仁川級フリゲート
仁川級フリゲート | |
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基本情報 | |
艦種 | フリゲート (FFG) |
運用者 | 大韓民国海軍 |
建造期間 | 2008年 - 2016年 |
就役期間 | 2013年 - 現在 |
建造数 | 6隻 |
前級 |
蔚山級(FF) 浦項級(PCC) |
次級 | 大邱級 |
要目 | |
満載排水量 | 3,090トン[1][2] |
全長 | 114 m[1][2] |
最大幅 | 14 m[1][2] |
機関方式 | CODOG方式 |
主機 | |
推進器 | スクリュープロペラ×2軸 |
出力 | 58,200馬力 |
最大速力 | 30ノット |
航続距離 | 4,300海里(18ノット巡航時) |
乗員 | 120名 |
兵装 | |
搭載機 | AW159 哨戒ヘリコプター×1機 |
C4ISTAR | 戦術情報処理装置 |
レーダー | |
ソナー |
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電子戦・ 対抗手段 |
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仁川級フリゲート(インチョンきゅうフリゲート、朝鮮語: 인천급 호위함、英: Incheon-class frigate)は大韓民国海軍のフリゲートの艦級。次期護衛艦事業(FFX)計画艦の第1バッチとして建造されたもので[1]、1隻あたりの建造費は約120億円(1,100億ウォン)[3]。
来歴
[編集]北方限界線付近で散発する武力衝突や江陵浸透事件のようなゲリラコマンド事案などに対抗する必要上、韓国海軍にとって沿岸防備は最重要任務の一つである[4]。その中核戦力として、1980年代には浦項級コルベットおよび蔚山級フリゲートが建造されたが、2010年代にはこれらの艦の更新が必要になると考えられていた[4]。
1998年11月、韓国海軍は、より強化・発展された作戦能力を備えた艦によってこれらの艦を更新する方針を明らかにした[1]。これによって発足したのが次期護衛艦事業(Frigate eXperimental, FFX)計画であり、海軍は事業推進を確定した後、防衛事業庁との協議を経て概念設計を完了し、2006年に現代重工業と基本設計契約を締結した[1]。当初は3,000トン級のフリゲートを24隻建造する計画であったが、計画が進捗するに従って2,700トンへと船体規模が縮小し、2008年、まず現代重工業が第1バッチとして2,300トン級フリゲート6隻の詳細設計及び建造契約を受注した[1][5]。これによって建造されたのが本級である[1][5]。
設計
[編集]本級では多用途性と居住性の向上が求められたことから、既存のフリゲート・コルベットと比して1,000トン以上の大型化となった[1]。船型は中央船楼型を採用しており、乾舷が低めの主船体に、ステルス設計を取り入れた上部構造物を組み合わせている[2]。前檣後部には、機関吸気口と煙突を一体化した構造物が設けられている[2]。また船楼後端部の右舷側には格納庫が設けられており、その直後のヘリコプター甲板にはDCNS製のハープーン・グリッド着艦拘束装置を備えている[6]。
国防科学研究所主管で開発された戦術情報処理装置が搭載されたほか、装備は全体に国産化が進められており、数量としては90パーセント以上が国産品となっている[1]。主センサーも国産のSPS-550Kが搭載されたが、これはアクティブ・フェーズドアレイ・アンテナを使用する3次元レーダーである[7]。
艦対艦ミサイルも国産の海星(SSM-700K)が採用され、4連装発射筒2基が搭載される[2]。また、韓国は2017年にVLS発射型の巡航ミサイル(天竜)の開発に成功しており、これは本級を含むFFX計画艦にも搭載予定とされている[8]。
艦砲は既存のフリゲート・コルベットより強力な62口径127mm単装砲(Mk.45 mod.4)とされたが、CIWSについては、従来の韓国海軍が使用してきたゴールキーパー(30mm口径)ではなく、ファランクス(20mm口径)が採用された[2]。なお本級は、海軍で毎年選出される砲術最優秀戦闘艦の常連でもある[1]。
同型艦
[編集]一覧表
[編集]艦名は、大韓民国の地方行政区画から採られている。
# | 艦名 | 建造 | 進水 | 就役 |
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FFG-811 | 仁川(インチョン) ROKS Incheon |
現代重工業 | 2011年 4月29日 |
2013年 1月17日[3] |
FFG-812 | 京畿(キョンギ) ROKS Kyonggi |
2013年 7月18日[9] |
2014年 11月4日 | |
