「草軽電気鉄道デキ12形電気機関車」の版間の差分
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'''草軽電気鉄道デキ12形電気機関車'''(くさかるでんきてつどうデキ12がたでんききかんしゃ)は、かつて[[長野県]]と[[群馬県]]に路線網を有していた[[鉄道路線]]([[軽便鉄道]])の'''[[草軽電気鉄道]]'''で使用されていた[[電気機関車]]。その独特な形状から「[[カブトムシ]]」と言う愛称で親しまれていた{{r|Kusakaru_1}}{{r|Kusakaru_2}}{{r|Kusakaru_3}}。 |
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*'''デキ12 - デキ20''' - 草軽電気鉄道の電化に合わせてまず[[1924年]][[9月]]にデキ12 - デキ17が入線した後、同年[[12月]]にデキ18 - デキ20が入線した。これらの車両は製造当初屋根 |
*'''デキ12 - デキ20''' - 草軽電気鉄道の電化に合わせてまず[[1924年]][[9月]]にデキ12 - デキ17が入線した後、同年[[12月]]にデキ18 - デキ20が入線した。これらの車両は製造当初は運転台が屋根のないオープンキャブ(吹きさらし)で、[[集電装置]]も車体中央の門型の台に設置したトロリーポールが用いられていたが、営業運転に際しては運転台に屋根が設けられ密閉型へ改装されたほか、集電装置は架線への追随性を高めるため独特の形状の垂直式パンタグラフに換装し、位置も運転台上に変更してL字型の車体になった。しかし、その後の営業運転において脱線事故が多発した事から、[[1932年]]から[[1933年]]にかけて安定性を向上させるため車体前後に[[先輪]]と[[従輪]]を配置したほか、順次電気ブレーキの追加とそれに伴う機械室天板の嵩上げ及び側面全周に渡る通風口の設置、機械室の左右に一段張り出すような形状の安定用の死重(重さ1t)を追加といった改造が施されている{{Refnest|group="注釈"|ただしそれでも車体重量の軽さから勾配区間におけるスリップや脱線が多く発生した。}}{{r|Kusakaru_2}}{{r|Kusakaru_3}}{{sfn|寺田祐一|2005|p=30-31}}<ref>[http://blog.livedoor.jp/tetsudoseinen/archives/54993545.html 火山山麓のレモンイエロー : 草軽電鉄の記憶 : クロベのJEFFREY(その2)]</ref><ref>[http://blog.livedoor.jp/tetsudoseinen/archives/43943439.html 火山山麓のレモンイエロー : 草軽電鉄の記憶 : デキ 原型(タイプ)を作る 2]</ref>。 |
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*'''デキ21(初代)→デキ50''' - [[1935年]]に増備された車両。製造当初はデキ12 - デキ20と同型の車体形状であったが、後年に車体を横から見て「凸」の形状のものに改造したほか、車両番号についても後年に「デキ50」と改められた{{r|Kusakaru_3}}{{sfn|寺田祐一|2005|p=30-31}}{{r|Tochio_DekiA_1}}。 |
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*'''デキ22(2代) - デキ24''' - [[1937年]]から[[1940年]]にかけて導入。全車とも廃車時まで改造後のデキ12 - デキ20と同じ車体形状であった{{r|Kusakaru_3}}{{sfn|寺田祐一|2005|p=30-31}}。 |
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2024年6月4日 (火) 09:06時点における版
草軽電気鉄道デキ12形電気機関車 栃尾鉄道デキA形電気機関車 | |
---|---|
基本情報 | |
運用者 |
草軽電気鉄道 栃尾鉄道(譲渡後) |
製造所 | ジェフリー |
製造年 | 1920年 |
製造数 | 13両 |
運用開始 | 1924年 |
廃車 | 1962年 |
主要諸元 | |
軸配置 | 1B1 |
軌間 | 762 mm |
電気方式 |
直流600 V (架空電車線方式) |
車両重量 |
11.15 t 11.50 t(デキ50、改造後) |
全長 | 4,729 mm |
全幅 | 1,600 mm |
全高 |
4,875 mm 4,572 mm(デキ50、改造後) (集電装置含) |
主電動機出力 | 37 kw |
歯車比 | 4.53(68:15) |
出力 | 54 kw |
制動装置 | 手ブレーキ、発電ブレーキ(非常用) |
備考 | 主要数値は1932 - 33年の改造後のものを記す[1][2][3][4][5]。 |
草軽電気鉄道デキ12形電気機関車(くさかるでんきてつどうデキ12がたでんききかんしゃ)は、かつて長野県と群馬県に路線網を有していた鉄道路線(軽便鉄道)の草軽電気鉄道で使用されていた電気機関車。その独特な形状から「カブトムシ」と言う愛称で親しまれていた[1][2][3]。
概要
