コンテンツにスキップ

フォガット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フォガット
Foghat
フォガットのセカンド・アルバム裏表紙にある1973年のグループ・メンバー。左上から時計回りに:ロンサム・デイヴ・ペヴァレット、トニー・スティーヴンズ、ロジャー・アール、ロッド・プライス
基本情報
ジャンル ハードロックブルースロックブギー・ロック
活動期間 1971年 - 1985年
1994年 -
レーベル ベアズヴィルアトランティックライノ
共同作業者 サヴォイ・ブラウン、ブラック・キャット・ボーンズ、アール・アンド・ザ・アジテイターズ
公式サイト foghat.com
メンバー
  • ロジャー・アール
  • ブライアン・バセット
  • ロドニー・オクィン
  • スコット・ホルト
旧メンバー
  • ロンサム・デイヴ・ペヴァレット
  • ロッド・プライス
  • トニー・スティーヴンズ
  • クレイグ・マグレガー
  • ニック・ジェイムソン
  • エリック・カートライト
  • チャーリー・ハーン

フォガットFoghat)は、1970年代初頭に結成されたイギリスのロックバンド。前身はサヴォイ・ブラウン[1]であり、同バンドの分裂時に、一部のメンバーがフォガットを結成した。メンバーは殆どがイギリス人だが、サウンド的にはアメリカ寄りで、特にサザンロックにも通ずるツイン・リード・ギターを押し出した土臭さの漂うハードなサウンドを特徴としていた。バンドもアメリカを拠点としながら活動。「Fool for the City」などの曲でヒットを飛ばす等してアメリカで人気を博した。

歴史

[編集]

結成から1970年代の黄金期

[編集]

1971年、当時イギリスのブルースロック・バンド、サヴォイ・ブラウンのメンバーだったロンサム・デイヴ・ペヴァレット(ボーカル、ギター)、ロジャー・アール(ドラム)、トニー・スティーヴンズ(ベース)の3人がバンドを脱退し、ギターにロッド・プライスを加えてフォガットを結成する。1972年、アメリカのレーベル、ベアズヴィルよりアルバム『フォガット』でデビューを果たした[2]。このアルバムをプロデュースしたのは、同レーベル所属でもあったトッド・ラングレンだった。中でも、冒頭を飾るマディ・ウォーターズの有名ブルース曲をアップテンポにした「I Just Want To Make Love To You」は、原曲のイメージを一変させるツイン・リードをフィーチャーしたハードロック・バージョンであり、彼らのサウンドを象徴する代表ナンバーのひとつとなった。

1972年には、セカンド・アルバムを発表するが、このアルバムも内容は違うが同じくタイトルは『フォガット』とされた。ただし、ジャケットに石 (rock)とロールパン (roll)があしらわれていることから、ファーストと区別するため「ロックン・ロール」、あるいは「ロックン・ロール・アルバム」などと呼ばれている。

1974年のサード・アルバム『Engergized(邦題:電撃のフォガット)』は、「ハニー・ハッシュ」などをはじめ、よりハードなナンバーが並び、フォガット・サウンドの発展の跡がうかがえる作品となった。

4作目の『ロックン・ロール・アウトローズ』発表後、トニー・スティーヴンズが脱退する。後任として、同アルバムのプロデュースを担当したニック・ジェイムソンが迎え入れられた。4作目まではフォガットはヒットに恵まれなかったが、バンドは5作目のアルバム『フール・フォー・ザ・シティ』 (1975年) をリリースする。このアルバムは「スロウ・ライド」が全米トップ40に食い込むなど、バンド最大のヒットを記録した。また、タイトル曲「フール・フォー・ザ・シティ」も人気となった。同作発表後、ジェイムソンが脱退し、カリフォルニア出身のクレイグ・マクレガーが加入する。新ラインナップで、『ナイト・シフト』 (1976年) 、そしてバンド初のライブ・アルバム『フォガット・ライブ』 (1977年) とリリースを重ねていった。特に後者のライブはベスト・アルバム的な選曲と、オリジナルのスタジオ盤をしのぐ演奏で、バンドの絶頂期に相応しい内容だった。

1978年の『ストーン・ブルー』では、ロバート・ジョンソンの「スウィート・ホーム・シカゴ」など、ストレートなブルースを取り上げているが、特に前者はロッド・プライスの豪快なスライド・ギターをフィーチャーしたハード路線で、フォガット流ハードブギサウンド健在ぶりを見せつけている。

1980年代:解散

[編集]

しかしながら、以降バンドは徐々にその勢いを失っていった。1980年の『タイト・シューズ』を最後にロッド・プライスが脱退。ギターが主導的役割を果たしていたバンドのサウンドの中で、彼が抜けた穴は大きかった。バンドは、新ギタリストのエリック・カートライトを加えて活動を続行し、シングル「サード・タイム・ラッキー」を発表した。同曲は、全米チャートでは彼らの代表的なヒットとなった。続く『ガールズ・トゥ・チャット&ボーイズ・トゥ・バウンス』 (1981年) では、従来のようなテンションの高さを聴くことはできなくなっていた。バンドは、あと2枚アルバムを発表し、1985年には事実上の解散状態となった。

再結成

[編集]

1980年代の後半には、ドラマーのロジャー・アールが独自にフォガットを再結成。これに反発したロンサム・デイヴも別のフォガットを結成し活動するようになった。2つのバージョンのフォガットは、メンバーを変更しながら個別に1990年代初頭まで活動を続けたが、アルバムをリリースすることはなかった。

