオフィスパッケージの一部としてLinux版WordPerfectをリリースした。草創期の商用Linux市場に足場を作ろうとしたコーレルも、独自のLinux版(Corel Linux)を開発した。
Linux版自体は好意的に受け止められたが、WordPerfectへの反応は様々であった。有名なアプリケーションがLinuxに移植されたことを単純に喜ぶ向きもあったが、オープンソースコミュニティの反応は冷ややかで、OpenOffice.orgのようなフリーウェアが主流の市場で、プロプライエタリなワードプロセッサがどれだけ支持されるかが疑問視された。また、WordPerfect 9.0はネイティブなLinuxアプリケーションではなく、Windows版をWine上で動作させるもので、安定性が批判の的となった。
結局、WordPerfectはLinux市場では受け入れられず、コーレルの方針転換もあって、9.0(2000年)を最後として開発が終了し、Linux版もXandrosに売却された。2004年4月、コーレルは最後のLinuxネイティブ版だった8.1を若干改良して、Linux市場の調査を兼ねてリリースした。2005年以降、WordPerfect for Linuxは販売されていない。
バージョン
[編集]年 | Data General | MS-DOS | Apple DOS | AmigaOS | VAX/VMS | Mac OS | NeXTStep | OS/2 | Windows | Unix | Linux | Java |
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1980年 | 1.0 | |||||||||||
1981年 | ||||||||||||
1982年 | 2.0 | 2.2 | ||||||||||
1983年 | 3.0 | |||||||||||
1984年 | 4.0 | |||||||||||
1985年 | 4.1 | 1.0 | ||||||||||
1986年 | 4.2 | 1.1 / 2.0 | ||||||||||
1987年 | 4.1 | 4.1 | ||||||||||
1988年 | 4.2 | 5.0 | 4.2, Office* | 1.0 - 1.0.7 | 4.2 | |||||||
1989年 | ?* | 5.1 | 2.1e (final) | 5.0 | ||||||||
1990年 | 2.0 | 5.0 | ||||||||||
1991年 | 1.0.1 | 5.1 | ||||||||||
1992年 | 2.1 | 5.2 | 5.1 | |||||||||
1993年 | 6.0 | 3.0 | 5.2[3] | 6.0 | ||||||||
1994年 | 5.1+ | 3.1 | 5.2+, 6.1 | 6.0 | ||||||||
1995年 | 6.1 | 3.5 | ||||||||||
1996年 | 7.0 (32-bit) | 6.0 | ||||||||||
1997年 | 6.2 | 3.5e | 8.0, 7.0 (16-bit) | WordPerfect for Java | ||||||||
1998年 | 7.0 | |||||||||||
1999年 | 9.0 * | 8.1 | ||||||||||
2000年 | 9.0 | |||||||||||
2001年 | 10.0 * | |||||||||||
2003年 | 11.0 * | |||||||||||
2004年 | 12.0 * | |||||||||||
2006年 | X3 * (13.0) | |||||||||||
2008年 | X4 * (14.0) | |||||||||||
2010年 | X5 * (15.0) | |||||||||||
2012年 | X6 * (16.0) | |||||||||||
2014年 | X7 | |||||||||||
2016年 | X8 | |||||||||||
2018年 | X9 | |||||||||||
2020年 | 2020 |
(* - WordPerfect Office の一部)
- VAX/VMS版には5.3[4]と7.1[5]もあるが、リリース時期不明。
- SunOSまたはSolaris版として6.0があったが、リリース時期不明。
- IBM System/370版として4.2が1988年にリリースされた。
- OS/2 版として5.0が1989年にリリースされた。
- DEC Rainbow 100版が1983年11月にリリースされている。
上記以外のバージョンとして、Apricot、Atari ST、DEC Rainbow、Tandy 2000、TI Professional、Victor 9000、Zenith Z-100向けがあった。また、30種類以上のUNIX向けも存在した(AT&T、NCR、SCO Xenix、Microsoft Unix、DEC Ultrix、Pyramid Tech Unix、Tru64、AIX、Motorola 8000、HP9000、SUN 3など)。
最新版(X3以降)
[編集]2006年1月17日、コーレルは WordPerfect X3を発表した。コーレルはOASISのオリジナルメンバーでもあり、OpenDocumentの仕様策定にも深く関わっている。しかし、OpenDocumentやOffice Open XMLのサポートはされず、ベータ版のリリースにとどまっていた[6]。
2008年4月、コーレルはオフィススイートWordPerfect Office X4をリリースした。これに含まれる新しいWordPerfectでは、PDF、OpenDocument、Office Open XMLがサポートされている。
2010年3月、コーレルはオフィススイートWordPerfect Office X5をリリースした。これに含まれる新しいWordPerfectでは、PDF、OpenDocument、Office Open XMLに対するサポートの強化のほか、Microsoft Windows 7への対応などがなされた。
2012年4月、コーレルはオフィススイートWordPerfect Office X6をリリースした。これに含まれる新しいWordPerfectでは、マルチ・ドキュメント/モニタ機能や新しいマクロ機能、Windows 8プレビュー版のサポート、eBookパブリッシャーが含まれる。[7]
2014年4月、WordPerfect Office X7リリース[8]
2016年4月、WordPerfect Office X8リリース[9]
2018年5月、WordPerfect Office X9リリース[10]
2020年5月リリースの最新バージョンは、WordPerfect Office 2020に含まれている[11]。
脚注
[編集]- ^ U.S. Department of Justice Chooses WordPerfect Office 12 (Corel.com)
- ^ Novell Files WordPerfect Antitrust Lawsuit against Microsoft (Novell.com)
- ^ WordPerfect Corp. (1993-08), WordPerfect 5.2 OS/2 2020年12月6日閲覧。
- ^ Corel WordPerfect 5.3 for OpenVMS
- ^ Corel WordPerfect 7.1 for OpenVMS
- ^ Corel (2007年), OOXML/ODF beta for WordPerfect® Office now available! 2007年11月15日閲覧。
- ^ Welcome to WordPerfect Office X6
- ^ “New Corel® WordPerfect® Office X7 Adds iPad Option”. Corel. 2020年12月6日閲覧。
- ^ “ordPerfect Office X8: Legendary Office Suite Delivers on Users’ Top Requests”. Corel. 2020年12月6日閲覧。
- ^ Corel (2018年5月24日). “WordPerfect Office X9 Delivers Boosted Productivity and Document Control”. GlobeNewswire News Room. 2020年12月6日閲覧。
- ^ Corel (2020年5月5日). “WordPerfect Office 2020 Boosts Productivity with a Focus on Favorite Features”. GlobeNewswire News Room. 2020年12月6日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- Corel home page
- コーレルのオフィス統合ソフトに関するページ
- WordPerfect Universe - ユーザーコミュニティサイト
- WordPerfect for DOS Updated - WordPerfect for DOS 5.1 および 6.x 向けの新しいプリンタドライバや各種アップデートなどが公開されている。
- WordPerfect Mac
- WordPerfect vs. Word - Microsoft Wordとのバージョン毎、機能毎の比較サイト
- "Almost Perfect", W.E. Pete Peterson の著書。WordPerfect Corporation と同社の製品についての歴史
- "How Did WordPerfect Go Wrong?" - InfoWorld 誌の記事