ヘジテイション・マークス
『ヘジテイション・マークス(Hesitation Marks)』 | ||||
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ナイン・インチ・ネイルズ の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
ジャンル |
エレクトロニカ エレクトロ・ロック | |||
時間 | ||||
レーベル |
コロムビア・レコード The Null Corporation | |||
プロデュース |
トレント・レズナー アッティカス・ロス アラン・モウルダー | |||
ナイン・インチ・ネイルズ アルバム 年表 | ||||
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『ヘジテイション・マークス』(Hesitation Marks)はアメリカ合衆国のインダストリアル・ロックバンド、ナイン・インチ・ネイルズ(以下、NIN)の8枚目のスタジオ・アルバム。2013年9月3日にリリースされた。タイトルはリストカット時のためらい傷(傷痕)を意味している[1]。 2009年の活動休止後、初めて発表された作品であり、「イヤー・ゼロ~零原点…」以来、再びメジャーレーベルを通して発売された。第56回グラミー賞で最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバム賞にノミネートされた[2]。
背景
[編集]2009年2月にその年に行われるツアーをもって、当面の間、NINの活動を休止することがトレント・レズナー(以下レズナー)から発表された。ジェーンズ・アディクションとのジョイントツアーや8月のサマーソニックでの来日公演を含むツアーを終え、活動を休止した。
NINの活動休止後、レズナーは妻らと結成したハウ・トゥ・デストロイ・エンジェルスの活動を本格化させた。 またデヴィッド・フィンチャーが監督を務めた映画「ソーシャル・ネットワーク」(2010年公開)のサウンドトラックをアッティカス・ロスと共に担当した。同サウンドトラックは第68回ゴールデングローブ賞作曲賞[3]ならびに第83回アカデミー賞作曲賞[4]を受賞した。二人は続けて2011年にフィンチャーの次の作品「ドラゴン・タトゥーの女」のサウンドトラックを担当した。(2014年の「ゴーン・ガール」も手がけている。)
2012年にレズナーより活動再開が示唆され、翌2013年2月に正式に活動再開とツアー日程が公表された。その中には、7月に開催されるフジロックフェスティバルへのヘッドライナー出演も含まれていた[5]。
製作、レコーディング
[編集]制作は2012年に始まり、1年を通して水面下に進められていた[6]。「ゴースツ I-IV」、「ザ・スリップ」と同じくアッティカス・ロス、アラン・モウルダーと共に制作された。 当初、インタースコープ・レコードより発売予定のNINのベスト・アルバムに新曲を2曲( "Everything" と "Satellite")収録するつもりでセッションを始めたところ、アルバムとして発表できるだけの曲ができた。
レコーディングには、フリートウッド・マックのリンジー・バッキンガム、ザ・フーやディアンジェロ、ジョン・メイヤー・トリオ等の活動で知られ、本作リリース後のツアーの一部にも参加したピノ・パラディーノや、2005年以降NINのスタジオ・アルバム、ライブ活動に参加しているアレッサンドロ・コルティーニ、「ザ・フラジャイル」や「ゴースツ I-IV」にも参加しているエイドリアン・ブリュー、本作リリース後のツアーに参加したジョシュア・ユースティスやアイラン・ルービンらが参加している。
アートワーク
[編集]アートワークは「ザ・ダウンワード・スパイラル」や「クロージャー」のパッケージデザインを手がけたラッセル・ミルズが再び起用された。 US盤と日本盤、オーストラリア/EU盤の通常CDはそれぞれアートワークが異なる。アートワークには、漆喰、油脂、アクリル、ワイヤーの他、血や土が使用されている[7]。
リリース
[編集]「イヤー・ゼロ~零原点…」(2007年)をユニバーサル・ミュージック(インタースコープ・レコード)からリリースして以降、「ゴースツ I-IV」、「ザ・スリップ」は自身の立ち上げたレーベル(The Null Corporation)からリリースしていたが、本作ではメジャーレーベルであるコロムビア・レコードよりリリースされた。
メジャーレーベルと再び契約することになったのは、アメリカ国外へも自作を適正な形で流通させるためだとしている[8][9]。
公式サイトを通じて購入すると、通常のマスタリング版の他、“Audiophile Mastered Version” と呼ばれる高級オーディオ機器での再生用に特別にマスタリングされたバージョンをダウンロードできる[10]。
アメリカでは、発売初週に107,000枚を売り上げ、Billboard 200で3位を記録した[11]。2013年12月までに187,000枚を売り上げた。 カナダでは、発売初週に12,000枚を売り上げ、NINとして初めて、アルバム・チャートで1位を記録した。9月にはゴールドディスクに認定された。 イギリスでは、12,286枚を売り上げ、バンド史上最高位となるチャート2位を記録した。
反響・評価
[編集]Metacriticによると、ケラング!やローリングストーン等、40媒体におけるレビュー平均は77/100であり、批評面では概ね好意的に評価された[12]。
第56回グラミー賞で最優秀オルタナティブ・ミュージック・アルバム賞にノミネートされた他、ローリングストーン[13]、ステレオガム[14]、スピンにおいて2013年のベスト・アルバム一覧に挙げられた。日本においても、rockin'onの”2013年ベスト・アルバム50枚!”において23位に選出された[15]。
収録曲
[編集]"The Eater of Dreams"を除き、全曲、作詞・作曲は、トレント・レズナー。("The Eater of Dreams"はアレッサンドロ・コルティーニとの共作。)
- The Eater of Dreams - 0:52
- Copy of a - 5:23
- Came Back Haunted - 5:17
- Find My Way - 5:16
- All Time Low - 6:18
- Disappointed - 5:44
- Everything - 3:20
- Satellite - 5:03
- Various Methods of Escape - 5:01
- Running - 4:08
- I Would for You - 4:33
- In Two - 5:32
- While I'm Still Here - 4:03
- Black Noise - 1:29
脚注
[編集]- ^ “Hesitation Marks”. ローリング・ストーン. 2015年12月24日閲覧。
- ^ “Grammy Awards 2014: Full Nominations List”. billboard. 2015年12月24日閲覧。
- ^ “Winners & Nominees 2011”. 2015年12月24日閲覧。
- ^ “The 83rd Annual Academy Awards”. the Internet Movie Database. 2015年12月24日閲覧。
- ^ “NINE INCH NAILS、BJORK 出演決定!出演アーティスト第1弾発表!”. 2015年12月24日閲覧。
- ^ “トレント・レズナー、ナイン・インチ・ネイルズの新作は完成していると語る”. RO69. 2015年12月24日閲覧。
- ^ “ナイン・インチ・ネイルズ、新作のアートワークに実際の血を使用”. RO69. 2015年12月24日閲覧。
- ^ “Trent Reznor on Nine Inch Nails’ Columbia Signing: ‘I’m Not a Major Label Apologist’”. SPIN. 2015年12月24日閲覧。
- ^ “ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナー、アルバムの価格の問題について語る”. RO69. 2015年12月24日閲覧。
- ^ “nine inch nails:hesitation marks (audiophile mastered version)”. nin.com. 2015年12月24日閲覧。
- ^ “Ariana Grande Debuts At No. 1 On Billboard 200”. 2015年12月22日閲覧。
- ^ “Hesitation Marks by by Nine Inch Nails”. metacritic. 2015年12月24日閲覧。
- ^ “50 Best Albums of 2013”. Rolling Stone. 2015年12月24日閲覧。
- ^ “The 50 Best Albums Of 2013”. stereogum. 2015年12月24日閲覧。
- ^ 「2013年ベスト・アルバム50枚!」『rockin'on』第43巻第2号、ロッキン・オン、2014年2月。