FFG-813 | 全北(チョンブク) ROKS Jeonbuk |
2013年 11月13日 |
2015年 1月5日 | |
FFG-815 | 江原(カンウォン) ROKS Gangwon |
STX造船海洋 | 2014年 8月12日[10] |
2015年 11月 |
FFG-816 | 忠北(チュンブク) ROKS Chungbuk |
2014年 10月23日[11] |
2016年 1月26日 | |
FFG-817 | 光州(クァンジュ) ROKS Gwangju |
2015年 8月11日 |
2016年 11月9日 |
建造史
[編集]当初は2015年までにバッチ1の6隻全艦が引き渡される予定であったが、これは大幅に遅延し[5]、2011年4月にネームシップが進水、2013年1月17日に海軍に引き渡された[12]。その後、2016年までに計6隻が就役したが[2]、同年にはFFX計画艦のバッチ2(大邱級)のネームシップが進水しており[13]、以後の建造はこちらに移行した[8]。
なお現代重工業は、フィリピン海軍向けとして、本級を発展させたホセ・リサール級フリゲートを建造している。
事件・事故
[編集]- 2014年、韓国軍全体の納入品偽装問題が明らかになる過程で、仁川級も本来フランス製であるべき電子機器冷却ファンなどが、台湾製にすり替えられていた事実が発覚している[14]。
- 2015年、本来ドイツ製であるべき操舵機のオイルポンプが、韓国製にすり替えられていた事実が発覚した。また数々の納入品偽装問題に関与したとされる元海軍参謀総長が、STXグループから7億ウォンを受け取り、本艦級に同社のディーゼルエンジンを採用するよう便宜を図った疑惑で拘束された[15]。
- 2015年、「江原」の建造では複数の不良施工が発覚している。同艦の試験運行中に錨が突然落下しバウソナーのカバーを破壊したが、これは本来2つあるはずの錨を固定する固定ピンが1つしか取り付けられていなかったことに起因するものであった。また、艦内の配管の継ぎ目に必要な補強も行われておらず、配管は溶接だけで接合されていた[12]。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k 윤 2019.
- ^ a b c d e f g h 井上 2021, p. 128.
- ^ a b “Republic of Korea Navy commissions First of Class "Incheon" FFX I Frigate” (英語). 2016年6月2日閲覧。
- ^ a b 香田 2016.
- ^ a b c 多田 2013.
- ^ 海人社 2016, p. 40.
- ^ “Incheon class (FFG-I) Guided Missile Frigate”. 2021年10月26日閲覧。
- ^ a b 井上 2021, p. 127.
- ^ “두 번째 차기호위함 '경기함' 진수…헬기 탑재” (朝鮮語). 聨合ニュース. (2013年7月18日)
- ^ “韓国海軍 次期護衛艦「江原」進水式=16年に実戦配備”. 朝鮮日報. (2014年8月12日)
- ^ “韓国海軍 次期護衛艦「忠北」進水式=16年に実戦配備”. 聯合ニュース. (2014年10月23日)
- ^ a b “次期護衛艦「江原」も欠陥=韓国”. 中央日報. (2015年3月28日)
- ^ “[권홍우기자의 군사·무기 이야기 신형 호위함, 대잠능력 이지스 능가]” (朝鮮語). naver news (2016年6月2日). 2016年6月2日閲覧。
- ^ “韓国原発、「欠陥・事故」続出の恐ろしき実態…偽造部品納入は当たり前、放射能漏れ数値は18倍増に修正”. 産経新聞社. (2015年1月2日) 2015年1月2日閲覧。
- ^ “北朝鮮の潜水艦捕捉 次期護衛艦にも「参謀総長不正」”. naver news. (2015年5月24日)
参考文献
[編集]- 井上孝司「世界の大型水上戦闘艦」『世界の艦船』第946号、海人社、21-175頁、2021年4月。 NAID 40022516372。
- 海人社(編)「写真特集 世界の新鋭水上戦闘艦」『世界の艦船』第832号、海人社、2016年3月、21-46頁、NAID 40020720284。
- 香田洋二「現代水上戦闘艦の新傾向を読む (特集 世界の水上戦闘艦 その最新動向)」『世界の艦船』第832号、海人社、70-77頁、2016年3月。 NAID 40020720323。
- 윤, 병노 (2019年8月18日). “대한민국 군함 이야기 <55> 인천급 호위함(FFG) [大韓民国軍艦物語 <55> 仁川級フリゲート]” (朝鮮語). 国防日報 (国防広報院)
外部リンク
[編集]ウィキメディア・コモンズには、仁川級フリゲートに関するカテゴリがあります。