2022年現在バス会社として盛業中の草軽交通の前身は、1915年7月22日に営業運転を開始した軌間762 mmの軽便鉄道である草軽軽便鉄道である。当初は非電化で、蒸気機関車が牽引する客車列車や貨物列車が運行していたが、1924年に社名を草軽電気鉄道に改めたのち同年に一部区間を電化し、1926年に開通した延伸区間を含め同年までに全線の電化を完了した。これに合わせて導入されたのがデキ12形電気機関車である[1][6]。
全車ともアメリカ・オハイオ州に本社を有していたジェフリー社が製造を手掛けたもので、信越電力が中津川発電所の建設工事に際し1920年に導入した後、工事完了に伴い草軽電気鉄道への譲渡実施され、以下のように3次に渡って営業運転に投入された。車両番号については非電化時代に使用された蒸気機関車(1 - 11)の追番となっていた[3][4][7]。
- デキ12 - デキ20 - 草軽電気鉄道の電化に合わせてまず1924年9月にデキ12 - デキ17が入線した後、同年12月にデキ18 - デキ20が入線した。これらの車両は製造当初は運転台が屋根のないオープンキャブ(吹きさらし)で、集電装置も車体中央の門型の台に設置したトロリーポールが用いられていたが、営業運転に際しては運転台に屋根が設けられ密閉型へ改装されたほか、集電装置は架線への追随性を高めるため独特の形状の垂直式パンタグラフに換装し、位置も運転台上に変更してL字型の車体になった。しかし、その後の営業運転において脱線事故が多発した事から、1932年から1933年にかけて安定性を向上させるため車体前後に先輪と従輪を配置したほか、順次電気ブレーキの追加とそれに伴う機械室天板の嵩上げ及び側面全周に渡る通風口の設置、機械室の左右に一段張り出すような形状の安定用の死重(重さ1t)を追加といった改造が施されている[注釈 1][2][3][4][8][9]。
- デキ21(初代)→デキ50 - 1935年に増備された車両。製造当初はデキ12 - デキ20と同型の車体形状であったが、後年に車体を横から見て「凸」の形状のものに改造したほか、車両番号についても後年に「デキ50」と改められた[3][4][5]。
- デキ22(2代) - デキ24 - 1937年から1940年にかけて導入。全車とも廃車時まで改造後のデキ12 - デキ20と同じ車体形状であった[3][4]。
運用・現況
デキ12形は草軽電気鉄道の電化以降主力車両として使用されたが、凸型車体に改造されたデキ50については重心が高く揺れが相次ぎ、走行区間が限られた事から1947年2月に栃尾鉄道(→越後交通栃尾線)に譲渡された。同時期に電化が実施された同鉄道では主に貨物列車用に使用されたが、出力が小さかった事から後継車両(ED51)の導入により1954年に休車となり、長期の留置を経て1961年に廃車・解体された[4][10][5]。
それ以外の車両は引き続き草軽電気鉄道に在籍し続けたが、老朽化が深刻だったデキ14は1959年に廃車となり、1960年の部分廃止時にもデキ12、デキ15 - デキ22が廃車。1962年の全線廃止時に在籍していたのはデキ13、デキ23、デキ24の3両であった[11]。
その後、デキ13については軽井沢駅横の(旧)軽井沢駅舎記念館に保存され、同記念館が2017年に閉館して以降も同地点への保存が続いている。また、国の登録有形文化財に登録されている旧北軽井沢駅駅舎付近には2010年7月以降デキ12形を基にした木製の実物大模型が展示されている[12][13][14]。
脚注
注釈
- ^ ただしそれでも車体重量の軽さから勾配区間におけるスリップや脱線が多く発生した。
出典
- ^ a b c “草軽電鉄Web博物館”. 草軽交通. 2022年5月16日閲覧。
- ^ a b c “軽井沢と草津を結んでいたミニ高原列車~草軽電鉄跡を訪ねる 第1回 草軽電鉄の歴史と全車輌”. 歴史群像 Presents 学研 デジタル歴史館. 2022年5月16日閲覧。
- ^ a b c d e f 宮松丈夫 (1962-4-1). くさかるでんてつ. “特集 軽便礼讃”. 鉄道ファン 2 (4): 14-15.
- ^ a b c d e f 寺田祐一 2005, p. 30-31.
- ^ a b c 瀬古龍雄、川垣恭三、反町忠夫、吉田豊「越後交通栃尾線」『鉄道ピクトリアル 1969年12月 臨時増刊号』第19巻第12号、鉄道図書刊行会、1969年12月10日、44頁。
- ^ 寺田祐一 2005, p. 22-23.
- ^ “Jeffrey Electric Locomotives”. Ohio History Connection Selections. 2022年5月16日閲覧。
- ^ 火山山麓のレモンイエロー : 草軽電鉄の記憶 : クロベのJEFFREY(その2)
- ^ 火山山麓のレモンイエロー : 草軽電鉄の記憶 : デキ 原型(タイプ)を作る 2
- ^ 寺田祐一 2005, p. 60.
- ^ 寺田祐一 2005, p. 25-27.
- ^ “(旧)軽井沢駅舎記念館は閉館しました”. 軽井沢町. 2022年5月16日閲覧。
- ^ “草軽電鉄Web博物館 - 資料ギャラリー”. 草軽交通. 2022年5月16日閲覧。
- ^ “旧草軽電鉄北軽井沢駅舎”. 北軽井沢観光協会. 2022年5月16日閲覧。
参考資料
- 寺田祐一『消えた轍 ローカル私鉄廃線跡探訪 2 東北・関東』ネコ・パブリッシング〈Neko mook〉、2005年8月1日。ISBN 978-4777003778。