30年以上にわたり使い続けたシステムを入れ替える。企業ITに携わる人間ならば、その困難さを想像するのは難しくないはずだ。このほどANAは、8年間の歳月をかけて、国内線の予約、発券、搭乗業務を支える旅客システムをオープン化。34年間、ビジネスを支えたメインフレームに別れを告げた。プロジェクトの指揮官に話を聞く(文中敬称略)。聞き手:田口 潤 IT Leaders発行人 Photo:陶山 勉
――今回、8年間にわたる国内旅客システムの刷新という大規模プロジェクトを終えた訳ですが、もともと、いつ頃から検討を始めたのですか?
金子:“次”を考え始めたのは、2000年頃だったと思います。30年以上にわたって、メインフレームを使い続けてきましたが、そのころから限界を感じ始めていたのです。
コストについては、必要経費ですから、それほど問題視していませんでしたが、むしろ、技術者の確保には頭を悩ませていました。市場からメインフレームが徐々に姿を消すにつれ、技術者も減ってきていたのです。今後もシステムは継続的にエンハンス(強化)していかなければなりません。開発に必要な人員を市場から調達できなくなるかもしれない。そんな不安を感じるようになっていたのです。
航空業界は、とにかく競争が激しいんです。新幹線や高速バスといったライバルに加えて、海外ではLCCが登場していました。だから、時宜に応じて、新しいサービスを投入できるよう、開発リソースをいつでも確保できる体制を整えておく必要がありました。
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