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ザールバーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ザールバーン
シンボルマーク
ザールバーン(Ludwigstraße電停、2004年撮影)
ザールバーン(Ludwigstraße電停、2004年撮影)
基本情報
ドイツの旗 ドイツ
ザールラント州の旗ザールラント州
フランスの旗 フランス
グラン・テスト地域圏
所在地 ザールブリュッケン
レーバッハドイツ語版
サルグミーヌ
種類 路面電車ライトレールトラムトレイン[1]
路線網 1系統
開業 1997年10月24日[1][2][3]
所有者 ザールバーン・ネッツ(Saarbahn Netz GmbH)[1]
運営者 ザールバーン(Saarbahn GmbH)[1]
使用車両 フレキシティ・リンク(28両)[1][4]
路線諸元
路線距離 43.4 km
ドイツ鉄道フランス国鉄への乗り入れ区間を含む)[1]
軌間 1,435 mm
電化区間 全区間
電化方式 直流750 V
交流15 kV 16 2/3 Hz
架空電車線方式[2]
テンプレートを表示

ザールバーンドイツ語: Saarbahn)は、ドイツフランスを結ぶ路面電車トラムトレイン)。ザールブリュッケンを経由し、サルグミーヌを始めとする近隣都市を経由する。2022年現在は路線バススクールバスと共にザールバーン・ネッツ有限会社(Saarbahn Netz GmbH)が施設や車両を所有し、ザールバーン有限会社(Saarbahn GmbH)によって列車の運営が行われている[1][5]

歴史

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ドイツの都市・ザールブリュッケンには、かつてスチームトラム路線を転換した路面電車ザールブリュッケン市電ドイツ語版)が存在し、二度の世界大戦を乗り越え多くの乗客に利用されたが、第二次世界大戦後はモータリーゼーションの影響に伴う交通量の増加の結果、運行に支障をきたす状態となった。それを受け、戦後に導入されたトロリーバスザールブリュッケン・トロリーバスドイツ語版)と共に全区間を路線バスへ置き換えることが決定し、1965年までに全区間が廃止された[3][6][7][8]

その後、ザールブリュッケン市内における公共交通機関の主力となった路線バスは自家用車の増加に伴う利用客の減少に見舞われたが、1980年代以降は運賃の変更や系統の再編、ノンステップバスの導入などの施策が功を奏し、需要が大幅に増加した。だが、その結果路線バスのみでは増え続ける乗客に対応しきれない状態となり、更に市内中心部の道路が歩行者専用道路に転換された事で公共交通機関の見直しが迫られるようになった。そこで提案されたのが、ドイツ鉄道フランス国鉄の線路を活用し、ザールブリュッケン市内と近隣都市を結ぶトラムトレインであった[2][9]

1992年にプロジェクトが始動し、フランスサルグミーヌを含む近隣都市を結ぶ路線が決定した後、1995年6月からザールブリュッケン市内の併用軌道の建設が実施された。そして1997年10月24日、最初の路線となるサルグミーヌ - ザールブリュッケン - ルードヴィヒシュトラーセ(Ludwigstraße)間、全長19 kmの区間が営業運転を開始した。初年度の利用客は4,090万人を記録している[3][2][10]

以降は順次ドイツ側の路線の延伸が続き、その過程では新規の橋梁の建設やドイツ鉄道の線路の改修、電化といった大規模な工事も行われた。そして2014年10月5日レーバッハドイツ語版へ向かう区間の延伸をもって、2022年現在における全区間が開通している[注釈 1][11][12][13]

運用

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Sarreguemines駅(2015年撮影)
Cottbuser Platz電停(2019年撮影)
Güdingen Bahnhof駅(2020年撮影)
Heusweiler Schulzentrum駅(2020年撮影)
Eiweiler駅(2020年撮影)

前述のとおり、2022年現在、フランスサルグミーヌからザールブリュッケンを経由し、レーバッハドイツ語版へ向かうS1号線がザールバーン有限会社が運営するトラムトレインとして運行している。そのうちレーマーカクテル(Römerkastell) - シドラーハイム(Siedlerheim)間は道路上に建設された併用軌道、それ以外は専用軌道となっている。停車駅を始めとする主要情報は以下の通りである[5][1][11][12][13][14]

