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'''科学における不正行為'''(かがくにおけるふせいこうい、英:scientific misconduct)とは[[科学]]の[[学問]]としての規範や、科学研究を行う際に守るべき[[倫理]]基準に対する、[[科学者]]による違反行為をいう。
'''科学における不正行為'''(かがくにおけるふせいこうい、英:scientific misconduct)とは[[科学]]の[[学問]]としての規範や、科学研究を行う際に守るべき[[倫理]]基準に対する、[[科学者]]による違反行為をいう。


== 概説 ==
== 概説 ==
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== 捏造・改竄 ==
== 捏造・改竄 ==
捏造や改竄は、私人が行う場合は[[法律|法]]的に[[犯罪]]ではない(国公立大学や国立研究所の職員による捏造、改竄犯罪でない保証はない<ref>国公立大学や国立研究所の職員が論文等で捏造、改竄を行った場合は、[[虚偽公文書作成罪]](刑法第156条)、[[偽造公文書行使等の罪|偽造公文書行使罪]](刑法第158条1項)に該当し[[犯罪]]となる可能性がある。これに関する判例はまだない。虚偽公文書作成罪(刑法第156条)は公務員のみがなし得る犯罪だが、国立大学法人法第19条、地方独立行政法人法第58条、国立研究所に関する独立行政法人法の該当条文(例えば独立行政法人物質・材料研究機構法第14条、独立行政法人日本学術振興会法第12条など)、刑法第7条1項により国公立大学や国立研究所の職員は刑法上公務員とみなされる。</ref>。露見すると本人や学界全体の信用を著しく損ねるため、そのまま研究者として科学界に留まることはおよそ不可能である。科学者生命が終わるとともに、社会全般での信用も失い、以降の発言力も著しく低下する。また、[[懲戒解雇]]などで地位を失い、社会的な状況も相当に厳しくなる。さらに、<!--本人が不正行為をはたらいていなくとも、-->管理すべき立場の人間もその責任を追及されることがある。
捏造や改竄は、{{要出典範囲|国公立大学や国立研究所の職員が行った場合は、[[虚偽公文書作成罪]](刑法第156条)、[[偽造公文書行使等の罪|偽造公文書行使罪]](刑法第158条1項)に該当し[[犯罪]]となる<ref>虚偽公文書作成罪(刑法第156条)は公務員のみがなし得る犯罪だが、国立大学法人法第19条、地方独立行政法人法第58条、国立研究所に関する独立行政法人法の該当条文(例えば独立行政法人物質・材料研究機構法第14条、独立行政法人日本学術振興会法第12条など)、刑法第7条1項により国公立大学や国立研究所の職員は刑法上公務員とみなされる。</ref>|date=2011年6月}}。露見すると本人や学界全体の信用を著しく損ねるため、そのまま研究者として科学界に留まることはおよそ不可能である。科学者生命が終わるとともに、社会全般での信用も失い、以降の発言力も著しく低下する。また、[[懲戒解雇]]などで地位を失い、社会的な状況も相当に厳しくなる。さらに、<!--本人が不正行為をはたらいていなくとも、-->管理すべき立場の人間もその責任を追及されることがある。


さらに、捏造した結果や[[改竄]]を元に公的な[[助成金]]などを申請し受けていた場合は[[犯罪]]に該当し、研究者本人や所属する大学は[[民法]]・[[刑法]]上の罪に問われ、助成金の返還を命ぜられることもある<ref>[http://www.chikyu.ac.jp/sci_et_soc/Archives/Document/hakuraku3.pdf 「学問と社会のあり方」研究会 第5回研究会「どうして日本の科学政策は現場とズレる? 研究費配分と研究不正を例に」総合地球環境学研究所研究推進戦略センター 桃木暁子]</ref>。
さらに、捏造した結果や[[改竄]]を元に公的な[[助成金]]などを申請し受けていた場合は[[犯罪]]に該当し、研究者本人や所属する大学は[[民法]]・[[刑法]]上の罪に問われ、助成金の返還を命ぜられることもある<ref>[http://www.chikyu.ac.jp/sci_et_soc/Archives/Document/hakuraku3.pdf 「学問と社会のあり方」研究会 第5回研究会「どうして日本の科学政策は現場とズレる? 研究費配分と研究不正を例に」総合地球環境学研究所研究推進戦略センター 桃木暁子]</ref>。
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* "Japan's Universities Take Action", ''Science'' '''315''', 26 (2007).
* "Japan's Universities Take Action", ''Science'' '''315''', 26 (2007).
* "Japanese TV show admits faking science", ''Nature'' '''445''', 804-805 (2007).
* "Japanese TV show admits faking science", ''Nature'' '''445''', 804-805 (2007).
*福岡伸一『世界は分けてもわからない』講談社現代新書, 2009, ISBN 978-4-06-288000-8
* 福岡伸一『世界は分けてもわからない』講談社現代新書, 2009, ISBN 978-4-06-288000-8


