エコ (通貨)
エコ (Eco) は2027年より導入が計画されている統一通貨単位である。当初は西アフリカ諸国経済共同体 (ECOWAS) において計画されていたが、その後一部の国が参加を見送り、現在は9カ国のみ参加を表明している。
経過
[編集]ECOWAS加盟国15カ国のうち8カ国がフランス・フラン、ユーロとレートが固定されているCFAフランを、残り7カ国では独自の通貨を使用してきたが、1990年頃よりECOWAS内で使用可能な単一通貨の導入が検討されてきた[1]。特にCFAフランを導入している国家は、外貨準備高の50%をフランスの国庫にて管理する義務が課せられており、旧宗主国による経済支配であると批判されてきた[2][3]。
2019年6月29日、ナイジェリアの首都アブジャにおいて開催されたECOWAS首脳会議において、2020年までに単一通貨の導入を目指し、その通貨単位の名称をエコ (Eco) とすることを決定した[1]。
同年12月21日にはコートジボワールの首都アビジャンにおいて、CFAフラン使用の8カ国とフランスの間で通貨改革協定が締結され、CFAフラン使用国がエコに移行した場合、従来の外貨準備高50%保管のルールを撤廃することとなった[2]。2020年5月20日、フランス政府はこの通貨協定の批准を閣議決定した[4]。
エコは当初、変動相場制を採用する予定であったが[1]、2019年12月の時点ではユーロとの固定相場制を予定している[3]。2020年以降、条件を満たした国から随時、エコに移行する予定となった[1]が、2020年1月16日にナイジェリアの首都アブジャで開催された西アフリカ通貨圏 (WAMZ) の臨時会合において、WAMZに加盟する6カ国はエコへの参加を見送ることを決定した[5]。これによりエコ参加国は西アフリカ経済通貨同盟 (UEMOA) の8カ国とカーボベルデの合計9カ国のみとなった。
2020年9月26日、コートジボワール大統領のアラサン・ワタラはECOWAS首脳会議に出席した際、COVID-19がアメリカ合衆国に与える影響などを考えれば今後3~5年以内にエコを導入することは不可能だと記者団に発言した[6]。しかしこの発言にガーナのジェリー・ローリングス元大統領は反発し、ユーロとの固定相場制にも反対した[7]。
2020年12月、フランスの議員はアフリカでのCFAフランの廃止を求めている。 代理人はまた、植民地通貨として機能するCFAフランを非難している[要出典]。
2021年5月、フランスは西アフリカ諸国中央銀行(BCEAO)の口座に50億ユーロを送金するプロセスを開始した。パリの決定は、エコになることを求められたCFAフランの改革の枠組みの中で行われる。
2021年6月19日、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の首脳は、2027年に共通の「エコ」通貨を立ち上げるための新たなロードマップを採択した[8]。
2023年9月、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は、2027年までに共通のエコ通貨を導入するという約束を改めて表明した。 ECOWAS委員会は、共通エコ通貨の発行に向けたロードマップに概説されているプロセスとプログラムが予定通り順調に進むよう、可能な限りのあらゆる措置を講じると述べている。 この委員会は、西アフリカ中央銀行および小地域における通貨統合の成功に必要なその他の関連機関の設立を加速する責任を負う。[9]。
2024 年 7 月、西アフリカ諸国経済共同体 (ECOWAS) のサミット中に、ECOWAS による ECO 実施の一環として。加盟国は、加盟国が多年に一度の収束プログラムを定期的に伝達することの重要性を強調する。[10]。
参加国
[編集]参加を予定している国
[編集]参加を予定していた国
[編集]西アフリカ通貨圏(WAMZ)に加盟する6カ国は2020年1月16日に参加見送りを決定している。
批判
[編集]一部の経済学者からは当初、ECOWAS域内の総生産のうち3分の2をナイジェリアが占めているなど加盟国間で経済的格差が大きいため、単一通貨を導入することで加盟国の経済的なリスク要因となりうると警告された[1](前述の通り、ナイジェリアは後に参加を取りやめた)。
関連項目
[編集]- 西アフリカ諸国中央銀行 - ECOWAS加盟8カ国が使用するCFAフランを発行。
- 経済通貨同盟
出典
[編集]- ^ a b c d e “西アフリカ15か国、2020年に単一通貨「ECO」導入へ”. AFPBB News. フランス通信社. (2019年6月30日) 2019年12月23日閲覧。
- ^ a b “West African Countries Take a Step Away From Colonial-Era Currency”. ニューヨーク・タイムズ. (2019年12月21日) 2019年12月23日閲覧。
- ^ a b “西アフリカで新共通通貨 「フランス支配の名残」と決別へ”. 産経新聞. (2019年12月22日) 2019年12月23日閲覧。
- ^ “フランスがフラン圏西アフリカ諸国との通貨協定批准を閣議決定”. JETRO. (2020年6月4日) 2020年6月11日閲覧。
- ^ “ナイジェリアなど6カ国、共通通貨ECO導入を見送り”. JETRO. (2020年1月24日) 2020年3月25日閲覧。
- ^ “Alassane Ouattara : “Je ne vois pas l’Éco arriver avant 3 à 5 ans””. Burkina 24. (2020年9月28日) 2020年12月2日閲覧。
- ^ “Rawlings & Ouattara, About the ECO”. FrontPage Africa. (2020年11月25日) 2020年12月2日閲覧。
- ^ “West African regional bloc adopts new plan to launch Eco single currency in 2027”. France 24. (2021年6月19日)
- ^ “La CEDEAO réitère son engagement à lancer une monnaie commune d’ici 2027”. Maroc Diplomatique. (2023年9月15日)
- ^ “Has ECOWAS put the eco single currency back on track?”. The Africa Report. (2024年7月8日)