電停名 運行開始年 電圧 備考・参考
Sarreguemines 1997年 交流15kV 16 2/3 Hz
Hanweiler
Auersmacher
Kleinbittersdorf
Bübingen
Güdingen Bahnhof
Brebach Bahnhof
Römerkastell 直流750V
Kieselhumes
Hellwigstraße
Uhlandstraße
Landwehrplatz
Johanneskirche
Kaiserstraße
Hauptbahnhof
Trierer Straße
Ludwigstraße
Cottbuser Platz 1999年
Pariser Platz/St.Paulus 2000年
Rastpfuhl
Siedlerheim
Heinrichshaus 2001年
Riegelsberg Süd
Wolfskaulstraße 2009年
Riegelsberg Rathaus
Riegelsberg Kirchstraße
Riegelsberghalle
Güchenbach
Gisorosstraße
Walpershofen/Etzenhofen
Walpersofen Mitte 2014年
Walpersofen Mühlenstraße
Heusweiler Schulzentrum
Heusweiler Markt
Heusweiler in der Hommersbach
Heusweiler Kirschhof
Eiweiler
Eiweiler Nord
Landsweiler Süd
Landsweiler Nord
Lebach Süd
Lebach
Lebach Jabach

車両

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現有車両

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フレキシティ・リンク(2008年撮影)

2022年現在、ザールバーンで使用されているのはボンバルディア・トランスポーテーション(現:アルストム)が開発したフレキシティ・リンクである。路面電車・普通鉄道双方の規格に対応したトラムトレイン用車両としては世界で初めて低床構造を採用しており、交直流双方に対応した複電圧車両でもある[1][10][4][3]

開通時に導入された15両(1001 - 1015)に加えて2000年には増備車(1016 - 1028)が生産されており、2022年時点では28両が在籍する[1][3]

導入予定の車両

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イノトランスに展示されたシティリンク(2024年撮影)

ザールバーンは導入から20年以上が経過したフレキシティ・リンクの置き換えを目的に、ドイツやオーストリアの鉄道事業者と共に新型車両の開発・発注プロジェクト「VDVトラムトレイン(VDV Tram-Train)」に参加している。その一環として、2024年以降2027年までにシュタッドラー・レールが展開するシティリンクが28両導入される事になっている[15]

脚注

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注釈

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  1. ^ 計画当初は2000年までに全区間が開通する予定であった。

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j SAARBAHN GMBH UND SAARBAHN NETZ GMBH”. Saarbahn. 2022年5月19日閲覧。
  2. ^ a b c d 125 BEWEGTE JAHRE (1965 - 1997)”. Saarbahn. 2022年5月19日閲覧。
  3. ^ a b c d e 鹿島雅美「ドイツの路面電車全都市を巡る 11」『鉄道ファン』第46巻第10号、交友社、2006年10月1日、155頁。 
  4. ^ a b 吉見宏「国境を越えるライトレール」『境界研究』第1巻、北海道大学スラブ研究センター内 グローバルCOEプログラム「境界研究の拠点形成:スラブ・ユーラシアと世界」 境界研究ユニット、2014年、20-22頁、doi:10.14943/jbr.s.19ISSN 2185-6117NAID 120005745386 
  5. ^ 125 BEWEGTE JAHRE (1892 - 1918)”. Saarbahn. 2022年5月19日閲覧。
  6. ^ 125 BEWEGTE JAHRE (1918-1945)”. Saarbahn. 2022年5月19日閲覧。
  7. ^ 125 BEWEGTE JAHRE (1945 - 1965)”. Saarbahn. 2022年5月19日閲覧。
  8. ^ Roland Lattwein, Carsten Petersen (2019年3月13日). “25 Jahre Saarbahn: 170 Mio. teurer und wenig Fahrgäste”. saarlandinside. 2022年5月19日閲覧。
  9. ^ a b 125 BEWEGTE JAHRE (1997 - 1999)”. Saarbahn. 2022年5月19日閲覧。
  10. ^ a b 125 BEWEGTE JAHRE (1999 - 2002)”. Saarbahn. 2022年5月19日閲覧。
  11. ^ a b 125 BEWEGTE JAHRE (2002 - 2011)”. Saarbahn. 2022年5月19日閲覧。
  12. ^ a b 125 BEWEGTE JAHRE (2012 - 2017)”. Saarbahn. 2022年5月19日閲覧。
  13. ^ FAHRPLÄNE DER LINIEN S1 UND 30”. Saarbahn. 2022年5月19日閲覧。
  14. ^ AUSNAHMEPROJEKT VDV TRAM-TRAINS - NEUE FAHRZEUGE”. Saarbahn. 2022年5月19日閲覧。

外部リンク

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