== 外部リンク ==
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2011年6月4日 (土) 22:57時点における版

科学における不正行為(かがくにおけるふせいこうい、英:scientific misconduct)とは科学学問としての規範や、科学研究を行う際に守るべき倫理基準に対する、科学者による違反行為をいう。

概説

科学における不正行為としては、実験のデータの改竄(かいざん)や捏造(ねつぞう)、他人の論文剽窃(ひょうせつ)、他の科学者のアイディアの盗用、実験データを記録した媒体(USBメモリCD-Rなど)の窃盗およびコピー、ギフトオーサーシップなどがある。科学による不正行為は、科学界を揺るがす事件となることがあり、そうなると報道機関などを通じて世間の人々にも知れ渡ることになる。

科学の研究結果は、論文として発表される前にその分野の専門家による査読が行われ、研究の妥当性が問われるが、査読は「各研究者が倫理的行動をとること」を前提とした制度であるため、実験結果の捏造やデータの改竄、他人の研究の盗用などを発見する機能は果たしていない。

コロラド大学微生物研究者アーネスト・ボレクはこう述べた。

曖昧でいい加減なデータが科学誌にそのまま掲載されるケースが、最近ますます増えている。

ノーベル生理学・医学賞を受賞したサルバドル・ルリアはこう述べた。

共同研究者のひとりが実験データを捏造したため、高い評価を受けている科学者らが研究データを撤回するはめになった事例を私はいくつも知っている[1]

アメリカ科学基準局リチャード・ロバーツはこう述べた。

科学者が科学誌に発表するデータの半分、あるいはそれ以上が無効である。研究者が正確にデータを測定したという証拠もなければ、首尾一貫して研究が行われたという証拠もないのが現状だ[2]

インチキな研究報告は日常茶飯事のように行われているのである[1]

捏造・改竄

捏造や改竄は、国公立大学や国立研究所の職員が行った場合は、虚偽公文書作成罪(刑法第156条)、偽造公文書行使罪(刑法第158条1項)に該当し犯罪となる[3][要出典]。露見すると本人や学界全体の信用を著しく損ねるため、そのまま研究者として科学界に留まることはおよそ不可能である。科学者生命が終わるとともに、社会全般での信用も失い、以降の発言力も著しく低下する。また、懲戒解雇などで地位を失い、社会的な状況も相当に厳しくなる。さらに、管理すべき立場の人間もその責任を追及されることがある。

さらに、捏造した結果や改竄を元に公的な助成金などを申請し受けていた場合は犯罪に該当し、研究者本人や所属する大学は民法刑法上の罪に問われ、助成金の返還を命ぜられることもある[4]

ES細胞論文の捏造事件」のように、科学における不正行為によってニセの情報(しかも画期的だと思わせるような情報)が出回ると、しばしば、そのニセ情報にもとづいて世界中の研究グループが、それに追随するつもりで様々な研究を(1グループごとに)数千万円~数億円単位の予算を投入して行うことになるが、もともとの情報が捏造であると、それらの罪のない研究グループの研究までが水泡に帰すことになる。法的に見て、消尽された研究予算の補償を不正者個人に対して請求できるものでもなく(また仮にそんなことができたと想定しても、金額的に見て、とても不正者個人で賠償できるような金額ではなく)、結局、世界全体で莫大な額の研究資金や資源が浪費されてしまうことになり、さらに、追随した研究者たちは貴重な年月を棒に振り経歴にも傷がつき、被害は甚大なものになる。

