シンコペーション
シンコペーション(英語: syncopation、切分法)とは、西洋音楽において、拍節の強拍と弱拍のパターンを変えて独特の効果をもたらすことを言う[1]。
![\relative c''' {
\clef treble
\time 2/4
\key d \major
e16 cis\sfz a e\sfz d b\sfz gis e\sfz
b'4\p( a8)
}](http://upload.wikimedia.org/score/1/v/1vsc8f8jp7tw7hdx3x1p7t7meqy80p2/1vsc8f8j.png)
簡単に言えば、シンコペーションとは「リズムの規則的な流れを変えたり、中断したりすること」、つまり「通常は発生しない場所にリズムの重心やアクセントを配置すること」である[2]。
シンコペーションの種類
編集技術的な観点から見ると、シンコペーションは、規則的なアクセントの一時的なズレが生じ、フレーズの中心が強いアクセントから弱いアクセントへ移ったときに発生する。[4]2拍または3拍の強勢パターンを意図的に中断することであり、ほとんどの場合、オフビート、または拍にない音符を強調することによって行われる。[5]
たとえば、4/4拍子における4拍目から、次の小節の1拍目に置かれる音までタイによりひとつの音としてつながっていれば、それはシンコペーションのリズムである。このとき、小節の1拍目に置かれる強勢が、前の小節の4拍目までさかのぼって移動したと考えられることがある。
同じように、4/4拍子の2拍目から3拍目にひとつの音としてつながっていれば、これもシンコペーションのリズムである。このとき、3拍目の強勢が2拍目にさかのぼって移動すると考えられることがある。
オフビートシンコペーション
編集強勢は1拍未満で入れ換わる場合もあるため、次の例のように細分化された音符(4分音符のビートに対する8分音符)のシンコペーションが発生し、最初の小節の強勢が8分音符だけ後ろに移動する。
オフビートシンコペーションが発生する場合、ピアノの音は一定のリズムを保つドラムビートと同時に鳴っていない。一方、標準的なリズムの楽曲では、音符はビートに合わせて鳴っている。
拍のほんの少し前または後に音符を演奏することもシンコペーションの別の形であり、予期しないアクセントが生まれる。
シンコペーションによる音の移動については、このように
- フレーズの開始点や強勢を拍の前後へ置き換えることで、楽曲の一部に新たなオフビートを形成すること
と考えるのが妥当である。[7]
シンコペーションの効果について、音楽プロデューサーの亀田誠治は自身がホストを務めた亀田音楽専門学校(NHK Eテレ)にて「メロディーが前の小節に『食い』込むことで躍動感が生まれ、ウキウキとかワクワクといった気持ちにさせる効果がある」と説明している[3]。
シンコペーションの例
編集- ラグタイム(Maple Leaf Rag)
- チャカ・カーン:テル・ミー・サムシング・グッド
- ルロイ・アンダーソン:「シンコペイテッド・クロック」
- ベートーヴェン:弦楽四重奏曲イ長調作品18第5番
- モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番 第1楽章
- 岩井直溥:シンコペーテッド・マーチ「明日に向かって」
脚注
編集- ^ 日本大百科全書(ニッポニカ) - コトバンク
- ^ Hoffman, Miles (1997年). “Syncopation”. National Symphony Orchestra. NPR. 2009年7月13日閲覧。
- ^ a b “シンコペーションで“祭囃子”が聴こえる? 槇原敬之の名曲『世界に一つだけの花』が大ヒットしたワケ”. RealSound. blueprint (2013年11月23日). 2014年10月8日閲覧。
- ^ Reed, Ted (1997). Progressive Steps to Syncopation for the Modern Drummer. Alfred. p. 33. ISBN 0-88284-795-3.
- ^ Day, Holly; Pilhofer, Michael (2007). Music Theory For Dummies. Wiley. pp. 58–60. ISBN 978-0-7645-7838-0.
- ^ https://sweetadelines.com/sites/default/files/2019-01/Writing%20For%20Rhythms%20Backbeat%20and%20Stomp%20Time%20-%20Barzilla.pdf
- ^ https://archives.ismir.net/ismir2015/paper/000241.pdf