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ヤンバルホオヒゲコウモリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヤンバルホオヒゲコウモリ
保全状況評価[1]
CRITICALLY ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 翼手目 Chiroptera
: ヒナコウモリ科 Vespertilionidae
: ホオヒゲコウモリ属 Myotis
: ヤンバルホオヒゲコウモリ M. yanbarensis
学名
Myotis yanbarensis
Maeda & Matsumura, 1998[2][3][4][5]
和名
ヤンバルホオヒゲコウモリ[3][4]
英名
Yanbaru whiskered bat[1][3][4]

ヤンバルホオヒゲコウモリ(山原頬髭蝙蝠、Myotis yanbarensis)は、哺乳綱翼手目ヒナコウモリ科ホオヒゲコウモリ属に分類される翼手類。

分布

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日本奄美大島沖縄島北部、徳之島固有種[4]

模式産地は国頭村(沖縄島)[2]

形態

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体長4.1 - 4.4センチメートル[3][4]。尾長4.6センチメートル[2][3][4]。体重4 - 8グラム[3]。全身の体毛は黒く、刺毛の先端に銀色の金属光沢がない[2]。腹面の体毛の先端は淡褐色[2]。飛膜の色も黒色である。ホオヒゲコウモリ属に共通する特徴である、ほっそりした耳介と先が細い耳珠をもつ。

前腕長3.5 - 3.8センチメートル[3]

分類

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1996年にリュウキュウテングコウモリと共に沖縄島北部で発見され、後に奄美大島や徳之島でも発見されている[3][4]クロホオヒゲコウモリに近縁だと考えられている[3]

生態

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常緑広葉樹林に生息する[4]。林内の下層や道を這うように飛ぶ。急旋回等、機動性の高い飛翔も行う。昼間は樹洞で休むと考えられている[4]。本種とリュウキュウテングコウモリが発見されるまでは、南西諸島では樹洞をねぐらとする翼手類は確認されていなかった[3][4]。樹洞生息性コウモリであり、昼間は樹洞を隠れ家として、夜間に採餌のために出洞して飛翔する昆虫類を捕らえると考えられている。

近年発見された種であり、個体数も少ないことから、生態についての詳細は不明である。

人間との関係

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分布が非常に限定的で、森林伐採や圃場整備・土地造成・道路やダム建設などによる樹洞の減少により生息数は減少している[4]。2017年現在沖縄県レッドリストでは絶滅危惧IA類と判定されている[5]

絶滅危惧IA類 (CR)環境省レッドリスト[4]

出典

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  1. ^ a b Maeda, K. 2008. Myotis yanbarensis. The IUCN Red List of Threatened Species 2008: e.T29484A9500980. doi:10.2305/IUCN.UK.2008.RLTS.T29484A9500980.en, Downloaded on 04 May 2018.
  2. ^ a b c d e Kishio Maeda, Sumiko Matsumura, "Two New Species of Vespertilionid Bats, Myotis and Murina (Vespertilionidae: Chiroptera) from Yanbaru, Okinawa Island, Okinawa Prefecture, Japan," Zoological Science, Volume 15, Zoological Society of Japan, 1998, Pages 301-307.
  3. ^ a b c d e f g h i j 前田喜四雄 「ヤンバルホオヒゲコウモリ」『日本の哺乳類【改訂2版】』阿部永監修、東海大学出版会、2008年、41頁。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l 前田喜四雄 「ヤンバルホオヒゲコウモリ」『レッドデータブック2014 -日本の絶滅のおそれのある野生動物-1 哺乳類』環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室編、株式会社ぎょうせい、2014年、18-19頁。
  5. ^ a b 前田喜四雄 「ヤエヤマホオヒゲコウモリ」田村常雄追補『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータおきなわ)第3版-動物編-』、沖縄県文化環境部自然保護課編 、2017年、94頁。
  • 松村澄子 コウモリの会編 『コウモリ識別ハンドブック』 文一総合出版、2005年、P27 ISBN 4-8299-0015-6
  • 小宮輝之 『日本の哺乳類』 学習研究社<フィールドベスト図鑑>、2002年、P177。

関連項目

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