ファステストラップ
ファステストラップ (Fastest Lap、FL) とは、モータースポーツにおいて、決勝レースでの全ドライバー中、コース一周回が最も速かった選手、及びそのタイムを指す[1]。ここではフォーミュラ1を代表例に記述する。
概要
通常各サーキットのコースレコードは予選のポールポジションタイムではなく、このファステストラップの記録が採用されている。その理由は過去のレギュレーションにあり、かつてのF1では予選専用エンジン、予選専用タイヤ(Qタイヤ)なるものが許可されていた時代があった。また、1994年から2009年までのF1においては予選中にレースで使用する燃料を積んで走るため、予選でのタイムだと歴史を通してそのコースで最も速いタイムを比較するのには適さないためである[2]。
F1では1959年まではファステストラップにもポイントが1点与えられていた(入賞は5位まで)。2007年からはシーズン中最も多くのファステストラップを記録したドライバーに贈られるDHLファステストラップアワードが設けられている[1]。
F1におけるファステストラップ記録
(2018年メキシコグランプリ終了時点)
通算獲得数
順位 | 回数 | ドライバー |
---|---|---|
1 | 77 | ミハエル・シューマッハ |
2 | 46 | キミ・ライコネン |
3 | 41 | アラン・プロスト ルイス・ハミルトン |
5 | 35 | セバスチャン・ベッテル |
6 | 30 | ナイジェル・マンセル |
7 | 28 | ジム・クラーク |
8 | 25 | ミカ・ハッキネン |
9 | 24 | ニキ・ラウダ |
10 | 23 | ファン・マヌエル・ファンジオ |
1シーズンでの獲得回数は、ミハエル・シューマッハ(2004年)とキミ・ライコネン(2005年・2008年)の年間10回が最高である[4]。
なお日本人では中嶋悟が1989年オーストラリアグランプリ、小林可夢偉が2012年中国グランプリで記録している。また、長谷見昌弘が1976年F1世界選手権イン・ジャパンで記録したことになっているが、数日後に計測ミスであることが判明した。ウェットコンディションの中、長谷見は24周目終わりにピットインし、別のウェットタイヤに交換して25周目に向かっており、ピットインのロスタイムを含めて1分18秒台で走行できる状況ではなかった。国内メディア関係者へは訂正のリリースが配布され、ファステストラップはジャック・ラフィットが70周目にドライタイヤで記録した1分19秒97であるとされた。F1の公式記録を管理するFormula One World Championship Limitedのサイトでは長らく長谷見の名が明記されていたが、現在はラフィットに変更されている。
デビュー戦でファステストラップ
(インディ500のみに参戦のドライバーは除く)
デビューから遅く達成
- ヤルノ・トゥルーリ 206戦目
- ジェンソン・バトン 156戦目
- ニック・ハイドフェルド 136戦目
- マーク・ウェバー 133戦目
- ティエリー・ブーツェン 116戦目
- ルーベンス・バリチェロ 116戦目
最年少記録
- ニコ・ロズベルグ 20歳258日
- エステバン・グティエレス 21歳280日
- フェルナンド・アロンソ 21歳321日
- ブルース・マクラーレン 21歳322日
- セバスチャン・ベッテル 21歳353日
- ダニール・クビアト 22歳19日
- ルイス・ハミルトン 22歳91日
- セルジオ・ペレス 22歳122日
- キミ・ライコネン 22歳137日