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[[ファイル:Aldosterone-2D-skeletal.svg|サムネイル|アルドステロン]]
'''鉱質コルチコイド'''（こうしつコルチコイド、{{lang-en|Mineralocorticoid}}）は、[[副腎皮質]]の球状層で産生される、[[副腎皮質ホルモン]]の一つである。'''電解質コルチコイド'''、'''ミネラルコルチコイド'''などとも言われる。塩分と水分のバランス（電解質バランスと体液バランス）に影響を与える。主な鉱質コルチコイドは[[アルドステロン]]である。

== 種類 ==
*[[アルドステロン]]
*[[デスオキシコルチコステロン]]
*[[フルドロコルチゾン]]

== 生理学 ==
[[ファイル:Steroidogenesis_jp.svg|サムネイル|450x450ピクセル|ステロイドの生成過程の内、右上の紫色の楕円内に鉱質コルチコイドを示している<ref name="HäggströmRichfield20142">{{cite journal|last1=Häggström|first1=Mikael|last2=Richfield|first2=David|year=2014|title=Diagram of the pathways of human steroidogenesis|journal=WikiJournal of Medicine|volume=1|issue=1|doi=10.15347/wjm/2014.005|issn=2002-4436|doi-access=free}}</ref>。厳密に限定されたグループではなく、鉱質コルチコイドの効果が強いものと弱いものが混在していることに注意すべきである。最も作用の強いものは、アルドステロンである。]]鉱質コルチコイドという名称は、これらのホルモンが[[ミネラル]]の一種である[[電解質#生理学上の電解質|ナトリウム]]の保持に関与しているという初期の観察結果に由来している。鉱質コルチコイドの主な[[内因性 (生物学)|内因性]]ホルモンはアルドステロンであるが、他の多くの内因性ホルモン（[[プロゲステロン]]<ref name="pmid32305433">{{cite journal|date=July 2020|title=Progesterone: An enigmatic ligand for the mineralocorticoid receptor|journal=Biochem Pharmacol|volume=177|pages=113976|doi=10.1016/j.bcp.2020.113976|pmid=32305433|vauthors=Baker ME, Katsu Y}}</ref>や[[デスオキシコルチコステロン]]など）も鉱質コルチコイドの機能を持つ。

アルドステロンは腎臓に作用し、ナトリウムの[[能動輸送|能動的再吸収]]とそれに伴う水の[[受動輸送|受動的再吸収]]を担うと共に、皮質の[[集合管]]（結合尿細管）の主細胞における[[カリウム]]の能動的分泌と、集合管の間在細胞の内腔膜におけるプロトン[[ATPアーゼ]]を介した[[ヒドロン|プロトン]]の能動的分泌を行う。その結果、血圧が上昇し、血液量が増加する。

アルドステロンは、副腎皮質の糸球体部で産生され、その分泌は主に[[アンジオテンシン|アンジオテンシンII]]によって媒介されるが、[[副腎皮質刺激ホルモン]]（ACTH）や局所的なカリウム濃度によっても影響を受ける。

== 作用機序 ==
鉱質コルチコイドの作用は、[[核内受容体]]を介した遅いゲノム機構と、[[細胞表面受容体|膜結合型受容体]]や[[シグナル伝達#細胞内シグナル伝達|シグナルカスケード]]を介した速い非ゲノム機構によって伝達される。

=== ゲノム機構 ===
鉱質コルチコイドは、細胞質内の鉱質コルチコイド受容体に結合し、細胞の脂質二重層を自由に通過することができる。このタイプの受容体は、リガンドの結合によって活性化される。ホルモンが対応する受容体に結合した後、新たに形成された受容体-リガンド複合体は[[細胞核]]に移行し、[[デオキシリボ核酸|DNA]]中の標的遺伝子の[[プロモーター領域]]にある多くのホルモン応答要素（[[:en:Hormone response element|HRE]]）に結合する。

その逆のメカニズムを{{仮リンク|転写抑制|en|Transrepression}}と呼ぶ。リガンドが結合していないホルモン受容体は、[[熱ショックタンパク質]]と相互作用し、その結果標的遺伝子の[[転写 (生物学)|転写]]が阻止される。

アルドステロンとコルチゾール（[[糖質コルチコイド]]）は、鉱質コルチコイド受容体に対して同様の親和性を持つが、糖質コルチコイドは鉱質コルチコイドの約100倍の量が血中を循環している。鉱質コルチコイドの標的組織には、糖質コルチコイドによる過剰な刺激を防ぐための酵素が存在する。この酵素は、[[11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ|11-βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼII型]]（タンパク質：HSD11B2）であり、糖質コルチコイドの11-デヒドロ代謝物への不活性化を触媒する。[[甘草]]はこの酵素を阻害することが知られており、慢性的に摂取すると[[偽性アルドステロン症]]と呼ばれる状態になることがある<ref>{{cite journal|last1=Omar|first1=HR|last2=Komarova|first2=I|last3=El-Ghonemi|first3=M|last4=Fathy|first4=A|last5=Rashad|first5=R|last6=Abdelmalak|first6=HD|last7=Yerramadha|first7=MR|last8=Ali|first8=Y|last9=Helal|first9=E|year=2012|title=Licorice abuse: Time to send a warning message|journal=Therapeutic Advances in Endocrinology and Metabolism|volume=3|issue=4|pages=125–138|doi=10.1177/2042018812454322|pmid=23185686|pmc=3498851|first10=EM|last10=Camporesi}}</ref>。

== 病態生理学 ==
高アルドステロン症（アルドステロンの上昇による症候群）は、特発性副腎過形成または副腎腺腫のいずれかによって引き起こされるのが一般的である。その結果、2つの主要な問題が生じる。

# 過剰なNa+と水の貯留による高血圧と浮腫
# カリウムイオン（K+）の排泄促進。K<sup>+</sup>の極端な減少による筋力低下は最終的に麻痺に至る。

低アルドステロン症（アルドステロンの産生不足による症候群）は、アジソン病に関連した塩分消耗状態を引き起こすが、古典的な先天性副腎過形成や他の疾患状態でもこのような状況を引き起こすことがある。急性の産生不足（出血性副腎炎）は、しばしば生命を脅かす。

== 医薬品 ==
[[ファイル:Fludrocortisone.svg|サムネイル|[[フルドロコルチゾン]]は、合成鉱質コルチコイドの一つである。 ]]
合成鉱質コルチコイドの例としては、[[フルドロコルチゾン]]（フロリネフ）がある。

重要な抗鉱質コルチコイドは[[スピロノラクトン]]と[[エプレレノン]]である。

== 関連項目 ==
* [[糖質コルチコイド]]

== 参考資料 ==
{{reflist}}

{{ホルモン}}
{{ステロイド}}
{{Major drug groups}}

{{Medical-stub}}
{{DEFAULTSORT:こうしつこるちこいと}}
[[Category:ミネラロコルチコイド|*]]
[[Category:副腎皮質ホルモン]]
[[Category:ステロイド]]
[[Category:ホルモン]]