ロジャーとデイヴが和解し、1994年、オリジナル・メンバーが再び集結して久々の新録アルバムとなる『ザ・リターン・オブ・ザ・ブギー・マン』をリリースした。

ロッド・プライスはこの復帰作リリースのあと再度脱退し、続くライブ・アルバム『ロード・ケイシズ』 (1998年) では、後任ギタリストとしてブライアン・バセットが参加している。

オリジナル・メンバーの死去

[編集]

2000年2月7日、オリジナル・メンバーでバンドのリーダー的存在であったロンサム・デイヴがガンによって他界してしまう。もはやバンドを続行することは不可能と思われたが、バンドは後任に元テッド・ニュージェント・バンドのボーカリスト、チャーリー・ハーンを迎え入れ活動を続けた。2003年には、ロンサム・デイヴがいないフォガットとしては初のアルバムをリリースした。このあと、トニー・スティーヴンズが脱退するが、後任に再度クレイグ・マクレガーを加え活動を継続した。

一方、ロッド・プライスは脱退後、初のソロ・アルバム『オープン』をリリース。だが、彼は2005年3月22日、誤って階段から落ちた際の頭部の怪我が原因となり亡くなった。

2010年代以降

[編集]

2018年2月9日、長年のベーシスト、クレイグ・マグレガーが肺がんのため死去。68歳だった[3]。後任として、闘病中の2015年から彼の代役を務めていた元パット・トラヴァーズ・バンドのロドニー・オクィンが正式メンバーとなった[4]

2021年、ライヴ・アルバム『8 Days On The Road』(2019年ニューヨーク録音)をバンドのレーベル、フォガット・レコードよりリリースした[5]。2022年にはリード・ヴォーカルのチャーリー・ハーンが引退を決めるものの、元バディ・ガイ・バンドのギタリストだったスコット・ホルトを後任に加え活動を続行。2023年には7年ぶりのスタジオ録音の新譜『Sonic Mojo』をリリースしている[6]

バンド名の由来

[編集]

「Foghat (霧の帽子)」という一風変わった名前は、ロンサム・デイヴが幼少期に彼の兄とスクラブル (アルファベットのコマを並べて単語を作るゲーム) で遊んでいた際に作った造語だという。ファースト・アルバムをレコーディングする際にバンド名が決まらず、デイヴがこれにしようとメンバーに提案した。[7][8]

ディスコグラフィ

[編集]

スタジオ・アルバム

[編集]
  • 『フォガット』 - Foghat (1972年、Bearsville)
  • 『フォガット (ロックン・ロール)』 - Foghat (1973年、Bearsville)
  • 『電撃のフォガット』 - Energized (1974年、Bearsville)
  • 『ロックン・ロール・アウトローズ』 - Rock and Roll Outlaws (1974年、Bearsville)
  • フール・フォー・ザ・シティ』 - Fool for the City (1975年、Bearsville)
  • 『ナイト・シフト』 - Night Shift (1976年、Bearsville)
  • 『ストーン・ブルー』 - Stone Blue (1978年、Bearsville)
  • 『ブギ・モーテル』 - Boogie Motel (1979年、Bearsville)
  • 『タイト・シューズ』 - Tight Shoes (1980年、Bearsville)
  • 『ガールズ・トゥ・チャット&ボーイズ・トゥ・バウンス』 - Girls to Chat & Boys to Bounce (1981年、Bearsville)
  • 『イン・ザ・ムード・フォー・サムシング・ルード』 - In the Mood for Something Rude (1982年、Bearsville)
  • 『ジグ・ザグ・ウォーク』 - Zig-Zag Walk (1983年、Bearsville)
  • 『Return of the Boogie Men』 (1994年、Modern)
  • 『Family Joules』 (2003年、Besh)
  • 『Last Train Home』 (2010年、Foghat)
  • 『Under the Influence』 (2016年、Foghat)
  • 『Sonic Mojo』 (2023年、Foghat)

ライブ・アルバム

[編集]
  • 『フォガット・ライヴ』 - Foghat Live (1977年、Bearsville)
  • 『ロード・ケイシズ』 - Road Cases (live 1996) (1998年、Plum)
  • 『キング・ビスケット・ライヴ』 - Foghat (King Biscuit Flower Hour) (1999年、King Biscuit Flower Hour Records)
  • 『Decades Live』 (2003年、Sanctuary)
  • 『Foghat Live II』 (2007年、Foghat)
  • 『Live at the Belly Up』 (2017年、Foghat)
  • 『8 Days On The Road』(2021年、Foghat)

関連項目

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ http://www.discogs.com/artist/243020-Savoy-Brown
  2. ^ Earlwine, Stephen Thomas. “Foghat Artist Biography at Allmusic”. AllMusic. 09 April 2022閲覧。
  3. ^ Foghat bassist Craig McGregor dead at 68” (英語). Jack FM 96.3 Nashville, TN (2018年2月9日). 2020年10月1日閲覧。
  4. ^ Rodney O’Quinn” (英語). Foghat Official. 2020年10月1日閲覧。
  5. ^ FOGHAT Celebrates 50th Anniversary With '8 Days On The Road' Live Album”. Blabbermouth (17 June 2021). 15 February 2022閲覧。
  6. ^ The Official Foghat Website”. Foghat.com. 15 February 2022閲覧。
  7. ^ http://www.authorsden.com/visit/viewwork.asp?id=14017
  8. ^ http://www.classicbands.com/names.html

外部リンク

[編集]