科学者によってデータの捏造などによりデッチあげられ、科学雑誌・専門誌などで流布したウソの知識というのは、科学的であると主張されていながら後で確かめられる証拠が無いのであるから疑似科学である[5]とされている。

剽窃・複製・二重投稿

他人の論文を、元を明らかにせずに転用する行為は、剽窃として捏造と同様に社会的な制裁を受ける。

自己の過去の業績を複製したり、ほぼ同じデータを細部のみを訂正して新規の論文として発表することも、複製あるいは二重投稿として不正行為と見なされる[6]

ギフトオーサーシップ

論文の成立に直接貢献していない者が、あたかも論文の共同執筆者であるかのように名を連ねるという不正行為。研究室の責任者の立場にいる者などが行うことが多い。これは、立場の強い者が政治力を行使して名を表示させるケースである。

極端なケースだと、モスクワ有機元素化合物研究所(IOC)の研究員ユーリ・ストルチコフが10年間で948本もの論文の共著になっており、IOCの施設を利用すると、その見返りとしてIOCの人間を共著者に入れるのが慣習化していたらしい。

なおこの件でストルチコフはイグノーベル賞を受賞している。[7]

論文執筆者みずからが利益を供与されることを期待して貢献のない人物の名前を表示するケースもあり、同一の研究室やグループ内の複数の科学者が、相互の論文に共同執筆者として名を連ねあい、共犯的に互いの業績数を水増しするケースもある。

科学者の間では、「名誉のオーサーシップ(honorary authorship)」あるいは「ギフトオーサーシップ(gift authorship)」と呼ぶことで、これらの不正な行為を隠蔽する者がいる。公的機関は「この行為は、どのような名称で呼ぼうとも実質的に不正行為には変わりない」と判断している。

研究費

公的機関から与えられる研究費はその金額と用途が細かく限定されており、研究費を名目外の用途に使用した場合も不正行為である。また、研究費を不正な論文などを根拠として請求した場合は、単なる科学内部の不正行為としては処理されず、法律に違反した犯罪行為として厳正に処罰される可能性がある。

医学研究と不正行為

新薬臨床試験で、デタラメな使用量、データの改変と捏造、ダンピングが繰り返し行われていることが、アメリカ食品医薬品局が詳細な調査を行った時に明らかになった[1]

ケースウェスタン・リザーブ大学教授のサミュエル・エプスティンはこう述べた。

アメリカ科学アカデミー利権関係が複雑に絡みあった組織である。例えば、食品添加物の問題を決定するパネル討論会なのに、その構成メンバーが当の規制対象の業界代表者であったり、それの息のかかった者たちで占められてしまっている、というような事例が非常に多い。アメリカでは、金さえ積めば、自分たちに都合のいいデータを入手することができるのだ[1]

不正行為が行われる理由のひとつには、医者が製薬会社に雇われて(=金をもらい)、新薬認可の基準に合格するような研究報告ばかりを作成するという事情があるからだという[1]

科学論文や科学記事が、そもそも基本的に信用できるのかどうかを見極めるには、研究者の資金源がどこかを注釈などで調べる必要がある[2]。例えば、薬の安全性に関する論文やデータだというのに、その研究資金が製薬会社から出ている場合は、信憑性に乏しい[2]。 また、不正行為の他の理由としては、研究者が、国(政府)からの助成金を獲得することだけを目的として研究報告を作成することが頻繁にあるためだという[1]。研究に従事する研究者同士は馴れ合いの関係にあるため、同僚がデタラメな実験をしてインチキな研究報告を書いていても、見て見ぬふりをしているという[1]

医師や医学研究者のモラルはすでに崩壊してしまっている、というロバート・メンデルソンの言もある。[8]

他のルールを持ち込めると錯覚することの危険性

例えば、特許の審査においては基本的に書面主義が採られており、書類上の一貫性が保たれていれば、発明の実施可能性や記述の科学的な正確性について、査読追試などによる検証は行われない。このため、金銭・利益優先で「架空のデータ」を用いた出願などの問題行為が野放図にまかり通ってしまっているとの指摘がある[9]

