一倉宏
一倉 宏(いちくらひろし、1955年- )は、日本のコピーライター、作詞家である。群馬県出身、筑波大学卒業。
略歴・人物
父親を教師に持つ家庭に生まれる。筑波大学卒業後、1977年、サントリーに入社。営業を経たのちに、サントリーが社員でキャンペーンのトータルな企画をおこなえる人物を育成したいという経緯から、宣伝部に配属。同社がパブリシティで定評を持っていたことや、傘下の広告制作プロダクション、サン・アドなどの関係から、当時サン・アドの中心的存在だった、コピーライターの仲畑貴志と共に仕事をするようになり、1979年頃から、オールドなどのコピーライティングに携わるようになる。のちに1980年から1983年まで、同社が東京・大阪などの大都市を中心に展開した「トワイライト・キャンペーン」で、ネーミング考案からキャンペーンのプランニングに携わり、その名を知られるようになる。
1986年、同社が社運をかけて送り出した麦芽100%を原料としたビール「モルツ」の発売広告・CMなどの主要企画に携わったのを機に、同年サントリー宣伝部を退社(のちに1992年から1994年にかけてテレビ放映され、当時電通でCMプランナーとして活躍していた佐藤雅彦が手掛けたCMにも、コピー「うまいんだな、これが。」で参加している)。その後は前出の仲畑に誘われるカタチで仲畑広告製作所に移籍。1989年にはニホンザルのチョロ松が目を閉じて音楽を聞き入る様を映したソニー・ウォークマンの「音が進化した。ヒトはどうですか。」のコピーでその名を浸透させると、ここからヒトと科学の関係を中心にした広告で、まだ未開であった一倉独自の世界観を確立させることになる。
1990年から1994年にかけて全国紙で展開され、スティーヴン・ホーキング、ロジャー・スベリー、フリーマン・ダイソンなど世界の知能の権威と呼ばれた科学者たちを登場させたNTTデータ通信の企業広告でコピーを担当。大いに評判を呼んだ。その後もユナイテッド・アローズのキャンペーン広告などに携わる一方で、作詞家としても、斉藤和義が2007年に発表した「ウエディング・ソング」(リクルート・ゼクシィCMソング)や、「おつかれさまの国」(タケダ・アリナミンシリーズCMソング)などの作詞を手掛けたりもしている。