12月
12月(じゅうにがつ)は、グレゴリオ暦で年の第12の月(1年の最終月)に当たり、31日間ある。
日本では、旧暦12月を「師走」、「師馳」(しわす・しはす)または「極月」(きわまりづき・ごくげつ・ごくづき)と呼んできた。
今では「師走」及び「極月」は、新暦12月の別名としても用いられる。
北海道アイヌ語旭川方言では、12月を「雪を落とす月」を意味するウパㇱランケチュㇷ゚(アイヌ語: upas ranke cup)と呼ぶ[1]。
英語での月名 December は、「10番目の月」の意味で、ラテン語で「第10の」という意味の decem の語に由来している。 実際の月の番号とずれているのは、紀元前46年まで使われていたローマ暦が3月起算で(そのため年末の2月は日数が少ない)、3月から数えて10番目という意味である[2]。 グレゴリオ暦の12月1日はその年の9月1日と同じ曜日になる(→日付の一覧#カレンダー風)。
明治時代に日本が太陰暦から太陽暦に変更した際に、政府が年末の給料を削減するために12月の日数を2日とした(明治5年12月2日の翌日を明治6年1月1日とした)。
しはすの語源
編集「しはす」の語源は、古いことなのでわからない。「大言海」は、「歳極(トシハツ)ノ略轉カト云フ、或ハ、萬事爲果(シハ)つ月ノ意、又、農事終ハル意カ」と言い[3]、また「十二箇月ノ名ハ、スベテ稻禾生熟ノ次第ヲ逐ヒテ、名ヅケシナリ」(「睦月」の項)と言っている[4]。
なお、僧侶(師は、僧侶の意)が仏事で走り回る忙しさから、という平安時代からの説(色葉字類抄)があるが、これは語源俗解(言語学的な根拠がない、あてずっぽうの語源のこと)による宛て字であり、平安時代にはすでに、「しはす」の語源はわからなくなっていた[5][6](民間語源#日本語における民間語源)。
様々な説
編集日本国語大辞典は、語源については記述していない。末尾に次の9説を列挙するのみである[7][8]。
- 経をあげるために師僧が東西を馳せ走る月であるところから、シハセ(師馳)の義〔奥義抄・名語記・壒嚢鈔〕。
- 四季の果てる月であるところから、シハツ(四極)月の意〔志不可起・和爾雅・日本釈名〕。
- トシハツル(歳極・年果・歳終)の義〔東雅・語意考・類聚名物考・和語私臆鈔・黄昏随筆・古今要覧稿・和訓栞〕。
- ナシハツルツキ(成終月)の略転〔紫門和語類集〕。
- 農事が終わり、調貢の新穀をシネハツル(歛果)月であるところから〔兎園小説外集〕。
- 稲のない田のさまをいうシヒアスの約。シは発声の助語。ヒアスは干令残の義〔嚶々筆語〕。
- シヲヘオサメヅキ(為竟収月)の義〔日本語原学=林甕臣〕。
- セハシの義〔万葉代匠記〕。
- シバシ(暫)の月の義〔遠碧軒記〕。
異名
編集- おうとう(黄冬)
- おとづき(弟月)
- おやこづき(親子月)
- かぎりのつき(限月)
- くれこづき(暮来月)
- けんちゅうげつ(建丑月)
- ごくげつ(極月)
- しわす(師走)
- はるまちつき(春待月)
- ばんとう(晩冬)
- ひょうげつ(氷月)
- ぼさい(暮歳)
- ろうげつ(臘月)
12月の年中行事
編集- 12月13日 - 正月事始め[9]
- 12月13日 - 聖ルチア祭
- 12月24日 - クリスマス・イヴ(各国、主にキリスト教圏)
- 12月25日 - クリスマス(各国)
- 12月25日 - 終い天神
- 12月25日 - スケートの日
- 12月26日 - ボクシング・デー
- 12月31日 - 大晦日(日本)
- 12月第二土曜日 ‐ 池ノ上みそぎ祭
かつてあった祝日
編集12月に行われるスポーツ
編集- 第1日曜 - 福岡国際マラソン(福岡市)
- 上旬 - ゴルフ日本シリーズ(男子ゴルフ 東京よみうりカントリークラブ)
- 中旬の日曜 - 甲子園ボウル(アメリカンフットボール 阪神甲子園球場)
- 下旬の日曜 - 全国高等学校駅伝競走大会(京都市)
- 23日-29日 - 全国高等学校バスケットボール選手権大会
- 下旬 - 全日本フィギュアスケート選手権大会(フィギュアスケート)
- 26日-31日 - スペングラーカップ(スイス・ダボス)