これらの検証は、特許の審査においては書類上その発明が実施可能と認められない場合(特許法36条)や、発明の実施可能性について第三者からの情報提供があった場合(特許法施行規則13条の2)に行われ、特許法194条には、その手段として、有識者への調査依頼なども定められている。また、より一般的には、特許が認められた後において、第三者が発明の実施可能性を理由として特許無効の審判を提起した際に行われる。さらに、刑事上は、虚偽の記載等の詐欺行為によって特許を受けた場合には、いわゆる特許詐欺罪に問われ、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金が科せられる(特許法197条)。特許詐欺罪は特許審査官を欺罔する罪であり、国家的権威・機能の阻害から保護することが立法の目的[10]である。

出願する上で重要となるのは、多くの観点からの請求項を含む特許請求の範囲(クレーム)や、上位概念的な請求項から実施例に対応した請求項まで多段階にわたる特許請求の範囲を、出願時に作成することである。幅の広いクレームを作成することによって、より権利範囲の広い特許を取得することができるため、実際には実験を行っていない範囲についてまで実施例として記載するなど、あきらかに科学的手法を逸脱した記述の体裁が積極的に採用されることがある[11]。また、技術的な詳細の機微(ノウハウ)を可能な限り隠匿することで追従者の追跡を遅らせる意図から、実際には実験を行っていないにもかかわらず、利用可能性のある要素すべてを網羅したり、数値範囲を広く記載するケースも多い[12]

このような虚偽の記載を含んでいる発明が特許された場合であっても、特許の権利範囲は、特許権を実際に行使する場合に判断されるので、実務上大きな支障が生じることは少ない。つまり、特許制度においては、権利付与時には書面上の審査がなされ、実際の権利行使時に書面中のデータなどの真正性が吟味とされるというシステムが実務上確立している。 これに対して、科学や学術論文の執筆の領域では、公表時点でねつ造や改ざんが問題になる。したがって、特許出願と同様の感覚で不正なデータを含む論文を公表した場合、科学の世界では科学の世界なりの処分が下る。ただし、近年、実験データをねつ造した特許出願を行った大学の研究者が処分された例なども出てきており、特許出願であるからデータのねつ造が認められるという感覚は通用しなくなってきている[13]

不正行為の具体例

事件の例(時系列)

