エバネッセント場(エバネッセントば、英: evanescent field)とは、電磁波(光)が特定の条件下において金属など反射性の媒質内部に誘起する電磁場の変動をいう。エバネッセント場から放出(反射)される電磁波はエバネッセント波やエバネッセント光、近接場光と呼ばれる。 屈折率の高い媒質から低い媒質に電磁波が入射する場合、入射角をある臨界角以上にすると電磁波は全反射するが、その際には波数の(境界面に対する)垂直成分が虚数になっている為に、波長程度まで低媒質側の内部に電磁波が浸透することになる。 エバネッセント波は反射した物体の表面近傍の状態を観測できる為に近年注目を集めている。ひとつには屈折とは異なる物理現象である為に、波長よりも短い構造を反映することができ波長による回折限界を超えた分解能での観測が可能になる。この原理を応用した観測装置として、フォトン走査型近接場光顕微鏡が挙げられる。 あるいは、光が試料の表面内部に浸透するので、反射光を用いる赤外吸光分析の一種、減衰全反射(ATR)法などにも応用されている。 また、負の屈折率を持つメタマテリアルではエバネッセント場の強度が指数関数的に増大するため、境界面より離れた位置でもエバネッセント場による観測が可能となり、特に完全レンズにおいては無限の解像度が得られる。

Property Value
dbo:abstract
  • エバネッセント場(エバネッセントば、英: evanescent field)とは、電磁波(光)が特定の条件下において金属など反射性の媒質内部に誘起する電磁場の変動をいう。エバネッセント場から放出(反射)される電磁波はエバネッセント波やエバネッセント光、近接場光と呼ばれる。 屈折率の高い媒質から低い媒質に電磁波が入射する場合、入射角をある臨界角以上にすると電磁波は全反射するが、その際には波数の(境界面に対する)垂直成分が虚数になっている為に、波長程度まで低媒質側の内部に電磁波が浸透することになる。 エバネッセント波は反射した物体の表面近傍の状態を観測できる為に近年注目を集めている。ひとつには屈折とは異なる物理現象である為に、波長よりも短い構造を反映することができ波長による回折限界を超えた分解能での観測が可能になる。この原理を応用した観測装置として、フォトン走査型近接場光顕微鏡が挙げられる。 あるいは、光が試料の表面内部に浸透するので、反射光を用いる赤外吸光分析の一種、減衰全反射(ATR)法などにも応用されている。 また、負の屈折率を持つメタマテリアルではエバネッセント場の強度が指数関数的に増大するため、境界面より離れた位置でもエバネッセント場による観測が可能となり、特に完全レンズにおいては無限の解像度が得られる。 (ja)
  • エバネッセント場(エバネッセントば、英: evanescent field)とは、電磁波(光)が特定の条件下において金属など反射性の媒質内部に誘起する電磁場の変動をいう。エバネッセント場から放出(反射)される電磁波はエバネッセント波やエバネッセント光、近接場光と呼ばれる。 屈折率の高い媒質から低い媒質に電磁波が入射する場合、入射角をある臨界角以上にすると電磁波は全反射するが、その際には波数の(境界面に対する)垂直成分が虚数になっている為に、波長程度まで低媒質側の内部に電磁波が浸透することになる。 エバネッセント波は反射した物体の表面近傍の状態を観測できる為に近年注目を集めている。ひとつには屈折とは異なる物理現象である為に、波長よりも短い構造を反映することができ波長による回折限界を超えた分解能での観測が可能になる。この原理を応用した観測装置として、フォトン走査型近接場光顕微鏡が挙げられる。 あるいは、光が試料の表面内部に浸透するので、反射光を用いる赤外吸光分析の一種、減衰全反射(ATR)法などにも応用されている。 また、負の屈折率を持つメタマテリアルではエバネッセント場の強度が指数関数的に増大するため、境界面より離れた位置でもエバネッセント場による観測が可能となり、特に完全レンズにおいては無限の解像度が得られる。 (ja)
dbo:thumbnail
dbo:wikiPageID
  • 293846 (xsd:integer)
dbo:wikiPageLength
  • 2941 (xsd:nonNegativeInteger)
dbo:wikiPageRevisionID
  • 89391571 (xsd:integer)
dbo:wikiPageWikiLink
prop-ja:wikiPageUsesTemplate
dct:subject
rdfs:comment
  • エバネッセント場(エバネッセントば、英: evanescent field)とは、電磁波(光)が特定の条件下において金属など反射性の媒質内部に誘起する電磁場の変動をいう。エバネッセント場から放出(反射)される電磁波はエバネッセント波やエバネッセント光、近接場光と呼ばれる。 屈折率の高い媒質から低い媒質に電磁波が入射する場合、入射角をある臨界角以上にすると電磁波は全反射するが、その際には波数の(境界面に対する)垂直成分が虚数になっている為に、波長程度まで低媒質側の内部に電磁波が浸透することになる。 エバネッセント波は反射した物体の表面近傍の状態を観測できる為に近年注目を集めている。ひとつには屈折とは異なる物理現象である為に、波長よりも短い構造を反映することができ波長による回折限界を超えた分解能での観測が可能になる。この原理を応用した観測装置として、フォトン走査型近接場光顕微鏡が挙げられる。 あるいは、光が試料の表面内部に浸透するので、反射光を用いる赤外吸光分析の一種、減衰全反射(ATR)法などにも応用されている。 また、負の屈折率を持つメタマテリアルではエバネッセント場の強度が指数関数的に増大するため、境界面より離れた位置でもエバネッセント場による観測が可能となり、特に完全レンズにおいては無限の解像度が得られる。 (ja)
  • エバネッセント場(エバネッセントば、英: evanescent field)とは、電磁波(光)が特定の条件下において金属など反射性の媒質内部に誘起する電磁場の変動をいう。エバネッセント場から放出(反射)される電磁波はエバネッセント波やエバネッセント光、近接場光と呼ばれる。 屈折率の高い媒質から低い媒質に電磁波が入射する場合、入射角をある臨界角以上にすると電磁波は全反射するが、その際には波数の(境界面に対する)垂直成分が虚数になっている為に、波長程度まで低媒質側の内部に電磁波が浸透することになる。 エバネッセント波は反射した物体の表面近傍の状態を観測できる為に近年注目を集めている。ひとつには屈折とは異なる物理現象である為に、波長よりも短い構造を反映することができ波長による回折限界を超えた分解能での観測が可能になる。この原理を応用した観測装置として、フォトン走査型近接場光顕微鏡が挙げられる。 あるいは、光が試料の表面内部に浸透するので、反射光を用いる赤外吸光分析の一種、減衰全反射(ATR)法などにも応用されている。 また、負の屈折率を持つメタマテリアルではエバネッセント場の強度が指数関数的に増大するため、境界面より離れた位置でもエバネッセント場による観測が可能となり、特に完全レンズにおいては無限の解像度が得られる。 (ja)
rdfs:label
  • エバネッセント場 (ja)
  • エバネッセント場 (ja)
owl:sameAs
prov:wasDerivedFrom
foaf:depiction
foaf:isPrimaryTopicOf
is dbo:wikiPageRedirects of
is dbo:wikiPageWikiLink of
is owl:sameAs of
is foaf:primaryTopic of