- 28日以前の日曜日 - 有馬記念 GⅠ (中山競馬場)
- 29日 - 東京大賞典 GⅠ (大井競馬場)
- 30日 - 全日本大学女子選抜駅伝競走大会(静岡県富士宮市)
12月がテーマの楽曲
編集- 12月の雨 (歌: 荒井由実)
- 12月の雨 (歌: ふきのとう)
- 12月の雨の日 (歌: はっぴいえんど)
- 12月の祈り (歌: 堀ちえみ)
- 12月の魔法 (歌: 槇原敬之)
- 12月の織姫 (歌: Wink)
- 12月のカンガルー(歌: SKE48)
- 12月の神様 (歌: 渡辺美里)
- 12月のカレンダー (歌: 斉藤由貴)
- 十二月 (歌: 中島みゆき)
- 十二月の風に吹かれて (歌: 河島英五)
- 十二月のセントラルパークブルース (歌: Mr.Children)
- 約束の十二月 (歌: 斉藤和義)
- さよならDecember (歌: DJ OZMA)
- 暦の上ではディセンバー (歌: アメ横女学園芸能コース、ベイビーレイズ)
- ディセンバー・メモリー (歌: 荻野目洋子)
- December (歌: I WiSH)
- DECEMBER SONG (歌: 加藤和彦)
- No Snow In December (歌: MONKEY MAJIK)
- December's Children (曲: 周防義和)※テレビドラマ『奇跡の人』劇中曲
- December Morning (歌: 松田聖子)
- December Morn (歌: 松田聖子)
- Harmony of December (歌: KinKi Kids)
- 12月の天使達 (歌: MY LITTLE LOVER)
- 12月のLove song (歌: Gackt)
- 12月のエイプリルフール (歌: EPO)
- 南半球12月 (歌: 杉山清貴)
- 12月 (歌: 森山直太朗)
- 12月 (歌: BLANKEY JET CITY)
- 12月 (歌: SION)
- 12月の空 (歌: 鈴村健一)
- 雨に消えたあいつ(歌:伊藤智恵理)
- たとえば12月の夜に (歌:GARNET CROW)
- 12月 (歌: PUFFY)
このほか、様々なミュージシャンによるクリスマスソングが多数発表されている。
その他
編集脚注・出典
編集- ^ 《ことばからみたアイヌ文化と自然2》アイヌ文化における時間使用 高橋 靖以(北海道大学アイヌ・先住民研究センター博士研究員=特別寄稿) 月刊シロㇿ
- ^ 同様に一般的な暦の9月,10月,11月はそれぞれローマ暦で7,8,9番目の月にあたり、ラテン語の「第7の」「第8の」「第9の」を意味する "septimus", "octavius", "nonus" に由来する
- ^ WEB言海 p.461、「志はす」の項(「大言海」とは、やや記述が異なる)
- ^ 高島俊男:お言葉ですが・・・(7)、漢字語源の筋ちがい、p.87、文春文庫、第1刷、2006年6月10日、ISBN 4-16-759808-6、(株)文藝春秋
- ^ 関根健一「「師走」に師は走らなかった?!」『なぜなに日本語』(PDF)三省堂、2015年5月25日、386-387頁。ISBN 978-4-385-36607-4 。
- ^ 高島俊男:お言葉ですが・・・(7)、漢字語源の筋ちがい、「しからば一年のおしまいの月を『しはす』と呼ぶのはいつごろからはじまったかというと、これは師馳説が出てくるよりさらに何百年も前からである。平安時代にはもう、なぜそう言うのかわからなくなっていた。だから『坊さん走る』説が出てきたわけで、・・・」pp.86-87、文春文庫、第1刷、2006年6月10日、ISBN 4-16-759808-6、(株)文藝春秋
- ^ 日本国語大辞典、第11巻、pp.110-111、1976年5月1日発行、第1版第2刷、小学館
- ^ しわす ジャパンナレッジ
- ^ 年末年始に予定している「年末年始のすごし方」。
関連項目
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