科学における不正行為の事件例
時期 事件名 研究所や大学 事件内容 補記
1909年 ピルトダウン人事件[14] 1909年から1912年にかけてイギリスでチャールズ・ドーソン(en:Charles Dawson)によって旧石器時代の人骨が"発見"されピルトダウン人と名づけられたが、捏造された偽造化石の可能性が当初から疑われていた。偽造であったことが判明したのは、1953年になってのことである。 ...
1926年 サンバガエル捏造事件 ... オーストリアの遺伝学者パウル・カンメラー(en:Paul Kammerer)は、19世紀初頭にラマルクが唱えた用不用説を証明するために、サンバガエルを水中で交尾させることで婚姻瘤の発現が見られることを発表。ところが、他の研究者の検証によって婚姻瘤がカエルの足に着色することによる捏造だったことが判明。カンメラーは自らを陥れるための陰謀だと主張したが、ピストル自殺した[2] ネオ・ラマルキズム」の項も参照可能。
1974年 ペインテッドマウス事件サマーリン事件[14] メモリアル・スローン・ケタリング癌研究所 ウィリアム・サマーリンen:William Summerlin)が、ネズミの皮膚にマーカーペンで黒い点を複数描き、皮膚移植が成功したかのように見せかけた。 ...
1980年 アルサブティ事件 ... イラクからヨルダンを経てアメリカ合衆国へ留学した医師エリアス・アルサブティen:Elias Alsabti)は、テンプル大学に研究職のポストを得るものの成績が振るわず失職。その後、ジェファーソン医科大学へ移籍したが、そこで実験データの捏造が発覚。大学を追われ幾つもの研究機関を転々とするものの、その際に無名の学術雑誌に掲載されていた論文を多数盗用し別の無名の学術雑誌に投稿することを繰り返した。そのうち60数件が実際に掲載されアルサブティの実績となってしまったものの、アルサブティの技能の拙さに不審を感じた同僚研究者の調査や元の論文著者の抗議から事態が発覚。医師免許を剥奪された。 査読」の項も参照可能。
1981年 スペクター事件 エール大学 エール大学の大学院生マーク・スペクター(Mark Spector)は、ガン発生のメカニズムについて新発見をしたと発表。指導教授エフレイン・ラッカーen:Efraim Racker)の指導の下スペクターは次から次へと成果を挙げたものの、実験データの不自然さと追試が成功しなかったことから実験データの捏造が発覚。論文が撤回されたばかりか経歴詐称までも判明し、スペクターは退学処分となった。 ...
1981年 クローンマウス事件[14] - 哺乳動物で最初のクローン動物を作ることに成功したとの発表が捏造であると内部告発された。 ...
1986年 ボルティモア事件[14] MIT 免疫学者テレザ・イマニシ=カリen:Thereza Imanishi-Kari)がデータを捏造したと、部下が告発したが、研究室の主宰者がその告発を受け入れなかった。一度は有罪とされたが、再審査においては「証拠はみつからなかった」として告発は却下された。 この事件で、真相究明が難航したことが、アメリカ合衆国の研究公正局ORI)の前身となった機関である科学公正局の設立のきっかけとなったとも言われることがある。デビッド・ボルティモアの項も参照可能。
1994年 ピアース事件[14] ... イギリスの産科医師ピアース(Malcolm Pearce)が、臨床例を捏造して、それをもとに論文を作成し、自身が編集委員を務める英国産科婦人科学会誌に発表した。編集委員長を論文共著者としていたが(=gift authership)、その編集委員長が辞任した。 英国が科学者による不正行為の対策に本格的に取り組むきっかけとなったとも言われる。
1997年 ヘルマン・ブラッハ事件[14] ... ヘルマン博士(de:Friedhelm Herrmann)とブラッハ博士(Marion Brach)が、1988年から1996年の間に発表した、細胞成長に関する37論文で、デジタル画像の捏造、データ操作および偽造が行われた。 ドイツ科学界に大きな影響を及ぼした。
2000年 旧石器発掘捏造事件旧石器捏造事件[14] - 藤村新一が30年ほど前から発見していた旧石器の発見が、捏造であったことが暴露された。影響が大きく、歴史教科書の修正までせざるを得なくなった。 ...
2002年 ベル研シェーン事件[14] ベル研究所 ベル研究所の若きカリスマ科学者ヘンドリック・シェーンが作成し2000年から2001年にかけて『サイエンス』誌に掲載された論文10編および『ネイチャー』誌掲載の論文7編が、後に捏造であることが判明し、全て撤回された。 ...
2002年7月 ... バークレー研究所 1999年に最重元素が発見されたとしていた研究の実験データが偽造されていたと判明し、論文を撤回[15] ...
2004年12月 ... 理化学研究所 実験データが改ざんされた不正論文があったとして記者発表されたが、裁判の結果、2010年4月に記者発表は取り消された。 ...
2005年5月 ... 大阪大学 遺伝子を改変することで酵素の働きを抑えることに成功したと報告した論文で、データとなる画像が一部改ざんしてあったことが判明し、論文を撤回[15] ...
2005年7月 ... ノースカロライナ大学 1997年に刊行され、その後227回も引用された、コカイン症候群についての論文を撤回[15] ...
2005年9月 ... 東京大学 遺伝子の働きを制御するリボ核酸に関する論文について、疑義が浮上。2006年3月に、データは偽造された可能性が高い、とされた[15] ...
2005年10月 ... MIT 複数の論文や申請書に偽造データを使ったとして、新進の免疫学者が罷免された[15] ...
2005年12月 ... 京都大学 ある教授の論文が、研究室の助手のデータを無断で使用して書かれたものだったと判明し、停職処分3ヶ月[15] ...
2005年12月 ファン・ウソク事件[14] ソウル大学 ファン・ウソク(黄禹錫)が行っていたクローン胚ES細胞研究に疑義が発生。2006年1月に調査委員会により捏造だと断定され、論文は撤回[15] ...
2006年1月 ... ノルウェー・ラジウム病院 口腔ガンに関する医学論文において、偽造データが使われていたことが判明[15] ...
2010年 ... 東京大学JAXA 東京大学大学院工学系研究科の助教であったアニリール・セルカンの経歴詐称、業績の捏造、剽窃が判明。学位取り消し、懲戒解雇相当の処分が下された。 ...

他の人物名・事件名

脚注

  1. ^ a b c d e f g ロバート・メンデルソン『医者が患者をだますとき』p.204
  2. ^ a b c d ロバート・メンデルソン『医者が患者をだますとき』p.205
  3. ^ 虚偽公文書作成罪(刑法第156条)は公務員のみがなし得る犯罪だが、国立大学法人法第19条、地方独立行政法人法第58条、国立研究所に関する独立行政法人法の該当条文(例えば独立行政法人物質・材料研究機構法第14条、独立行政法人日本学術振興会法第12条など)、刑法第7条1項により国公立大学や国立研究所の職員は刑法上公務員とみなされる。
  4. ^ 「学問と社会のあり方」研究会 第5回研究会「どうして日本の科学政策は現場とズレる? 研究費配分と研究不正を例に」総合地球環境学研究所研究推進戦略センター 桃木暁子
  5. ^ マイケル・フリードランダー『きわどい科学 ウソとマコトの境域を探る』pp.269-273、p.327
  6. ^ Mounir Errami & Harold Garner, "A tale of two citations", Nature 451, 397-399 (2008) doi:10.1038/451397a
  7. ^ 以上ストルチコフの記述は以下の書籍より:『イグ・ノーベル賞』、マーク・エーブラハムズ。阪急コミュニケーションズ。
  8. ^ ロバート・メンデルソン『医者が患者をだますとき』p.206-207
  9. ^ 知的財産からみたライフサイエンス分野の知識創造と活用のありかた 味の素(株)知的財産センター 森岡一 2007年3月5日 特許においての争点は新規性であり、データの正確性でないこと。またそのために不正確であったり捏造データを用いた出願が横行し、それによって学会・産業界がデータの再現性をめぐる混乱を来たすことが指摘されている
  10. ^ 特許庁編「工業所有権法逐条解説第15版」P.485
  11. ^ 例えば、実際にはある素材の組成として物質Aを20% - 30%含む場合しか実験していないのに、10% - 50%含む場合も実施例として記載することにより、権利範囲を拡張することがある。
  12. ^ 例えば、ある素材を焼成するのにA元素にB元素をドーパントとして利用する場合、B元素を隠匿する目的で同族元素を列挙したり、ドープ量の比率を0.1%~30.0%、より適切には0.3%-10.0%などと実態を可能な限り把握されない工夫がなされる。
  13. ^ 産学連携と知財戦略 第11回「明細書におけるデータ捏造問題 先端技術事業化メールマガジン 第94号、日経BP社 産学連携事務局、2006年11月22日
  14. ^ a b c d e f g h i 石黒武彦『科学の社会化シンドローム』p.33
  15. ^ a b c d e f g h 石黒武彦『科学の社会化シンドローム』p.8
  16. ^ ヒトの遺伝学 Gordon Edlin著 東京化学同人 (日本語版)1992 ISBN 4807903632

関連文献

  • 酒井シヅ, 三浦雅弘, アレクサンダー・コーン 『科学の罠―過失と不正の科学史』工作舎, 1990, ISBN 4875021682
  • 山崎 茂明 『科学者の不正行為―捏造・偽造・盗用』丸善, 2002, ISBN 4621070215
  • W.ブロード, N.ウェイド 『背信の科学者たち』牧野賢治(訳)化学同人, 1988 ISBN 475980160X
  • W.ブロード, N.ウェイド 『背信の科学者たち―論文捏造、データ改ざんはなぜ繰り返されるのか』牧野賢治(訳)講談社〈ブルーバックス〉, 2006 ISBN 4062575353
前掲書の改訂版。新書判化に際して旧版より幾分割愛されたものの、訳者によって原著刊行後のミスコンダクト(不正行為)の事例がフォローされている。
  • 李成柱 『国家を騙した科学者―「ES細胞」論文捏造事件の真相』牧野出版, 2006, ISBN 4895000958
  • 村松秀 『論文捏造』中央公論新社〈中公新書ラクレ〉, 2006, ISBN 4121502264
  • "Japan's Universities Take Action", Science 315, 26 (2007).
  • "Japanese TV show admits faking science", Nature 445, 804-805 (2007).
  • 福岡伸一『世界は分けてもわからない』講談社現代新書, 2009, ISBN 978-4-06-288000-8

外部リンク